ゲーム音楽制作には場面ごとのキー設定についてのセオリーがあるのだろうかという研究

テクニック

ふと、

「ゲーム音楽制作には場面ごとのキー設定についてのセオリーがあるのだろうか」

ということを思いました。

例えば、明るいポップなゲームのとき、勝利ジングルが鳴ったあと、その直後ステージ選択の画面に戻った後に遠いキーだと違和感があるんじゃないのか。

その他の場面でも、ゲームは音楽が頻繁に切り替わる場合が多いので、お互いのキーについての関係がないはずがないのではないかと。

研究結果

とりあえず先に結果をお伝えしておきます。

・場面がそのままでシーンだけが変わる場合はキーはそのまま
・場面を切り替える場合はキーを変える
・基本のキーのスケール上のキーに設定するといいかもしれない
・オペラやバレエなど、クラシックのキー設定を学べ
・キーよりも雰囲気や音色などの切り替えのほうが重要かも

以上のような結果になりました。関係なくはないが、そこまで重要ではない、という感じですね。

実際のゲームを調べてみる

調べてみました。体系化されたのは最近かもしれないので、新しめのゲームにしています。

スプラトゥーン

Wii UのTPSゲーム。

F# ロビー

G# マッチング画面

E 試合開始前

いろいろ 試合中

C 勝利リザルト
or
B 負けリザルト

F# ロビー

A  試し打ち

・モード的だったり、平行移動系のコードが多く、メジャー、マイナーの判断がしづらい
・ほとんど全ての曲のキーが違う
・基本的にはGメジャースケール上のキーだが、そこまでこだわりはなさそう
・負けリザルトのキーが低いところは納得感がある
・キーはギターやベースに引っ張られている部分が大きそう
・勝利リザルトからロビーに戻るときは不安定な増音程のキーに飛んだり、ロビーから試合が始まるときは盛り上がっていく場面なのにキーが下がったりと、意図して設定しているとは考えづらい

Two Dots

スマホのパズルゲーム
ステージ選択画面とステージのみ

Gm ステージ選択画面

B♭、Am、Dm、Gmなど ステージ

Gm ステージ選択画面

・明るいゲームなのに基本マイナーキー
・メインのメロディがアレンジされて各曲に使われている
・Gナチュラルマイナースケール上でキーが設定されているっぽい
・最初のほうのステージはメニューと同じ音楽
これは、「はじまり感」を出すのにはよいなと思った
・ステージ選択画面とステージが同じキーの曲もある

スライドプリンセス

脱出ゲーム。

フリーBGMだけで作られているが、プレイしていてBGMがいいと思ったので調べてみる。

Dm スタート画面

D ストーリー

E△79 ステージ選択画面

Am ステージ

F9 クリア

Am ステージ
or
E△79 ステージ選択画面

・キーは場面によって違う

キーがどうとかよりも、ステージにピッタリな雰囲気と機能を満たすBGMをはめているなという印象。

ドラクエではキーの設定を考えられている

街の曲→宿屋ジングル→町の曲 の場合、宿屋ジングルと町の曲のキーが同じで、宿屋ジングルはドミナントになっており、どこから入ってもいいし、そのあとにスムーズに繋がるようになっている。

ドミナントから主音につながる気持ちよさと宿屋に泊ったあとの気持ちよさ、というのがリンクしているのを感じます。

場面を切り替えるときには遠い調に飛んでいる、と。

こんなに初期からあったんですね。

研究結果

改めまして、今回の結果です。

・場面がそのままでシーンだけが変わる場合はキーはそのまま
・場面を切り替える場合はキーを変える
・基本のキーのスケール上のキーに設定するといいかもしれない
・オペラやバレエなど、クラシックのキー設定を学べ
・キーよりも雰囲気や音色などの切り替えのほうが重要かも

場面が切り替わったらキーも切り替える、というのはほぼ確実なセオリー。

場面が繋がる際には属調や下属調などの、近いキーのほうが自然なのかなと思っていましたが、基本のスケール上のキーであれば、前後で遠いキーでも違和感はほぼないようです。

SEを挟まなかったり、読み込み時間が少なく、隣の場面の音同士が繋がって聴こえがちな場合は、聴こえ方に配慮したほうがいいようです。

場面ごとにキーを変えるといえば、バレエやオペラなどのクラシックもですね。クラシックの場合はセオリーがあるでしょうから、そこを調べてみると参考になりそうです。

おわりに

僕が知らないだけでめちゃくちゃ基礎かもしれないので、これについて知っている方はこっそり教えてください。

セオリーが決まっていればキーの決定が楽になりますよね。

とりあえず、しばらく意識して作曲してみて、答えを出していこうと思います。

このことは全体的にロジカルに書かれている、『ゲームサウンド制作ガイド』にも載っていませんでした。