Versilian Studiosが配布している無料オーケストラ音源「VSCO」のレビューです。
ざっくり
・素朴な乾いた音色
・作りが荒い
・動作が軽い
・ドライでマイクも近いのでポップ系の楽曲にも混ぜやすい。かもしれない
・おすすめはピアノ、ハープ、音程打楽器
・ストリングスはほとんど入ってない
とにかく軽い。すぐ全音色立ち上がる。マルチティンバー音源なので、MIDIチャンネルを変えれば音色が変わります。余計なパラメーターもないのでわかりやすくていい。
このメーカーのメインはベルやシロフォンなどの音程打楽器系みたいなので、そっち系の音が全体的にいい感じ。
あと、「.dll」とライブラリを同じ階層に入れないといけないのが特徴的で、僕の場合はプラグインと一緒のフォルダ「VSTPlugin」にライブラリも入れてます。
このVSCOだけで作ったデモです。リバーブも付属のものを使用。メロディをあまり動かさずに、フワーッとしたのを作れば結構いい感じに仕上がります。
※追記 なんと僕が作成した上のデモ「God only knows」が公式デモとして収録されました。公式サイトにものってます。
収録楽器
フルート、クラリネット、バスーン、ヴァイオリン、ヴァイオリンセクション、ハープ、ホルン、トランペット、トロンボーン、バス・トロンボーン、ティンパニ、シロフォン、チューブラーベル、グロッケンシュピール、オーケストラパーカッション、ピアノ
オーケストラとして足りない楽器は、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。
ヴァイオリンも本来より低音域が出ないので、弦の足りなさが辛いですね。奏法のバリエーションもないし。中低域をどうやってうめていこうかなっていう。
あと、ほとんどがソロ音色なので、ホルンでメロディを吹くのはつらいかな。
全体の音色について
すっごい素朴な音色。ドライで近いマイキングなので、ポップ系の楽曲で混ぜやすそう。最近のオーケストラ音源って音が遠くてポップ系に使うと浮いちゃうんですよね。
ベロシティで音色が切り替わらなかったり、ピチカートなどの奏法バリエーションがなかったりする男らしい仕様だったり。
ループの都合だと思いますが、各楽器とも音量変化に乏しいので、ボリュームカーブをうまく書いてやるといいかなと思います。
しかし、個別のチャンネルでボリューム操作出来ないので、楽器別に音源を立ち上げないといけない。
リバーブいいですね。IRっぽい感じ。デモでは付属のリバーブだけで作ってます。元の音色は低音が薄い感じがしますが、リバーブがうまく低中域のボリューム感を出してくれる。
あと、うまく音色がエディットされてない箇所があります。音の始まりやループ箇所でブチブチいってます。うまく隠して作っていきたい。シンバルの途中でノイズが入ってるのが結構クリティカルですが…
各音色レビュー
番号順にレビューしますね。ピアノ以外は実際のスコアでの並び順になってます。
◆1.Flute フルート
1オクターブ高く、G3までしか出ません(普通のフルートの最低音域の5度上)
ビブラートが結構かかってますね。刻みに使おうとすると気持ち悪いです。
◆2.Clarinet Bbクラリネット
音域的にはBbかな。音が硬いので使いづらそう。
◆3.Basson バスーン
低音はめっちゃリード楽器です!っていう音がしますね。悪くはないです。高音がひどいw琴みたいな音です。是非鳴らしてもらいたい。
◆4.Horn ソロホルン
びっくりするほどドライな音。高音はトランペットみたいです。
◆5.Trumpet ソロトランペット
アタックは早いですが、きらびやかさはないです。
◆6.Tenor Bone ソロトロンボーン
なんかちょっとノイジーに聴こえますが、和音で使うと悪くないです。
◆7.Bass Bone バス・トロンボーン
あまりやる気が感じられないです。低音もそんなにないし、へにょへにょした音です。
◆8.Timp./Xylo ティンパニ / シロフォン
ティンパニはドライで、ポップ系の楽曲に入れるのにいいかもしれない(いいとは言ってない)
シロフォンも悪くないですね。デモの冒頭でも使ってます。
◆9.Chimes/Glock. チューブラーベル / グロッケンシュピール
チューブラーベルはノイズが乗ってます。でもそんなに悪くはない。発音のタイミングが遅いので、遅らせて打ち込まないといけないですが。
グロッケンは低音のアタックもきちんと収録されていていいですね。好きです。
◆10.Orch Perc. オーケストラパーカッション
ひと通りの打楽器が収録されてます。グランカッサのロールは助かります。タム系も多いし。
シンバルロールとウインドチャイムに切れたようなノイズが入ってるのが痛い。
◆11.Harp ハープ
めっちゃ雰囲気いいですこのハープ。でもノイズすごい。ザーっていう高域のノイズとか、ピッキングノイズとか、イスをガタっていわせてるノイズとかがふんだんに入っております。そして音がでかい。
◆12.Violin ソロヴァイオリン
みんなおまちかねのヴァイオリンです。まず最低音が普通のヴァイオリンの1オクターブ上のG3までしか出ません。上は出ます。G線が切れてたのかな?
メロトロン的な使い方だと割とハマるかもしれない、っていうかメロトロンっぽい音ですね。
◆13.V.Section ヴァイオリンセクション
こっちのほうがメロトロンだったわ。是非テープシミュレーターをカマして使っていただきたいっすね。
そしてなんで最低音がG3までしか出ないの。
◆14.Concert Piano ピアノ
結構好きです。ショボさより味わいが勝ってる感じ。
色々と荒いところがありますが、改めて考えるとオーケストラ音源が無料ってすごいですね。
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— ICON (@ICON_jp) April 10, 2014
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