和楽器、箏(琴)の生っぽい打ち込み方法まとめ。ハープ+ギターのように考えてみる。

テクニック

打ち込み難易度 ★★★☆☆ やや難しい

音色の素材としての効果が高いので、適当に鳴らしてもわりとそれっぽく聴こえます。

ポイント

・調子(チューニング)を想定する
・キーはDかG
・常にサステインをオンにする
・様々な奏法を使いこなす
・別の楽器で重複させない

独特のチューニングがあるので、それに則った音階にするとそれらしくなります。

キーはD、またはGと決まっていますが、アンサンブル内での打ち込みでは無視してもよいと思います。独奏だとなるべくこのキーにしたほうが、それらしい響きが出せるはず。

基本的には鳴らしっぱなしなので、サステインは常にオンにしておいて、止めたいところだけオフに。

ギターのチョーキングのような「押し手」、ハープのグリッサンドのような「流し爪」などの奏法でバリエーションを出すと表情豊かになります。

上記のように、ハープ+ギターのような考え方でフレーズを組み立てるとうまくいきそうです。

箏(琴)とは

koto700

日本の伝統楽器。通常13弦。弦楽器のツィター属に分類される。

琴爪を右手の親指・人差し指・中指にはめて演奏する。

一般的に、「箏(こと)」と呼ばれ、「琴(きん)」の字を当てることもあるが、「箏」と「琴」は別の楽器である。

■箏 | Wikipedia

☓琴 ◯箏

Wikiにもあるように、現在「琴」と言われているものの正式名称は「箏」といいます。琴という楽器はまた別の楽器です。

自分で発信するときは「琴」でよいと思いますが、調べる時は「箏」で検索しましょう。箏は「そう」とも読むし「こと」とも読むらしいです。紛らわしい…

音色

総合音源にも入ってたりして、わりと入手しやすいですね。ベロシティの変化もそこまで音色に関係ないので、いい音源でなくてもそこそこいい感じに鳴らせます。

僕はIMPACT SOUNDWORKSの『Koto Nation』を使用しています。

■KOTO NATION IMPACT SOUNDWORKS | Rock oN eStore

音がツヤっとした、ウソっぽい音源も多いのですが、これは木や弦が鳴っている感じがリアルでとてもよいです。また、奏法も多く収録されてます。

チューニング

キーは「D」と「G」2つ。

それを主音にして15種類のチューニングがあります。

■お箏の調弦法

半雲井調子は

D G A A# D D# G G# C D D# G A と、

オクターブで音階が違うチューニングがあることが特徴的です。

また、低音側の一番端の弦は1オクターブ高い音になっており、特にグリッサンドの時はそのことに気をつけたいですね。

奏法

この3つの動画でひと通り演奏の基本を学ぶことができます。西洋音楽の楽譜や用語でわかりやすい。

最後の「様々な奏法によるエチュード」、題名でちょっと笑いますが、かなり参考になります。

奏法まとめ

・ギターのオルタネイトピッキング、チョーキング、ユニゾン・チョーキング、ダブルストップ、ブリッジミュートに該当する弾き方がある
・ダブルストップのチョーキングは片方だけ
・左手も使い、両手で音を出すこともある
・弦を押して上げられる音程は半音~1音半まで
・弦を引っ張ることで音を下げる奏法もある
・グリッサンドは2本の指でやる事がある
・爪はこするように使うこともある
・かけ爪、割り爪のような、決まったパターンがある

ギターっぽい奏法が多かったのでギターの用語で書いてみました。フレーズもギター的に考えたほうがしっくりくる場面が多いです。

フレーズの組み立て方

独奏での演奏。

和音については

・基本は単音弾きで伸ばしっぱなし
・ダブルストップもあり
・単独の5度や4度もあり

和声進行はなく、モーダルな考え方でフレーズを組み立てます。

和声進行もあり、転調もあるような曲に混ぜる時は、合うところだけ登場させる、違う調律のものを同時に演奏するという体で入れていく事になります。

打ち込みでは、不自然でなければチューニングを逸脱した音階を使用しても問題ないです。

別の楽器で重複させない

アンサンブルに入れる場合、和楽器は同じフレーズを別の楽器で重複させないほうがよい結果になる場合が多いです。箏も例外ではありません。

フレーズは常に単独、または箏どうしを重ねるようにします。

作ってみました

現代のごちゃまぜ感がモチーフの曲なので、あえて伝統の考え方を逸脱する使い方をしている場面があります。

特に中盤のグリッサンドは、生ではありえない、キーの並行移動をしています。

次の曲は琴と低音琴を中心にして、ストリングス、笛、打楽器を加えたものです。

これは押し手くらいしか奏法は使っていません。

おわりに

音色の個性が強く、存在感があり、現代的な曲にも入れやすい、など、使う場面が多い楽器なので、打ち込み方法を習得しておきたい楽器の1つです。

伝統的な演奏から現代的アプローチまで対応する箏(琴)、低音琴、三味線の和楽器ライブラリ 『Koto Nation』レビュー