その1、その2に続きストラヴィンスキー(Stravinsky)の「火の鳥 1919年版」(The Firebird Suite)のアナライズ。
このYoutubeの演奏を元にアナライズしていきます。
https://youtu.be/WI-MG_CXYiY
4 魔王カスチェイの凶悪な踊り INFERNAL DANCE OF KING KASHCHEI
11:09〜 5度抜きの7の和音の第一回転形の形?で上昇。
11:11〜 旋律を装飾する感じで重ねてある。木管はポリリズム。フルートの半音進行。旋律のアクセントのせいか変拍子っぽく聴こえる。
赤:ストリングス 青:木管
11:37〜 わりと平凡な盛り上がり。
12:06〜 面白い和音の使い方。5度の音が強いのと半音進行が特徴。
12:08〜 木管とピアノの合わせ方が印象的。あとミュートのトランペット。
12:31〜 C.B.のGlialtriってソロの人以外って意味かな。ピッコロさんまた頑張る。
12:40〜 ここの盛り上がり方すごくいい。accelerando poco a poco(だんだん速く)音も増えてくる。タンバリン(迫真)
主旋律に対して半音で下降していく音。音量バランスがほぼ半々なのが面白い。
12:48〜 今度はピアノをPizzと重ねてある。ピアノの重ね方の基本って木琴などの音程のある打楽器に近いんだなあと。
12:59〜 木管ffで打楽器とストリングスfffのバランス。
13:09〜 Daug/Eでルート以外は半音の下降。金管は上昇。この音使いで成立してるのがすごい。スコア見たらむちゃくちゃだけど聴いてて違和感がない。オーギュメントだからかな。あとベースは移動するけど和音は変わらず。面白い。
赤:ストリングス 青:木管 紫:金管
13:16〜 徐々に盛り上がっていってのfff。まあ平凡だけどヴァイオリンがかなり高い(A5、実音)。
5 子守歌 Lullaby
14:05〜 ハープのハーモニクス、バスーンのソロから。
15:17〜 ここすごく印象派っぽい。そして詳しく見ていくとマジキチ。どうやったらこれ思いつくん・・・・ストリングス3オクターブで重ねる主線、フルートとクラリネットの複線、あと2ndvinの分散和音と他白玉の絶妙なバランスで成り立ってる。
赤:ストリングス 青:木管
16:50〜 sur la touhche(指板の上で弾く)でのストリングス。
6 終曲 Finale
17:37〜 ホルンのソロから。主線の楽器が変わりながら重なっていく。最終楽章はほとんど王道のアプローチなのでしっかり覚えたい。
金管は2パートが旋律、2パートがそれぞれ他の音に割り振られることが多い。
19:19〜 金管が2パートに分かれて別々の動き。他はBとF#だけ弾いてる。
19:32〜 まさかのクワトロストップ。ヴァイオリンはG2、G3、C3、G4。
19:43〜 金管がいるせいかストリングスの音域が高め。チェロすらト音記号。
20:40 終了。お疲れっした。
感想
お・・・・終わった・・・・複雑さ半端なかったです。でもすごく勉強になりました。
アナライズして思ったんですが、ストラヴィンスキーって凄く法律家っぽい音の入れ方なんですよね。「禁止されてないなら大丈夫」みたいな、グレーゾーンに踏み込んでいく感覚。でも、それをやるためにはすべてを知ってないといけない。和声、対位法、楽器法、リズムどれをとってもめちゃめちゃ勉強してるなと思います。
基本に忠実な所もありつつ、所々で壊していく粗野な部分があって、このコントラストがすごく素敵です。
これからアナライズは常に継続してやっていこうかなと思ってます。そんなにやりたい曲もないので1年くらいで終了しそうですが。
ではでは。
リンク
・イーゴリ・ストラヴィンスキー – Wikipedia
・火の鳥 (ストラヴィンスキー) – Wikipedia
・あらすじ