オーケストラ編成の基本を知ってリアリティを出そう

テクニック

今回はオーケストラの編成について。

DTMではどの楽器の組み合わせも制限が無いんですが、基本的な編成を把握しておくことで、よりリアリティのあるオーケストレーションになります。

ざっくり

・「◯管編成」という単位で規模を表す
・基本の2、3管編成を覚えよう
・大体覚えたら自由に組み合わせよう
・打ち込みのテンプレートもあるよ

「◯管編成」という単位で規模を表します。この数字は木管楽器の各セクションのそれぞれの人数。フルート、オーボエ、クラリネット、バスーンが2本ずつなら2管編成、3本ずつになれば3管編成です。歴史的に見ると、20世紀半ばくらいまでは編成がだんだん大きくなってきますね。

現代において一般的なのが2管編成と言われています。映画音楽は3管以上の編成もよく見かけます。なので、この2、3管編成をとりあえず覚えましょう。

打ち込みでは曲調と好みによって自由に編成を変えていきたい。大きな編成ほど弱く演奏した時と強く演奏した時の差が大きく、ダイナミックな響きになります。あと打ち込むのがめんどくさくなります。

極端な編成になったとしても、聴こえ方がいいならアリです。その場合、より多くの作品を聴いて自分の中に評価軸を作るとうまくいくと思います。

それぞれの編成での音

とりあえず聴いてみましょう。なるべく音質も良く、僕好みのものを選んでみました。普段オーケストラを聴かない人もハマってもらおうという作戦。再生開始位置もわかりやすい場所を選んでみました。

1管編成

・プロコフィエフ作曲「ピーターと狼」
Сергей Сергеевич Прокофьев 「Петя и волк」

CMでもよく使われる曲ですね。ダイナミクスが少なく、スッキリとしてます。

2管編成

・チャイコフスキー くるみ割り人形
Пётр Ильич Чайковский 「Щелкунчик」

適度に軽さもあってパートも聴き取りやすい。

3管編成

・ワーグナー 神々の黄昏 
Wilhelm Richard Wagner「Götterdämmerung」

ワーグナーは金管が多めなので重厚ですね。3管編成は有名曲も多い。

4管編成

・マーラー「交響曲第6番」
Mahler「Symphonie 6」

5管編成

・ストラヴィンスキー「春の祭典」
Stravinsky Le sacre du printemps

バランスとるのが難しそう。

6管編成

・メシアン アッシジの聖フランシスコ
Olivier Messiaen Saint François d’Assise

候補曲も少なく、見つけられなかった…ここまで大きいのはほとんどないですね。

7管編成

・シェーンベルク「グレの歌」
Schoenberg: Gurre-Lieder

それぞれの編成での人数

1、2、3管編成までのパート : 人数です。

1管編成

【木管楽器】

フルート : 1
オーボエ : 1
クラリネット : 1
ファゴット : 1

【金管楽器】

ホルン : 2
トランペット : 1
トロンボーン : 1

【弦楽器】

1stヴァイオリン : 8
2ndヴァイオリン : 6
ヴィオラ : 4
チェロ : 2
コントラバス : 2

2管編成

【木管楽器】

フルート : 2
オーボエ : 3
クラリネット : 2
ファゴット : 2

【金管楽器】

ホルン : 4
トランペット : 3
トロンボーン : 3
チューバ : 1

【弦楽器】

1stヴァイオリン : 14
2ndヴァイオリン : 12
ヴィオラ : 10
チェロ : 8
コントラバス : 6

【他】
ハープ : 1
パーカッション : 3〜5

3管編成

【木管楽器】

フルート : 3(または1人ピッコロと持ち替え)
オーボエ : 3(または1人イングリッシュホルンと持ち替え)
クラリネット : 3(またはバスクラリネットやE♭クラリネットと持ち替え)
ファゴット : 3(または1人コントラファゴットと持ち替え)

【金管楽器】

ホルン : 4〜6
トランペット : 3
トロンボーン : 3
チューバ : 1

【弦楽器】

1stヴァイオリン : 12〜16
2ndヴァイオリン : 10〜14
ヴィオラ : 8〜12
チェロ : 6〜10
コントラバス : 4〜8

【他】
ハープ : 1
パーカッション : 3〜5

4管、5管〜は想像してください。

トラック設定テンプレート

編成の人数と、実際打ち込みで使うトラック数、パート数は違います。

例えば、2管編成での1stヴァイオリンは12人ですが、打ち込みの時には1つの音色で鳴らす事になります。

それを踏まえて、僕がオーケストラのテンプレートとして立ち上げるパートは以下の通り。変則の2管編成、という感じです。

【木管楽器】
ピッコロ
フルート
アルトフルート
オーボエ
イングリッシュホルン
クラリネットB♭
クラリネット E♭
ファゴット
コントラファゴット
木管全部レガート(和音で鳴らすパッチ)
木管全部スタッカート(和音で鳴らすパッチ)

【金管楽器】
ホルン(和音で鳴らせるパッチ)
トランペット (和音で鳴らせるパッチ)
トロンボーン(和音で鳴らせるパッチ)
チューバ

【弦楽器】
1stヴァイオリン(レガート音色)
ストリングス(和音で鳴らせるパッチ)
ストリングストレモロ(和音で鳴らせるパッチ)
ストリングスピチカート(和音で鳴らせるパッチ)
ストリングススタッカート (和音で鳴らせるパッチ)

【他】
ハープ

パーカッション
スネア
グラン・カッサ

ピアノ
チェレスタ
グロッケン
シロフォン
チューブラーベル

音色を試していきたいので種類を多めに、でもマシンパワーが足りないのでトラック数は少なくなるようにしてます。最初はストリングス、金管、木管の一部分は和音が鳴るパッチでトラックを分けずに打ち込みます。駆け上がりなどの早い音符に対応するため、ストリングスのトップだけレガート音色です。

あとは曲に応じて音色を読み込んでいく感じですね。

まとめ

はじめのうちは編成を想定して作ったほうがいいと思うんですよね。同じストリングスでも1管と4管だと音色も演奏のさせ方も変わってくるし。

僕の場合は、編成の小さいものから作りはじめて、馴れてきたら大きくしていって、そうやって各楽器の音量感覚や楽器の重複の仕方を少しずつつ掴むようにしました。

勉強の仕方としては、やはりオーケストラスコアを実際に読むのが一番ですね。曲によって編成はバラバラだし、編成によってオーケストレーションも変わるので。なぜそうしたのか、というのがわかりやすい。

そんな感じで、DTMオンリーの方でも編成を知っておいたほうがリアルになるよーっていうお話でした!ではでは。

参考

管弦楽法をかじってからスコアを読むとより解釈をしやすくなります。

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こちらは曲ごとの編成やキーが載っています。

管弦楽編成表 Ver.2