ビッグバンドの作曲、編曲、打ち込みができるようになりたい【第四回】実際に曲を作ってみる

テクニック

「ビッグバンドの作曲、編曲、打ち込みができるようになりたい」

【第一回】ざっくりと全体を把握する
【第二回】使用されている楽器の事を知る
【第三回】楽譜を分析してみる

今回は最後「【第四回】実際に曲を作ってみる」です。

作曲、編曲、打ち込みまでやります。

目次

■テーマはクリスマス!
■ピアノスケッチ
■ホーンセクションを想定したヴォイシング
■前半をきっちりアレンジ
■完成
■各パートについて
・ホーンセクション
・ピアノ
・ベース
・ドラム
・ギター

テーマはクリスマス!

christmas849x565

作るからにはBGMとして使ってもらう事を前提に作っていきたいと思います。

ビッグバンドが使われるシチュエーションってクリスマスとカジノの場面しか思いつきませんでした。

というわけで、クリスマスっぽい曲を作っていきますね。店内で流すような、明るくて華やかな感じを目指します。

ピアノスケッチ

Worms piano

本当はセクションとしてまとまっている音色を使いたいところですが、なんと、うちのホーン音源は和音を発音させるのが難しいので、最初にピアノだけのスケッチを作ってから、全部できた後でホーンの音色に差し替えていきます。

まずはざっくりと構成を作ってみました。

テーマ1 – テーマ2 – テーマ3 -(ソロ)- テーマ1 – テーマ2 – テーマ1 – テーマ1′

という簡単な構成です。

ドラムはとりあえずチーチッキチーチッキ…で鳴らしておきます。この段階でホーンアレンジを想定してリズムとハーモニーをつけておくと楽そうなので、そうしてみました。

また、キーもよく楽器が鳴る音域を意識したいですね。一番盛り上がる所で低いメロディラインにならないように、など。

イントロのテーマ1はベースラインを固定して上の和音を変化させるパターン。

テーマ2は単音のメロディにバッキングが絡むパターン。

テーマ3はソリにしてみました。

ソロはこの段階では入ってなかったのですが、後で足しました。

この段階でめちゃめちゃ時間かかってます。キーをあわせるのと、ソリのハーモナイズが難しかった…

ホーンセクションを想定したヴォイシング

さらにブラスアレンジをピアノだけで詰めていきます。

横の繋がりを考えながら、実際にどの音がどのパートに振り分けられるのかを考えながらヴォイシングしていきます。

まずは1コーラス目だけ。ハーモニーやリズムもブラスっぽく直してます。

ブラスのシミュレートなのでピアノではありえない弾き方になってますね。これは最初の派手な所なので、上から下まで音域をフルに使ってます。

前半をきっちりアレンジ

ここまで出来た所でテーマ1 – テーマ2 – テーマ3まで、ピアノをホーンセクション、ベースに割り当てました。

テーマ1、ここは最初なので全員参加で盛り上げています。

トランペット、サックスの下にトロンボーンが入って支える感じ。
クリスマス_2_ブラスシミュレート

テーマ2はサックスの主旋律とトロンボーンのバッキング。メロディの上にバッキングを載せない、というルールを守ります。主メロの裏で半音ずつ上がっていくトロンボーンのメロディがこだわりポイント。このスクショはベースが入ってません。
Horn_1

テーマ3のサックスソリ、後半にトランペットが入ってきて盛り上げます。全パートのスクショです。

Horn_2

チューブラーベル、鈴、スナップ、主メロにビブラフォンを入れてクリスマス感を足してます。

各パートをバラバラに打ち込んでいるんですが、いまいち打ち込みっぽいですね。フルを作ったあとで音色などを研究することにします。

すでにめっちゃ時間かかって心が折れそうです。

完成

さらにすすめて、こちらが完成したものになります。

心が折れたので2コーラス目はほとんどコピペになっております。許して。

物足りないのでソロを足したんですが、サックスやトランペットだと打ち込みくさくなっちゃうよなーと思ってピアノソロにしました。

エフェクトはなるべくナチュラルに。マスターにテープシミュレータのNomad FactoryのMAGNETIC II を挿して雰囲気を出してます。

Magnetic2

恥ずかしいですがMIDIデータも配布してみますね。参考になれば嬉しいです。

・ダウンロード | Christmas tree MIDI

各パートについて

打ち込みにおいての音作り、フレージング、使用音源など。

ホーンセクション

Blow that horn.

・♭キーにしよう
・音色を頻繁に切り替えてメリハリを出す
・音量のオートメーションを書く
・特殊奏法を織り交ぜたい

音域がうまくハマらなくて、キーをいじくりながら思ったのですが、キーでサンプルの鳴り自体が結構違う。
得意とされている♭キーのほうがリッチな響きになるような気がします。

キースイッチで音色を頻繁に切り替えたほうがメリハリがついていいですね。やさしめのレガート、最初が強いレガート、スタッカートなど、メロディ、場面に合わせて。

もちろんベロシティ、ヒューマナイズでの表情付けも大事。

特に伸ばす場面ではオートメーションを書いて表情をつけたほうがよいですね。今回の曲ではやりませんでした。反省。

あと、今回は奏法を全然使わなかったんですが、サンプルのフォール等を入れるだけでもかなり生っぽさが増します。

音源 | CHRIS HEIN HORNS PRO COMPLETE

ビッグバンドであれば「Broadway Big Band」のほうがいいかも。

■Broadway Big Band | Fable Sounds

ピアノ

the pianist and the little kid

今回はホーンを補強する形で、ちょっとだけしか入ってません。

ソロを入れちゃっておりますが、頭のなかで考えたフレーズをそのまま打ち込んでいます。ホーンセクションと違い、ほぼ単音なので楽ですね。

音源 | Ivory II

大定番。柔らかくて表情がある音です。

普通に使うとメモリ使用量がすごいので、設定で反響などを削って軽くして使ってます。

ベース

Paul is Upright Citizen

・ピアノロールに音を並べていくより鍵盤で弾きながら音を探ると早い

ウォーキング+コードトーンということで間を埋めるように音をマウスで置いていけばそれっぽくなるかなと思いきや、案外なりません。鍵盤で弾きながらのほうがラインが浮かびますね。僕がベーシストだから、というのもあるのかも。

とにかくウォーキングラインさえ組み立てられるようになれば大丈夫でしょう。

音源 | Kontakt factory library 

スクリーンショット_2015-01-27_22.10.21_012715_101107_PM

Native Instruments のサンプラー「Kontakt」の標準ライブラリーのものです。Upright Bassという音色。

やはり打ち込みだとどうしても偽物っぽくなりますね。

Lightwave のフレットレスベースを持っているので、割とアコースティックなベース音を録音できるのですが、今回は気力がなくて諦めました。

ドラム

taye drums 8

・スネアは木製のものがよさそう
・フィルは全部変える
・リムショットを使うとかっこいい

キットの点数は少なく、シンプルに。木製のスネアの音のほうがビッグバンドっぽいですね。

ちょっと調べたのですが、やはり、ジャズはメイプルやバーチあたりの素材のものを使うようです。

・ドラム自習室 スネアのシェル 材質の違い

フィルインや、ゴーストノートはコピペしないで毎回変えたほうがいいですね。

オープンリムショットを要所で入れるとカッコイイですね。音源に入っているはずなので使いましょう。あと、キックの使いドコロが難しいのですが、色々なものを聴いて覚えるしかないのかな。

音源 | Superior Drummer 2.0

現在は3.0になっています。

どんな曲にでも対応出来るので愛用しています。特に木のスネアの種類が多いのがいい。

ギター

Aria TA 80

ギターは入れるの忘れて…いや、セミアコの音色がないので…この曲には入っておりませんが、ハムバッキングのギター音源で、設定を詰めればなかなかいいトーンにはなるのではないでしょうか。

ひたすらジャズのコンピングをしてくれるギター音源はないのかな。

おしまい

四回に渡るビッグバンド特集、いかがでしたか?

僕のセオリーとして「未知のジャンルは2回作ると、2回目のクオリティがグッと上がる」というのがあります。こおろぎ先生の次回作にご期待ください!

実は、仕事でビッグバンドの楽曲をいくつか作る事になりまして、調べているうちにきちんと勉強してみようという考えになり、この記事を書いてみました。

ビッグバンドの作曲、編曲、打ち込みができるようになりたい【第一回】ざっくりと全体を把握する

ビッグバンドの作曲、編曲、打ち込みができるようになりたい【第二回】使用されている楽器の事を知る

ビッグバンドの作曲、編曲、打ち込みができるようになりたい【第三回】楽譜を分析してみる