打ち込みドラムのフレーズのことをプロドラマーと話してみた【ドラ聞き第二回】

公開日: : 最終更新日:2017/04/12 テクニック ,

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打ち込みドラムのフレーズのことをプロドラマーと話してみた【ドラ聞き第二回】プロドラマーの神田リョウ氏(@tatakiyagroove )にドラムのことを聞くシリーズ、【第一回】の続き、第二回「打ち込みフレーズ編」です。

フレーズについてはあまり聞く予定ではなかったんですが、話題に出てきたのでまとめました。

ハイハットと人間らしさ

ドラマー目線で打ち込みの音源を聴くと、金物が惜しい人が多いすね。

スネアのニュアンスとか、ゴーストの感じとか、キックの感じとかはいいグルーヴ作れてたりするんですけど。

どうしても、ハイハットと、ライドのあたりの金物が。

ライドは、ふわーっていう成分でまだごまかせるんですけど、ハットがどうしても難しいんだろうなと思ってて。

打ち込みだったら、グリッドどおりに、チ、チ、チ、チ、チ、チ、って書いていけばもちろん早いんですけど、人間だから、そうなりようがないから。

二拍とかでもチ、チ、チ、チ、チ、チ、チ、チ、っていうダイナミクスがあって。

そこの、微妙な人間っぽさが出づらいんですよね。

自分でハイハットだけ買って録るほうが早いんじゃねーかって思うくらい。

僕もハイハットが一番難しいというか、一番表現力がいると思う。

DAWにはヒューマナイズっていう、タイミングを揺らす機能があるんだけど、それを使ってランダムに揺らしただけだと人間の揺れ方じゃないんだよね。そこが難しくて。

強拍がジャスト気味で、弱拍は揺れが大きいとか。叩く場所や音色も強拍と弱拍で違ったりとか、複雑で。


それってやっぱり、スティックで叩いてるから、大きく振り上げる前の予備動作みたいな部分で同じようにはならないんですよね。

その微妙なニュアンスがやっぱ難しいんだろうなと思って。

ライドとかはこう、ふわーっていう成分でごまかせるんですけど。ハイハットだけは難しいんだろうなっていう人が多い。

「ハイハットだけ叩きに来てほしい」っていう現場もありましたからね(笑)


(笑)

でもハイハットが生で入るだけでも全然違いそう。


そう、全然違う。


叩く場所も色々あるし、開き方もあるし、ダイナミクスの幅も必要だし。ハイハットの音色の多さが音源としてのドラムキットの完成度を左右するもんな。

ハイハットっていう楽器の特性上、表現するのすげーむずいんすよね。

足で踏んで、開き具合を調整して、叩く場所で音が変わるっていう。

打ち込みで、ライドにいってるときの左足のゴーストモーションがかすかに入ったりしてると結構うれしい。


そう、ハットの左足って耳コピだとほとんど聴こえないんだよね。

だから、前は生の演奏の左足を見て、いつ踏んでるか、っていうのをずっと確認してた。

それが入ってるだけでも違うんだよね。


あとニュアンス…ですよね。課題は。

サンプル数も限りがあるから、何度も同じ音を叩いてると曲全体がのっぺりしてくるんだけど、実際のハイハットは同じ音を叩いてても無限に違う音が出るから、そこのニュアンスもあるし。


そう。

ハットはやっぱね。ライドもそうだと思うんだけど、一番ごまかしが効きづらいっていう。

そこまで人間上手に叩けないぞ、っていう意味で、いい意味で人間っぽくっていうか、やむを得ない部分を表現するのが難しい。


そして、ただズレてるだけじゃなくて、グルーヴのあるズレかたなんだよなあ。


そうなんですよね。


それを再現するのがすごい難しい。

ドラマーだったら叩いてるだけでそのグルーヴになるけど、打ち込みは数字で調整していかないといけないから。

人間のグルーヴを具体的な数字に落とし込まなきゃいけない、っていう辛さがあって。

セオリーで「何ティックずらす」って書いてあっても、実際のテンポや曲調で数字が全然違うから意味がない。

スネアのゴーストノート


あとは、スネアのゴーストノートのニュアンスが不自然。

自然なニュアンスをつけたくて入れてるゴーストノートが不自然になっちゃってるからもったないなって思って。

それだったら入れないほうがいいんじゃないか、っていう。

ループ集にはゴーストノートも入れたりしてるんですけど。そういうの欲しいかなあって思って。

人間っぽくしようとすればするほど不自然になってる部分って、皮肉にもあるなあって。

4音以上同時に鳴っていなければある程度人間っぽくはなる


基本的にドラムって4音以上同時に出せないから、そこをクリアしてれば、その時点である程度人間っぽくなってる気がしてて。

あとは、同時発音数は間に合ってるけど、フレーズの運び的に厳しい時がある。

フィルインで「どうやってもその速度ではそこにはいけないんだよ」っていうのが感覚的にわかったりするんですよね。


こっちにいけねえだろ、みたいな。


そう、なんか。

例えばスネアとクラッシュの「タタパーン」みたいなフレーズがあったとして。

それだとどっちかの手が2度打ちになって難しい。

そういう微妙な、ドラマーだけがわかる違和感とかあるんですよね。

レコーディングでクオリティ高いデモ曲が送られてきて、「これを完コピでお願いします」っていうときに「あれ、腕1本足りない」みたいなのがあったりする。


でそれを、打ち込みの場合、打ち込みの強みで済ますか、生っぽさを追求するためにそこをやめるかっていう話で。

でも、フィルを考えてる時、これいけんのかな?とか結構あるけれど、実際は考えてもわからないからそのままにしちゃえ、っていうのも結構多い。

フレーズとして良ければ別にいいと思うけども。叩いてもらうなら気にしないとダメだけど。


そこは難しいですよね。だからトラックメイカーとドラマーは仲良くすべきなんですよ(笑)


確かに(笑)

縦の揃え具合


意外と、縦ってそんなに揃ってない人多いんですよ。

音符で書くと、クラッシュとキックと揃ってるんですけど、実際は微妙にそろってなかったりするんですよ。

「ドチ」みたいな。

僕はわりと揃えようと頑張ってるタイプなんですけど。

でも揃ってないからかっこいいっていうビートもあったりして。

縦をそろえようってすると、それだけでタイトな感じになるんですよ。演奏は。

そういう部分かな。あえて揃えないグルーヴというか、そういうものが持ってる人間っぽさ、っていうのがあるし。

完璧すぎないかっこよさみたいなのが打ち込みでもあるといいすね。

HIPHOPとかだと、MPC叩いてたりとか、あえてズレてるのがカッコいいっていうJ Dilla的な発想もあるし。多様化してるとは思うけど。


もうそういうのはあきらめて、打ち込みらしくジャストにするっていう風潮も一部では感じるけどね。

僕も基本ジャスト気味で、そろってるのが気持ち悪かったらズラすし、逆にズレてるのが気持ち悪かったらそろえる。

誰かが叩いているつもりで打ち込んでみる


ドラムってパーツの数が多いせいか、どうしても音色がイメージしづらい気がしてて。

「あの人のライドシンバルはどんな音だったっかな?」みたいな。やっぱり結構聴き込まないときついのかな。

ギターやベースだと、音が1つしかないから「その人の音」っていうのがすごくわかりやすいんだけど。


俺はドラム好きだから、結構覚えちゃうんですけどね。

このサウンドってあのひとじゃない?とか。

たぶん同じくらい聴かないとわからないというか。好きになりすぎないと、見えないかもしれないっすね。


ドラムの打ち込みがうまい人って、ドラマーにすげえ詳しいもんね。富田恵一さんとか。


そうそう。やっぱりそういうものだと思う。

どういう人が叩いてるか、っていうのをイメージしてキットを選ぶってのは結構重要かもしれない。

「あの人っぽいギター」っていうのと同じで。あのドラマーっぽいサウンドで、その人が叩いているイメージで打ち込んでいくといい感じでヒューマナイズされたりとか。

たぶん、自分が叩こうとするイメージでやるから迷うんかな、っていう。

誰かが叩いているつもりで打ち込むといいかも。


確かに、そのほうが自分にはない発想のアプローチもできそう。

神田リョウ

ダンスで培ったリズム感とグルーヴ、表現力には支持が厚く、幅広い音楽性に裏打ちされたダンスビートは特に評価が高い。メジャー、インディーズを問わず活動を展開する。

【織田哲郎】、【BoA】、【WHITEJAM】、【井上苑子】等のツアードラマーとしての参加や、日本最大級のストリートパフォーマンス集団 【TAPJAMCREW】のプロデューサー兼ドラマーとしても活動する。

またKORG社製品デモンストレーターの顔も持ち、ドラムをはじめ、パーカッションから電子打楽器まで使いこなす”踊れるドラマー”。

その他、インストバンド『Fango Inc.』、リズム&ドラム・マガジン 連載セミナー『#月イチ1グルーヴ』、ドラムループ集『EDOMAE LOOPS -RYO KANDA & TRIP edition-』発売。など。

Instagramに毎日投稿するドラム演奏動画『#一日一グルーヴ』も話題。

■Twitter(@tatakiyagroove )

■Web

■ドラムループ集『EDOMAE LOOPS -RYO KANDA & TRIP edition-』

■Instagram

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