Leap Motion+フィジカルモデリング音源が木管・金管のソロ打ち込みで最強な理由!

テクニック

作曲家のこおろぎです。

今回はフィジカルモデリング音源×Leap Motionという最強コンビを紹介します。

もう2年くらい使っています。なくてはならないデバイスのひとつ。

何に使っているのかと言いますと、

フィジカルモデリング音源のエクスプレッションの入力です。

いろんなことができるんですけれども、ほとんどこの用途にしか使っていません。

フィジカルモデリング音源はLeap Motionで入力しないと使わないし、
Leap Motionもフィジカルモデリング音源でしか使わないので、

この二つを同時に使うことでシナジーがあります。

フィジカルモデリング音源×Leap Motionのメリット

・準備不要で演奏、MIDIデータを入力できる
・生々しい演奏になる

準備不要、っていう言いかたはちょっと変に聴こえるかもしれないんですが、フィジカルモデリング音源を鳴らすためにはエクスプレッションの入力が必須なんですよね。

そのための入力機器として最適です。

Leap Motionとは

まず、Leap Motionとは

「手のジェスチャーによって操作ができる入力機器」

です。

手を上に掲げるとデータが入力されます。

上下左右に動かしたり、ひねったりなど、いろいろな手の動作をそれぞれパラメーターに割り振ることができます。

上下の動きをエクスプレッションに割り当てているだけ

僕の使いかたとしては、上下の動きをエクスプレッションに割り当てているだけです。

色々なパラメータを同時に操れるようにしちゃうと、

パラメータを設定しちゃうと手をかざすだけで入力されてしまうので「こっちは固定でこっちだけを動かそう」みたいなことができない。

常に全部のパラメーターを意識して操作しないといけなくなっちゃうんですね。

なので、僕は一つのパラメーターだけにしました。

しかし、上下の手の動きをエクスプレッションに割り当てているだけで十分便利だと感じるので、使いこなせる人はもっと便利だと思うはずです。

Leap Motion導入のメリットは人間味のある演奏

一番は人間味のある演奏させられるということ。

なんでもないようなフレーズでも、手は不安定なのでその揺らぎが入力され、人間味が出ます。

マウスでポチポチ書いちゃうとどうしても機械的になっちゃったりとか、ビブラートも均一になっちゃったりします。

最初から揺らぎのある入力をしておいて、やりすぎた部分だけを後で修正したほうが人間味のある仕上がりになります。

まさに実際の楽器のレコーディングと同じような感じ。

ビブラートに一番効果がある

特にビブラートに一番効果があると思ってます。

ビブラートって、曲調やフレーズによってかける速さが全然違うじゃないですか。

楽器でビブラートの練習をするときも「テンポに合わせてビブラートをしましょう」っていうところから始まるんですけれども、

サンプリングされている音源だとビブラートのかけ具合が決まっちゃってる。

柔軟性が非常に少ないんですね。かかる速さも、かかり始めも同じとか。

曲調によっても違うしフレーズによってもビブラートは違うんだけれども、全部一緒になっちゃうっていう。

一定のビブラートで打ち込んじゃうと、機械的というか、無神経な演奏に聴こえる楽器の音になってしまう。

他デバイスよりLeap Motionがいい理由

入力デバイスも色々試しました。

まずAKAIのEWI。

それはいちいち構えるのがめんどくさかった。

持って、吹いて、置いて、また持って、吹いて、みたいな。

この動作が面倒。

キーに触っちゃったら音程が入力されちゃうとか、そういうのがあったので使わなくなりました。

あと、使った後は口のところを拭かないと気持ちが悪いので、拭くっていう手間もかかる。

Leap Motionなら常にスタンバイになってるので、手をかざすだけで入力できます。

めちゃくちゃ楽です。

他のスライダー型、ノブ型のMIDI入力機器はどうかというと、できない動きがあるんですね。

それは、

「ビブラートをかけながらダイナミクスを変える演奏」

僕の場合は、手首のスナップをビブラートにして、腕の動きをダイナミクスにしながら、

「ビブラートかけながらちっちゃい(大きい)音量になっていく」という演奏をするんですけど

MIDIのフェーダー、ノブだとその動きはやりにくい。

そういった部分がLeap Motionがいい理由です。

フィジカルモデリング音源について

そのLeap Motionの人間味についてきてくれるのが

「フィジカルモデリング音源」です。

そもそもフィジカルモデリング音源ってなんなのかというと、

「実在する楽器の物理的な構造をシミュレーションして音を出す音源」

です。

ピアノとかストリングスとか、実在している楽器を録音して、

それをプログラムして鳴らしてる音をPCM音源というんですけれども、

このフィジカルモデリング音源は0から、何もないところから計算でサウンドが生成されます。

PCMとフィジカルモデリングがハイブリッドになっている音源もあります。

フィジカルモデリング音源の強みと弱み

強み

・ソロ(演奏)に強い
・演奏の表情を自由につけられる
・容量が少ない
・操作できるパラメータが多い
・ビブラートのかかり具合を柔軟に変えられる

弱み

・アンビエントがない
・サウンドを曲に馴染ませるのが難しい
・アンサンブルのサウンドを作るのが難しい
・パラメータを追い込まないといいサウンドにならない

演奏の表情を自由につけられる

PCM音源だと、録音した音しか出せないんですけど、

フィジカルモデリング音源なら計算なので、いろんな音が0から生み出せます。

現実ではありえない音すらも計算で出すことができます。

そのため、細かい表情の柔軟性があります。特にレガートとかダイナミクス。

スタッカートがどれだけ鋭いかを決められたりとか、表情が変わっていくようなクレッシェンドがやりやすい。

サンプリングされたものだと尺が決まっちゃってて

「ここからここまでのクレッシェンドでこういう風にカーブします」

って言うのが決まってるんですけど、

フィジカルモデリング音源だと自由に設定できます。

サンプリング音源だと、音量をただ上げていっても音量を上げた音にしかならないですが、

フィジカルモデリング音源だと表情が切り替わっていくクレッシェンドになります。

容量が少ない

そういうふうに計算で作っていくのでフィジカルモデリング音源というのは

容量がかなり少ないというのもポイントです。

サンプリングされた音源が何百GBに対して、フィジカルモデリング音源だと何十MBだったりする時があります。

レガートとダイナミクスのバリエーションは、サンプリングされた音源だと大容量になったりとか、バリエーションが少なくなったりしちゃって難しいんですよね。

アンビエントがない

弱みは計算でサウンドを生成しているのでアンビエントがないということです。

僕はSunset Sound Studio Reverbで部屋の鳴りをつけています。

■T-RackS Sunset Sound Studio Reverb | beatcloud

■T-RackS Sunset Sound Studio Reverb | IK Multimedia

サウンドを曲に馴染ませるのが難しい

いろんな機器(アウトボード)を通したりとかしていないので、非常に雑味の少ない音で、倍音が少ないんですよね。味わいがないというか。

上手く色付けしてサウンドを馴染ませていく工夫が必要です。

完全な答えが僕も出ていないです。

アンサンブルのサウンドを作るのが難しい

ソロだと強いんですけど、アンサンブルになるとちょっとなじまない。

元がドライで、前に来ているサウンドなので、全体の空気感がないせいです。

パラメータを追い込まないといいサウンドにならない

最初の状態がすごい「素」なので、色んなパラメータで表情付けをして、さらにエフェクトとかでお化粧してあげないと、

工夫をしないとそのままではいい音では鳴りません。

サンプリング系はパッと入れただけでそれっぽくなるんですけど、フィジカルモデリング音源は元が素の音なので、そこからの追い込みが大変です。

サンプリング音源よりも楽器に対しての理解力が求められます。

逆に、元から生楽器を演奏している人がフィジカルモデリング音源を使うのは手になじんでいいかもしれません。

木管・金管のフィジカルモデリング音源がおすすめ!

僕が具体的に使ってるフィジカルモデリング音源は

・Audio Modelingの木管とサックス

・SWAM Solo Woodwinds | Rock On Line eStore

・All In Bundle | Rock On Line eStore

・Sample Modelingのブラス

・The Trumpet | Media Integrathion

です。

Leap Motionと木管・金管の相性がめちゃくちゃいい。

木管・金管は手軽にいいサウンドにもっていけるのでおすすめです。

逆にバイオリン(ストリングス系)は追い込むがかなり難しいです。新しめのものは試していないので、それはわかりませんが。

バイオリンは、ビブラートがピッチ変化だったりと、操作すべきパラメータが多くなるからです。

ピアノとかドラムとかもフィジカルモデリングの音源があるんですけど、そういう単発で鳴るような音はフィジカルモデリングの恩恵が少ないので、

サンプリングされた音源の方がサウンドがいいということがあります。

おわりに

というわけで、Leap Motion×フィジカルモデリング音源の話でした。

とくに木管や金管のソロを生々しく打ち込みたいなっていう方におすすめです。

Leap MotionをMIDI入力に使いたくなった、というかたは設定方法を書いたこちらのエントリも参考にしてみてください。

手のジェスチャーによってMIDI入力ができる機器『Leap Motion』でDTMをするための設定まとめ

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