AURALEX ATOM-12 System コーナー吸音材セット パープルを購入しました。
AURALEX ( オーラレックス ) / ATOM-12 System コーナー吸音材セット パープル
12個のベーストラップと4個のキューブ型吸音材のセットです。
サウンドハウスで2月に注文して8月に届きました。世界情勢の色々で遅れたみたいです。
ベーストラップとは
ベーストラップとは、低音の吸音特性に特化した吸音材です。
通常の吸音材では低音の吸音効果はほとんどないので、低音はベーストラップで対策することになります。
すこし前に音楽制作スタジオの音響測定をして、デスクを動かしたり、吸音材を張ったり、ベーストラップを4個だけ設置したんですが、全くといっていいほど部屋の音響に変化がありませんでした。
色々調べたところ、ベーストラップの取り付け位置が良くなかったのと、シンプルに量が足りなかったんじゃないか、という仮説にたどり着きました。
ということでこのコーナー吸音材セットを購入してみました。
ベーストラップを置く位置をシミュレーション
今の部屋はこんな感じ。ざっくりですが。
正面は壁とカーテン、タペストリー。
左側が防音室、右が壁とクローゼットになっています。
真ん中にデスク。
ベーストラップを正面のコーナーすべてに配置します。
寸法が余り、左右の下が空いてしまうので、ここはベーストラップをカットせず、木で台を作ります。
ベーストラップをカットしないのはシンプルにもったいないから。ほんとうはカットしてピッタリくっつけたほうがいいはずです。
右上と後ろにも設置します。
天井と壁のコーナーのベーストラップを設置するときには、接着剤は使わずに木の板を打ち付けて設置していきます。
台と木の板を制作
切る
材料はパイン集成材30×60cmとひのきのめん棒。モノタロウで発注。
ひのきはいい香り
台はシンプルに三角にしようと思っていたけど、ベーストラップが出っ張っている部分まで台にいれたほうが倒れにくくなるなと思ってその部分を追加することにしました。
巾木のぶんも考慮する。1cmくらい。
ピッタリ合わせるために寸法を少しきつめに作っていきたい。
結構硬く、1cmも縮まない。
とりあえず4つ合計で2cm縮むように作っていきます。
仮組み
寸法がきつすぎて中間の部分が少したわんでるので、少しだけ切って余裕を出したい。
ピッタリになりました
左側も作りました
次に天井と壁のコーナーにベーストラップを設置するための支えの板を作ります
材料は桐。100均で購入。
軽くて天井から落ちにくいし加工もしやすいので。
ベーストラップの角にはめるために45度で切る。
12個作りました
塗装
塗料はつや消し水性ウレタンニス ブラック
仕上がりの見た目はあまり好きではないけど、
今回はそんなに見える場所なものではないことと、
木材を保護する力が強いということで選んでます。
ペンキやスプレーだとぶつけたときにすぐ剝がれちゃうんですよね。
一回目塗り終わり
一旦組み上げてから二回目の色を塗ります
使用する釘は画鋲サイズの細いもの。
賃貸なので原状回復ができるようにします。
黒さが足りないので見える部分だけブラックのスプレーをしました。
ニスの上からスプレーをしているので、ちょっとぶつけても目立たない。
邪道な気がするので、今度塗装を勉強しておきます。
台に吸音材を入れていきます
AURALEXのベーストラップは切り刻みたくないので、
安い吸音材を買って切り刻むことにしました。
切断面は見た目が悪いので吸音材の表側をはめます
完成
仮設置をしてみます。
真ん中に穴が開いてるので、100均の棒を入れて強度を上げることを思いつきました。
巾木とその上の壁にはほとんどぴったりくっついてます
2種類の吸音材の見た目の整合性も取れてる
出っ張り部分も支えられていて倒れにくくなっているはず
上のキューブはぴったり天井にくっついてます。天井にぴったりくっつけるのが音響的に非常に重要です。
というわけでパーツは全て完成!
取り付け、測定
ベーストラップを取り付ける前の作業スタジオ
一旦音響を測定
iLoudMTMの音響補正機能で補正してるんですけれども
低域の乱れが補正しきれてないですね。特に150Hz。
キックとかベースとかギターとか男性ボーカルとか
かっこいい音楽のキモになる部分なので改善できると嬉しい。
正面のコーナーのみにベーストラップを入れました。
150Hzが明らかに減ってます。
低域の波が全体的に穏やかにもなっている。
右上、後ろにもベーストラップを設置していきます。
余ったので予定してなかった奥のほうにも設置してみます。
支えの木が足りなくなってしまいましたが、画鋲で設置できました。
全て設置完了したので音響を測定していきます。
正面に設置した時よりも効果は小さいんですけれども
70Hzと150Hzに-1dBくらい効果があります
さらにiLoud MTMのキャリブレーションをやってみて測定。
これが最終的な音響です。
70Hzは完全に抑えられています。150Hzもフラットにはなってないけどかなり抑えられました。
左右のスピーカーの波形も揃ってバランスが良くなってます。
逆に、110Hzや180Hzあたりのディップは改善されていません。
反射でキャンセルされていたり、音の波の節になっている周波数だったりするので、
吸音材で音を吸っても効果がないんだと思います。
別の方法でアプローチする必要がありそうです。
ベーストラップ設置前でiLoud MTMのキャリブレーション前の、完全に何もしてないものとベーストラップとiLoud MTMのキャリブレーションをしたものを比べるとこんな感じです。
ベーストラップとiLoud MTMを組み合わせることでかなりフラットな音響に近づいてますね。
さらにARC3を組み合わせることでほとんど完全にフラットな状態まで持っていけます。
実際にはARC3はめんどくさいので使わないですが…
まとめ
ベーストラップを入れることで、これまで全くコントロールできなかった低域をコントロールすることができました。
色々やってほぼ唯一効果がはっきり出たのが「ベーストラップをコーナーにきちんと置く」ということでした。
ベーストラップは完全にオススメできます。
音響の補正ができるスピーカー、iLoud MTMも同じくオススメです。2つを一緒に使うことでシナジーがあります。
周波数上の見た目も整ったんですけれども、サウンドも整いました。
低音が引き締まってリズムがタイトに聴こえます。ミックスが見えやすくなったと感じます。
ミックスダウンをバキバキ納品していきたいと思います。
では。
AURALEX ( オーラレックス ) / ATOM-12 System コーナー吸音材セット パープル
AURALEX ( オーラレックス ) / ATOM-12 System コーナー吸音材セット チャコール