タイトルではしゃぎすぎてしまいました。
今回は、混沌(カオス)から這い寄る闇の力を感じる…厨ニ感溢れる和音を集めてみました。この夏は選ばれし能力(ちから)を持つものが陥る特有の和音(コード)をぜひ使ってみてください。
†トリスタン和音†
「なん…だと…」
「1世紀半にわたる慣用的な和声法から脱却し、近代和声の扉を開いた」と言われる和音。キリシタンではない。
それまでも使われてた半減7の和音(◯7♭5)と同じ構成音だが、曲の冒頭で鳴らした事が斬新だった。
それではこの和音が使用された、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を聴いてみましょう。単音のメロディで導入後、はじめて鳴る和音がトリスタン和音です。
†空虚5度†
ラスボスがこの技を使ってきたら全滅する。
ルート音と5度の和音のみで構成された和音。ギターではパワーコードともいいます。
古典の和声では3度を入れない和音は間の抜けた響きに聴こえるため禁忌され、こんなネガティブな名前で呼ばれます。
空虚5度2つを組み合わせている、ストラヴィンスキー「春の祭典」から「春の輪舞」。ストリングスが入る所からです。
†神秘和音†
こんな和音(コード)本当に存在(あ)ったのか・・・
独特の響きがもたらされ、文字通り神秘的な雰囲気をかもし出す。
アレクサンドル・スクリャービンによって初めて用いられた。4度音程を6個重ねた和音。
すいませんこれ詳しくないんで場所わかんないんです…場所は探してください…この曲好きです。
†フォース・インターバル・ビルド(4th interval build)†
名前が長い…カタカナ…かっこいい…
この和音、海っぽい響きがするんですよね。深くて青い。そのせいか海に関係する曲によく使われてます。ドビュッシーの「海」とか。
厳密に言うとコードネームじゃなくて4度+4度+4度っていう積み方の事です。実は神秘和音とカブってるんですけどね。
4度+4度+4度で積むのがキモで、回転させるとこの響きが出ないんですよね。面白い。
これも海の曲、ハービー・ハンコック「処女航海」の冒頭。
†悪魔の音程(トライトーン)†
失われた古代の概念(いし)
「音楽の悪魔」とも言われ、古典では好まれない。この写真ジワジワくる。
これも和音ではなく、3つの全音で作られる響きの事。減5度のみを指したり、三全音とも言われる。
現代では◯7の中など、当たり前のように使われる。「音楽の悪魔」とはなんだったのか。
普通すぎて曲を紹介できない。
†裏コード†
ちっ…またあいつらか…いや…こっちの話だ…
はじめて名前を見た人はさぞかし邪悪な和音だと思ったはず。
和音自体の名前じゃなくて機能ですね。実際は◯7か◯M7。ジャズでよく使われます。
ドミナントの代理和音。サークルオブフィフス(5度圏)の裏側に当たる、トニックの半音上のコード。
aiko「初恋」の「る~のに」っていうところ。
なぜかここでaiko
†ドッペルドミナント†
今の俺は本当の俺じゃないんだ…
バロック時代から脈々と使用されている。和音そのものではなく機能の名前。
ドミナントのドミナント。「セカンダリードミナント」「ダブルドミナント」ともいう。
ジャズでは、オルタード・スケール等のテンションノートが使いやすいため特に多用される。
曲はジャズ・スタンダードの「Autumn Leaves」Bill Evans Trioの演奏。どっかで使ってあります。
†トーン・クラスター†
いともたやすく行われるえげつない音響
特定の音名からまた違う音名までを塗りつぶす。
今までで最も破壊的な和音。ドジャアアアンって感じですね。
カウエル「マノノーンの潮流」
緊急地震速報の和音(おまけ)
もう恐怖しかない。こじらせた名前とかどうでもいいんでここで紹介したい。
ジミヘンコードと言われる、◯7♯9の和音。ギターで弾くとかっこいい。
ベルっぽい音色でアルペジオさせると危険です。音も貼りません…
ジミ・ヘンドリックス「Purple Haze」。
その他のこじらせた音楽用語
†無限旋律†
「終わりのないのが『終わり』」
完全な終止を迎えずに先へと流れていく旋律。リヒャルト・ワーグナーの楽劇はそれまでの交響曲作品での「主調」という観念を破壊し、それまでに実現されたすべてのものを、はるかに超える所まで運んでいった。
†隠伏8度†
平行によって完全8度に到達する和声進行。避けるべきとされる。
†テンション・リゾルヴ†
テンション・ノートがコード・トーンに解決すること。
†ヴァース・アンセム†
イギリスの宗教的合唱曲の一種。「ヴァース」と呼ばれる独唱パートと合唱パートが交互に歌われ、オルガンなどの楽器が伴奏につく。
†フェーズディストーション・シンセサイズ†
シンセサイザーで使われている合成方法。
†華麗対位法†
厳格対位法の一部。
おわりに
くっ!?…封印されし第三の眼が疼いて来やがった…ここまでにしておいてやる…