YUKI、中島美嘉、Superfly、ゆず、flumpool、JUJUなどの作品に関わっている、クリエイター集団agehasprings(アゲハスプリングス)の代表、玉井健二さん著「人を振り向かせるプロデュースの力」を読みました。
プロデュース力は音楽を作れることと同じくらい大事だ
多くのリスナーが何を求めていて、アーティストが何をやりたがっていて、このプロジェクトがどこに向かっていて、何を得るのがミッションなのか。そこをちゃんと理解できることが、音楽を作れることと同じくらい大事
同じような意味の事が何度も出てくるのですが、これ大事なんだなと。
マイケル・ジャクソン以降PVが当たり前になったように、いまは楽曲やアーティストが立ち上がるときに、必ずプランがなければいけない時代
今やデザインのセンスこそが問われている
そう思います。さらにインディーズアーティストはもう一つ外の枠「マーケティング力」も必要だなと。
これを全部混ぜながら考えて作品を作る能力が今は求められてると思います。
なぜなら、曲だけなら誰でもそこそこのクオリティで作れる時代になったから。その上の段階の価値が求められている。
良い曲を作る努力は当たり前 、それ以上に 、ア ーティストやプロジェクトを成功に導く企画力や 、 〝なにをもって人は良い曲だと感じるのか ? 〟を時代に先駆けて汲み取る洞察力 、そしてなによりそれらを具現化する技術 、演出力などが 、成否を分ける重要な要素として再び浮上してきたとも言えるでしょう 。
存在価値が低下するにしたがい 、それだけじゃない付加価値を提示できるか ?そういう時代が到来しているのだと思います 。
必ず W I Nであること
物差しの第一は〝必ず W I Nであること 〟
プロとしてで活動するならこれは大前提ですよね。玉井さんの場合は、その仕事を受けるかどうか、という所から考えるみたいです。そして、WINのために具体的にどうしていくのか。
なんとなく作りたいもの作ればいいや、じゃあ生き残れないわけです。
そして W I Nを作れる 、それが見える 、とは 、まずは他人の気持ちが分かるということなんじゃないでしょうか ?
人の気持がわかるやさしい大人になりたい…
ポップミュ ージックのツボである〝ブイヨン 〟
PART2では、ポップミュ ージックのツボである〝ブイヨン 〟、歌詞の書き方、歌について、端と端を見る事、グルーヴ、など、楽曲の具体的なアプローチが書いてあります。
大枠の方向性をしっかりと見据えて、それをどうやってサウンドに落としこんでいくということですね。
肉の旨みとさまざまな食材のエキスを抽出し凝縮した物質 、誰にでも一流シェフの技をもたらす魔法 、それが 〝ブイヨン 〟なのです 。音楽も 、世界で (そして日本で )ヒットし永く愛され続けるものには 〝ブイヨン 〟が不可欠なのです 。
本書ではブルース。カントリーといった、ポップミュージックの根っこのことを〝ブイヨン 〟と読んでいるのですが、この事についてかなりページが割いてあります。
歌詞を書く人にお願いしているのは、次のようなことを物差しにしてほしい、ということです。
◯裸を見られるより恥ずかしい歌詞かどうか
◯親兄弟、恋人、友達に言えないテーマかどうか
歌詞めちゃめちゃ大事ですよね。僕も編曲する時には歌詞をガン見します。
人を振り向かせる要素
①ハッとするほど美しいかどうか
②毒を盛れているか
③色気があるかどうか
人を振り向かせる要素、この3つはすごく大事だと思うんですが、わかっていても技術的にそこまで到達出来ない、という人も多いんじゃないかなと。練習だ。
楽器奏者のみが知っている気持ちよさと、グローバルスタンダードで言う”踊れるグルーヴ”との違いを把握できているかどうか?が、普通のヒットメーカーへのこれまた分水嶺なので、ここはぜひ体得してほしいノウハウ
こちらも、たくさん聴いてたくさん作らないといけないですね。そしてコントロールする。
ポップとミュージックの両方を極めなければいけないので、僕たちは曲を作る時点ではグレーゾーンを考える必要は無いともいえるでしょう。
自分が本当に良いと思える曲かどうかが、まず真っ黒けということ。~略~
田舎にいる自分の甥っ子がこの曲を聴いて振り向くかどうか。これが真っ白け
最初から真ん中を考えて作ってしまうと、誰も喜ばない=つまらないものになってしまうものです。
”端と端を見る”とも言い換えられていますね。これを実際やろうとするとめちゃめちゃ難しいですが…
ボーカルトラックにおける知識や技能をおろそかにしてる人ほど早くいなくなってゆく世界であることは、間違いの無い事実です。
ボーカルトラックについてもかなり細かく言及しています。例えば、ピッチの上下がどうなってるとか。マニアック。
この本、シンガーソングライターの方にも役立ちそうです。
おわりに
僕もプロデュースがきちんとされてない編曲を頼まれる事がかなり多いのですが、「とりあえず」「なんとなく」で作られた楽曲って作っていて全く面白くないんですよね。そういうのはやりとりの浅さですぐわかりますし、方向性がはっきりしないので、最終的にも「なんとなく」な曲になってしまう。
今後そういうものは断るか、こちらもプロデュースに口出しするか、どちらかにしたいなとは思ってます。だって面白くないですもん。
では、agehaspringsが制作した楽曲でお別れです。