こんばんは、作曲家のこおろぎです。
この記事はYoutubeに投稿した動画の書き起こしと補足です。動画を見ながらサウンドを確認しながら文章を読むことでより理解が深まると思いますので、ぜひ動画を視聴しながら読んでください。
アナログラジオを触ったことはある?
音楽制作をする時に、ラジオ風加工をよく耳にしますし、自分でもやってみたりしますよね。最近ではそれも含めて広義にLo-fiと言われることも多い。
サウンド的には中域だけが目立って聴こえるとか、音がザラザラして聴こえるといった感じです。
—–ところで、ラジオを触ったことはありますか?
アプリではなくアナログなラジオ単体の機械です。現代では意外に少ないのではないでしょうか。
現代はアプリや車などのデジタルな環境でラジオを聞くことが多いので、アナログなラジオに触れる機会は減っていますよね。
僕自身、ラジオを使ったのは十数年前のように感じます。
少し前、ラジオを演出として使用した舞台 二人芝居「追想曲【カノン】」の音楽を担当し、そこでラジオの挙動を想定・再現しながらの作曲をすることになったんですが、
ラジオ風のノイズが混ざったサウンドを再現するプラグインがほとんど見当たりませんでした。そういった動画もあまり見当たらなかった。
そこで、アナログラジオの挙動を確認するために実際にラジオを購入し、必要があればそのラジオから音を出し、それを録音しようと思いました。
というわけで今回は、ノイズを中心にアナログのラジオの挙動の検証をしていきたいと思います。
今回購入したラジオはADESSOのRA-601BK。
デザインはレトロ風の新しい設計で、FMとAM、ボリュームのみのシンプルでアナログなラジオです。
大きなアナログのつまみで操作することで、ノイズのコントロールがしやすいはずです。
FMトランスミッターも購入しました。入力した音をFMの電波に乗せてラジオに飛ばすというものです。
JAPAN AVE.(ジャパンアベニュー)というメーカーのトランスミッター。
FMトランスミッターはシガーソケットが多いので、シガーソケット用12V3Aのアダプタも同時に購入しました。
これで自分で作った音楽をラジオに飛ばして、そのラジオから音を出して録音することができます。
では、アナログラジオの使い方とサウンドを確認していこうと思います。
ラジオにはダイナミックマイクSM57を立てて録音します。ギターやベースアンプのように、コーンの中心から少しずらしたところに立てます。
まず、電源をつけるとホワイトノイズのようなノイズが出ます。
最近の機種ではノイズがほとんど出ないのかと思いきや、かなり大きい音。このノイズが出た状態が、電源をつけたデフォルトの状態でのラジオのサウンドです。
操作をしないとノイズの音量やサウンドは一定で、ザーッというホワイトノイズのような音が続くだけです。
また、AMとFMではノイズの音が違います。
周波数ダイヤルを回して目的の周波数の放送局の放送を聞くことができます。
自分でトランスミッターを使う時は、空いている周波数に電波を飛ばし、そこにダイヤルを合わせます。
このダイヤルを回している時に大きなガリガリというノイズが出ます。ダイヤルを早く回したり遅く回したりすることでニュアンスをコントロールできます。
もちろん、放送局の放送をそのまま音楽素材に使うことはNGです。自分で用意した素材をスマホに入れ、FMトランスミッターでラジオに飛ばしていこうと思います。
周波数がきちんと合っている時はノイズがほとんど出ず、いわゆるラジオトーンで録音できます。
今回、コンパクトなラジオを買い、ラジオ風のクセが強めになると嬉しいなと思いましたが、案外周波数レンジが広く”いい音”で録音されていました。演出的に使用するのであれば後付でEQなどを入れビンテージ感を出したほうがよさそうです。
ノイズで音声が途切れ途切れになった演出を使いたい時は、
・手でつまみを回してノイズを入れる
・アンテナやトランスミッターの位置を移動させて電波状況を悪くする
この2つの方法があります。
DAWとプラグインを使いノイズを再現する方法
ここからは、DAWとプラグインを使い、ノイズを再現する方法も紹介します。
ダイヤルノイズ
加工したい元のデータとラジオのダイヤルノイズを用意します。
まず、元のデータにラジオ風の周波数の下味を付けます。
EQなどでシンプルに上下の周波数を削ってもそれっぽくはなりますが、
私のお気に入りはWavesのThe King's Microphones – Wavesです。周波数のみならず、アナログっぽい味付けができるので気に入っています。
また、ダッキングをするためのプラグインを元データに挿し、ノイズの音が出た時に元の音が下がるようにします。今回はTrackspacer – Wavesfactoryを使用します。
2つのトラックの音量バランスを整えればダイヤルノイズ風の加工の出来上がりです。
電波状況のノイズ
電場状況が悪いノイズの場合、元データと連続的なホワイトノイズを用意します
Trackspacerで元データをノイズでダッキングし、オートメーションでノイズレベル側を調整すると、ノイズが持ち上がると同時に元データの音量が下がり、電場状況が悪いノイズを再現できます。
おわりに
今回はラジオの挙動とサウンドおよびノイズ、それをDAWとプラグインで再現する方法を話しました。
ラジオはもう身近なものではなくなってきていますが、演出では度々登場するので、その操作とサウンドを知っておくと便利だと思います。僕も今回、実際のラジオを買ってみて勉強になりました。
また何か買ったら実験していこうと思います。
ではまた。