8種類のマイクで音作りをしていく明るいピアノ音源、Waves『Grand Rhapsody Piano』レビュー

ソフトウェア音源

Waves『Grand Rhapsody Piano』を導入しました。

世界で最も高額なピアノと言われる、ファツィオリ(Fazioli )をサンプリングした音源。

ロンドンのメトロポリス・スタジオにあるFazioli F228というモデルです。

Kontaktではなく、単独で動きます。

評価★★★★★

・派手で明るい音
・マイクの種類、ポジションで音作りをしていくタイプ
・ピアノそのものの設定はほとんど変えられない
・画面移動がない
・高スペックが要求される
・めちゃくちゃ安い

ピアノそのものの設定はほとんといじれず、マイクの種類と立て方、混ぜ具合で音を作っていくタイプ。

プレイヤーよりも、エンジニア向きの音源ですね。音色のエディットも丁寧にされている印象。

サウンド

公式動画

派手めで、ウェットめな音。固くて音程が見えやすいんですが、膨らみもあるので耳に痛い感じではない。

低域も固くて分離感があるので気持ちいいし、ドライな設定でも高域が伸びるので気持ちいい。

刻むようなフレーズよりも、アルペジオのようなフレーズのほうが得意そうです。

多くの音が入っているオケの中でも存在感が出そう。僕はかなり好きな音です。

マイクで質感を変えられるので、わりとどのジャンルでもいけそうですが、なんともないような日常っぽい、ドライで落ち着いた雰囲気の曲には合わなそうな気はします。

比較

というわけで、あえてGrand Rhapsody Pianoが苦手そうな、ポップな曲で比較してみました。

Native Instruments『The Grandeur』

普段使っているやつです。響きがいやらしくなく、プレーンで地味な音。
多くの音の中では存在感が出しづらい音源。CPU使用率はバカみたいに低い。


 

Toontrack EZ Keys『SMALL UPRIGHT』

アップライトピアノ。この曲の本番はこのピアノです。響きが多く、明るくて特徴的。


 

Waves『Grand Rhapsody Piano』

もっともドライな、ダイナミックマイクのクローズです。
響きが明るいですね。ちょっと上品になってしまうような気はしますが、意外と悪くない。

8種類のマイク


この音源の面白いところは、8種類もあるマイクとマイクポジションで音づくりをしていくタイプだというところ。

ピアノそのものの設定をいじっていくIvoryなどとは全く違う音作りができます。

基本的にはClose(クローズマイク)を使っていくことになると思う。他のマイクを足して、クリエイティブに音を作っていくのもおもしろそう。

マイクごとの音をレビューしてみます。

Cond87 Close

コンデンサーマイク「Neumann U87」のクローズ。ドライですが、若干の反射音を感じます。
プレーンな音なので、この音が基準になりそう。

Dyn57 Close

ダイナミックマイク「Shure SM57」のクローズ。これが一番ドライです。

ドライだけど、高域が詰まることがなく、きれいに伸びていて気持ちいい。

Ribb4038 Room

リボンマイク「Coles 4038」のルーム。

イメージのリボンの音ってもっとくぐもった音だと思ってたんですが、派手ですっきりしていますね。ルームといってもいやらしい反射がないし、しっかりした音です。

Cond451 player

コンデンサーマイク「AKG C451」名前から想像すると、プレイヤーに聴こえている音に近い音なのかな。

アタックが強くてかなり明るく、ドライめな音です。

このマイクだと、自分が演奏している気分になりますね。

Cond 4007 Close

コンデンサーマイク「B&K 4007」のクローズ。

この中では高域に丸みがあり、落ち着いた音。反射音は強め。弾き語りによさそう。

Cond 84 Room

コンデンサーマイク「Neumann KM84」のルーム。

音は遠いんですが粒立ちが良く、透明感がありますね。

絵画的な曲に合いそう

Ribb 121 Medium

リボンマイク「Royer R121」のミディアム。

ドライめで落ち着いた音。

すこしくぐもった感じに聴こえます。

Cond 17 Medium

コンデンサーマイク「SE RN17」のミディアム。

落ち着いた、一歩奥にあるようなイメージの音。


 

ポジションはクローズ、ミディアム、ルームの3種類がありますが、ルームは遠くに立ててあるわけではなくて、どれもピアノ上のポジション。

「これは使えないな」というものがないのがすごい。それぞれ、使う曲に合わせてフィットさせることができて使い勝手がよさそう。

パラメータ

パラメータはこれで全部。画面移動がないのがいいですね。

蓋を開け閉めしたり、チューニングをいじったりということはできません。

特にFormantの効きが素晴らしく、自然に明るさを調節できる。

ハンマーの戻る音(Key UP )は目立つので、あまり上げることはなさそう。

Sustain Resonanceはかなり派手にできますが、使えそうな派手さでいい感じです。

エフェクトもそれぞれWavesクオリティなので、効きがいいです。

サンプルはSDとHDの2種類

ソフトとは別にサンプルをダウンロードして読み込みます。

5.83GBの「SD」と13.3GBの「HD」の2種類のライブラリがあります。

ただ、どう違うのかがどこにも書いていないので、詳細は不明です。

スペックを見ると96kHzと書いてあるので、すくなくともHDは96kHzなのかもしれません。

サンプル読み込みがすこし遅く、HDDだと1分近くかかります。

高スペックの要求

基本のCPU消費率はかなり高い。これを立ち上げるだけで結構やばくなっちゃう人も多いかもしれません。

僕の環境(Core i7-6700)だと、CPU使用率10~25%くらいで推移します。

負荷をかけると音切れも出るし、そこそこの高スペックが要求されます。

安い

イントロ価格で$29ですが、おそらくレギュラーでもそこまで高くはならないだろうし、セールも頻繁にやると思います。

しかし、安いからという理由で妥協して選ぶような質の低いピアノではないので、コスパはものすごくよいです。

Ivoryの10分の1以下だと考えるとすごい。

おわりに

相当いいです。値段設定がおかしい。僕は基本的にWavesのインストゥルメントの音って好きなんですよね。
しばらく使ってたんですが、常にこれを使うくらいになりました。

リンク

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