半年待ったRME Fireface UCXIIが届いたのでレビューする【オーディオインターフェイス】

楽器・ハードウエア

作曲家のこおろぎです。

オーディオインターフェースのRME Fireface UCXIIを購入しました!

RME Fireface UCXIIは、20入力20出力192 kHz対応のUSBオーディオ・インターフェイスです。

2021年7月の初め、予約開始直後にRock oNで予約し、2021年12月下旬に届きました。

7月下旬ぐらいに「お届け予定が12月下旬になります」とメールが来て、遅くはなりましたが予告通りの到着です。

予約特典でOYAIDE NEO d+USB Type-C classB/1.0mをいただきました

といってもうちはType-Cがパソコンに挿せない…

実は元々オーディオインターフェイスに、このモデルのType-Aのほうを使っているんですね。なので損をした感じが全然ない。

これは何か他の用途で使いたいと思います。USB Type-B to Cを使う機材はほぼないんですけど…

なぜUCXIIを買ったのか

今使っているFireface UCは古いインターフェースで

2009年発売と、10年以上前に発売されたものです。(後継のUCXも発売が2012年)

なのでいろいろと仕様が古いんですね。

でも、使っていて全く問題がない。

UCのままでも別にいいと思えるんですけど、UCXIIが新しく出たことで、
安定感を保ちつつアップグレードできる選択肢が出てきました。

そしてUCと同じく、UCXIIも10年くらい現役で使えるだろうなと。

10年単位で使えるなら早く買っておいた方が長く利益を得られるなと。

そういう考えで発売直後に買いました。

それでは、UCと比べながらUCXIIを見ていきます。

外観

正面銀色のパネルのラメ感が増しています。

パネルの凸凹やランプがなくなり、スッキリした印象になりました。

他の部分はFireface UCとほとんど同じ質感ですが、角が丸めてあったりと、より作りが丁寧になってるような印象を受けました。

入力の数は変わってないですが、レイアウトはだいぶ変わっていますね。

ボリュームノブが大進化している

ボリュームノブの位置がすごくいい。

UCはヘッドホン端子が右端で、ボリュームノブが中央だったんですが、

これだと、体の左側に本機を置いているとヘッドホンの端に手が当たるんですね。左右の出っ張りになっているハンドルも邪魔になっています。

UCXIIのツマミは正面右端についていて、体の左側に本機を置いて使う場合、何も障害がないので快適です。

ただ、左手で操作するとディスプレイが見えにくいです。

また、48V(ファンタム電源)のランプがUCとは反対側の左になっており、XLRのコネクタを挿すとランプが確認できません。

そうしたことから、本来はUCXIIを正面に置いて、右手で操作することを想定している感じがします。

ボリュームノブはカタカタという手ごたえがあるノッチ式で、0.5dB単位で音量が変化します。ディスプレイにも表示されます。視認性がよくて便利。

基本はメインボリュームで、ボタンを押すとヘッドフォンのボリュームに切り替わります。
もう一度押すともう一度メインボリュームとなり、シンプルでわかりやすい操作になっています。

UCはノブが回しにくく、複雑な操作だったので大進化です。

UCはスピーカーとの間にモニターコントローラーを挟むことが必須だったのですが、もしかしたら外すことができるかもしれません、外せれば音質的には有利です。

ボリュームノブはUCよりも大きく、しっかりした質感になったのですが、それでも小さいのが気になります。

同社AVB Toolくらいの大きさだったらほんとうに最高だったけど…

外部コントローラーARC USBとの兼ね合いをしながら、どうコントロールするのがベストか考えていきたい。

電源のスイッチはボリュームと同じノブを2秒長押し。

消すときも長押しして消します。力が入ったら間違って消しちゃいそうな気もします。

裏側

裏側を見ていきます。

端子の数の違いはあまりないです。

新しい部分としてはUSB Type-Aコネクタが特徴的です。

DURecという機能がついており、USBメモリ等を挿してUCXIIから直接レコーディングができます。

外でレコーディングする時のバックアップなどに使えます。

パソコンでも録音して、インターフェースでも一応録音しておく、みたいなことができる。

また、これは前のUCXから変わっている部分ですが、UCと比べるとMIDI端子がブレイクアウト・ケーブルから内蔵になったことで、見た目もスッキリしたうえ、ケーブルが外れにくくなっています。

そして、音声の入出力のジャックは上から覗き込んでケーブルを差し替えやすくなっています。

また、LRや奇数偶数チャンネルも上下なのでわかりやすい。

UCはオーディオのジャックが下側に並べてあったので、感覚で把握できず、視認性もよくなかった。

狭い室内で、個人ユースを想定された素晴らしい変更です!

電源の穴がねじ曲がってるように見えますが、これは電源アダプタのロック機構がついているからです。

電源アダプタを入れてねじるとロックがかかって抜けなくなります。

外で電源コードに引っかかって抜ける、みたいな事故が少なくなりそう。

付属品

パソコンとの接続はUSB Type-B。ケーブルはType-B to CとType-B to Aが付属していて、どちらでも接続できるようです。

デジタル入出力(AES/SPDIF)はブレイクアウト・ケーブルになっています。使わない人は装着しなくてもいいので、外観をスッキリさせることができます。

外側の時点でかなり使いやすくなっているのを感じます。悪くなった部分、というのが見当たらず、純粋に最適化されている印象。

電源ケーブルにはランプがついていて、きちんと接続できているのかがわかるようになっています。故障した際にも原因の特定がしやすそうです。

セットアップ

セットアップをしていきます。

ドライバとファームウェアをダウンロードしようとしたんですが、

ドライバが置いてあるはずのページにリンクが見つけられません。

UCXIIの製品ページにファームウェアとドライバのリンクがあるので、そこからダウンロードしました。

■UCXII製品ページ | Synthax japan
https://synthax.jp/fireface-ucx-ii.html

■本来のドライバページ
https://synthax.jp/drivers.html

TotalMix FXをインストールしたんですが

UCと同時に使うとデフォルトではUCのミキサーが表示されます。

右上を切り替えるとUCXIIの画面になります。

UCXIIのTotalMix FXの画面はこれ。

上がINPUT 真ん中がPCのPLAYBACK 下がOUTPUT。
見た目はいままでとほぼ変わりません。

UCと違うのは、コンプレッサーやイコライザが掛けられるようになっていること。

最近の機種はエフェクトがかけられるものがありますが、UCはかけられなかったんです。

とりあえずこのエフェクトは、デスクで座ったままボーカルを録るときにリバーブをかけたりするときに役立ちそうです。

また、Auto Set機能というものがついていて、

Fireface UCXの完全にデジタル制御されたゲインにより、音声信号を劣化させずにゲインを自動的に減少させてオーバーロードを防ぎます。これらは一切の電子回路を通さずに処理されるうえに、一般的なリミッターで発生する操作時のノイズも無く、SN比と歪率はそのままです。■UCXII製品ページ | Synthax japan
https://synthax.jp/fireface-ucx-ii.html

とのことで、謎技術でレベルオーバーした音声が歪まないようになっているようです。ありがたすぎる。

サウンド

Fireface UCとFireface UCXIIを聴き比べてみます。

いつもの和田貴史さんのモニター確認用リファレンス音源を使います。

印象としてはUCXIIの方が粒立ちが良くシャープに聴こえます。

トランジェントがわかりやすく、キックやボーカルがどのくらい前に出ているのかがよくわかります。

また、UCXIIのほうががクリーンに感じ、逆にUCの方がちょっとだけ歪みっぽく聴こえる。UCも相当クリーンで、歪みっぽく聴こえるなんてことはなかったのですが。

UCXIIのほうは高域も伸びがある。

実際に曲を作ってみましたが、UCよりもより繊細に聴こえるようになりました。

粗が目立つし、ショボいときはショボく聴こえる。歪むとすぐ不快に感じるし、0.5dBの違いが大きく感じるようになった。

全体のバランスとか印象としては変わってないのですが、方向性は同じまま堅実に良くなっています。

録音もするDTMerにピッタリなオーディオインターフェイス

Firefaceのハーフフラックのシリーズは、ハードウェアの感じや入出力の感じが僕の使い方にベストなんですね。

参考に、入出力のチャンネルをそれぞれどう使っているかをお話ししておこうと思います。

アナログは8IN8OUTと結構チャンネル数があるんですけど、ほとんど全部使っちゃいます。

IN

CH1 デスクトップのマイク
CH2 1とのステレオ用等。予備
CH3、4 空
CH5 ギターのライン
CH6 ベースのライン
CH7、8 防音室、マイクプリからの入力

OUT

CH1、2 メインスピーカー
CH3 IN CH5からのギター音声をそのまま出力
CH4 ?
CH5、6 防音室へのキューミックス
CH7、8 ヘッドフォン

IN CH1

デスクトップのマイク

ここで仮のナレーションとかセリフとか音声とかを録る。ZOOMなどの通話にも。

なぜこれがCH1なのかというと、表ですぐ繋ぎ変えて、別のマイクを試したりなどができるように。

頻繁に繋ぎかえないものはなるべく後ろに回しています。見た目がスッキリして気持ちいいから。

IN CH2

開けてあって CH1とステレオで何かする時に使います。

IN CH3、4

ここも基本開けてあります。非常用。

IN CH5

ギターのライン。ケーブルは繋ぎっぱなしです。

IN CH6

ベースのライン。こちらもケーブルは繋ぎっぱなし。本体のほうを抜き差しする。

IN CH7

防音室のマイクプリからの入力。
マイクプリ本体は防音室内にあり、そこから引き込んでいます。

IN CH8

プリアンプ Universal Audio 710 TWIN-FINITYを接続。
ベース用ですが、アクティブのベースを買ったので最近使っていません。

次はアウトプット。

OUT CH1、2

メインスピーカー。
やはり1、2はメイン。

OUT CH3

IN CH5からのギター音声をそのまま出力。

ギターの音を一度オーディオインターフェイスに入れて、生音の方を録音しつつ、生音をこの
AMPLIFi TTで歪ませ、モニターコントローラーに直接出力しています。

AMPLIFi TTと通した歪んだ音や音作りした音はレコーディングしません。

歪んでいたほうがギターが弾きやすい場面があるので。また、DAWでモニターするとレイテンシーがあるので。レコーディングで耳で聴くためだけのアンプシミュレーターです。

OUT CH4

謎です。闇に繋がっています。

OUT CH5、6

防音室へのキューミックス

防音室にメインの出力をそのまま流していて、防音室内のミキサーで音量を調節します。

これで入出力はほとんど全部使い切っています。

さらにMIDIも挿しています。デジタルの入出力は使っていません。

過不足なしのベストな入出力数です。

そして、UCもUCXIIもハード部分の仕様がほとんど変わらないので、

今の状態をそのまま繋ぎ替えるだけで済みます。

おわりに

ハードもソフトもサウンドも、基本的なところはそのままで、そのまんまアップデートした印象です。

「老舗の伝統の味をそのまま出してます」「代替わりしても同じ味です」という感じのインターフェースです。

ずっとRMEを使ってきた人はすんなり移行できると思います。

さっそく今日から使っていきます。

■RME Fireface UCXII | Rock oN

動画