ニコニコ動画を作った、株式会社ドワンゴ代表取締役会長、川上 量生さんの『ルールを変える思考法』を読んでみました
コンテンツの価値は 、誰かの人生を変えられるかどうかで決められる
「コンテンツの価値は 、誰かの人生を変えられるかどうかで決められる 」
これはかっこいい。確かに、特定のコンテンツにハマるほど、その人の人生を変える。これを意識してコンテンツを作れるか、と言ったら微妙かもしれないけど。
コンテンツとは、わかりそうで、わからないものである
僕が見つけた答えがあります。それは「コンテンツとは、わかりそうで、わからないものである」という定義。
人間は、「わかりそうでわからない事が気になって興味をもつ」という本能を進化の過程で獲得したんじゃないか、それがコンテンツに興味を持つ源泉じゃないかというのが、僕の仮説なのです。
理解できそうで理解できないぎりぎりの境界線上に答えがあるというのが僕の結論です。
どこかに「何かわからないもの」「説明のつかないもの」を残しておくことは大切です。クリエイターは、そこに対して自覚的であるべきなのでしょう。
これは音楽だけでなく、文学、絵、ファッション、あらゆるコンテンツに言えるなと。
逆に言うと、自分が理解している(知っている)ものや全く理解できないものについては興味を持てないということ。微妙な場所にスイートスポットがあるわけですね。
「プロデュース力は音楽を作れることと同じくらい大事だ」でもとりあげた「②毒を盛れているか」と同じ意味なのだと思います。
あとは、そのスイートスポットを世の中のどのレベルに合わせるのか。という事。
ビジネスを考えるときは「格好いい物語になるか」を考える
僕の仕事に対する最大の問題は「仕事へのモチベーションの維持」
僕は常に「どうすれば、その仕事が自分にとって面白いものになるか」を考えながら仕事をしているのです。
そのためのひとつが「自分にとっての”物語”をいかに大事にするか」というスタンスで仕事をやることです。
それはつまり、これからやろうとしているビジネスが「社会や業界にどんな意味や役割を持っているか」、あるいはそれが「歴史的に見てどういう意義が見出せるものか」を考えるということです。
ここは痺れました。
例えば、nanapiのけんすう(@kensuu )さんも「お金も大事だけど、世界平和のほうが重要」と言っています。
そういった、社会貢献のようなマインドのほうが成功しやすいんじゃないかなー。と。なんとなく思ったり。
前に書いた「”物語”を作り、巻き込むという方法」も繋がりましたね。自分の物語を作っていきましょう。
ビジネスは世の中でいちばん「リアル」なゲームのひとつ
この本は元々4Gamer.netというゲームの連載なので、ゲームとビジネスを関連付けた話が多いんですよね。
僕もゲーム好きとして、うなずく所がたくさんありました。
結論を先に書いてしまうと 、テレビゲ ームの致命的な欠点は以下の 3つです 。
①人間が 、コンピュ ータ ーの決めたル ールに従ってゲ ームをプレイする
②反射的な思考能力の早さを競うゲ ームがほとんどである
③コンピュ ータ ー相手にゲ ームをやっても人間との付き合い方は学べない人間社会の競争は 、基本的には人間同士で行われます 。つまり 「目的を達成するために他の人間とどうコミュニケ ーションを取るか 」が 、現実社会での最重要テ ーマなのです
結局問われてくるのは、「自分で考えながらゲームをしているか」という部分じゃないですか。
「考えるゲーム」「ルールを変えられるゲーム」をやるのがいいわけです。
頭の良くなるゲーム、またゲームのやり方があると。最近のゲームは、長時間の思考を必要とする戦略的なものが少なくなっている、という事も書いてあります。
そういえば僕も最近は反射的な思考のゲームしかしてないなと。特にアプリだと、細切れの時間で楽しめるようにしてありますからね。
最近のものだとGTAとかマインクラフトみたいに、プレイヤーの自由度が高く、創造的になれるようなゲームのほうがいいんでしょうね。
業界の習慣のようになっているルールを変える
ビジネスをする場合にしても 、ゲ ームと同じように 、勝つためにはまず 「ル ールの検証 」から始めるのがいいのです
既存のルールにただ従っていたのでは、新規に参入した者は絶対に勝てないシステムになっていることがある。
「変えたほうがいいルール」として、「業界の習慣のようになっているルール」が挙げられています。先人とライバルが山ほどいる音楽業界だとなおさらだと思うんですよね。
ルールを変えて戦う、という事。どうでしょう。
おわりに
全体的に読み応えがありました。面白かったです。
ブロマガについても触れられてますけど、ニコニコ動画って色々なマネタイズ方法があって、クリエイターにとってはすごくいいサービスですよね。僕もニコニ・コモンズにかなりお世話になってます。
川上さんのcakesでの連載も面白いです。特に第8回は興味深い。
【第8回】いま、好きなアニメをつくれるのはジブリくらい。|川上量生の胸のうち|川上量生|cakes(ケイクス)ニコニコ動画のように、ユーザーがいつでも作品を発表できる場ができて、より世界はクリエイティブになっていくんじゃないかという説もありますが……。
川上量生 「まあ、ウソですよね。」