回転でもいいからお寿司が食べたい。どうも、こおろぎ(@kohrogi34 )です。
今回は和音の第1転回形に絞って書いてみます。
クラシック、オーケストラ以外でも頻繁に使用されるにも関わらず、特徴を知らない方が多い気がするので。特にポップス系の打ち込みをする人や鍵盤を弾く人は頭に入れておいていいかなと。
和音の第1転回形とは
和音の根音(ルート音)から3度上の音が低音になる和音の配置。コードネームで言うと「C/E」など。
ピアノロールはこれ
ベース音とルート音の間が六度の事から「六の和音」とも言われてます。
オンコードのうちの1つ、と書いたほうがわかりやすいんだろうか。
ちなみに、ルート音が低音の和音(C)は基本位置、5度が低音だと第2転回形(C/G)と呼ばれます。
第一転回形ではベース音を上の音と重ねないほうがいい
今回はこれだけ覚えてください。
第一転回形ではベース音を上の音と重ねないほうがいいです。これは長和音でも短和音でも同じ。
例えば、コードC/EだったらEの音を重ねない。
特に、一番高い音として重ねるのは一番悪いと言われてます。
上の和音を転回させてベース音が下にくるようにしたり、オクターブ下にべースを追加するのはアリ。
ベース音とその上の音の間に別の音が入るといけないみたいです。ベース音から発生する倍音と上に重ねる音の濁りを増幅してしまうという噂。
耳で覚えよう
こういった和声の勉強をする時のコツは、自分でいい例と悪い例を聴き比べて、耳で覚える事です。そうすれば理屈や言葉を覚えてなくても、響きで「気持ち悪いな」って感じるようになります。
というわけでこの譜面を弾いて、気持ち悪さが分かるまで弾き比べてみましょう。左が良好なもの、右が良好でないもの。右は連続8度も加わっています。C→C/E→Fというコード進行。
MIDIデータも置いておきます。→第一転回形の例MIDI
いかがでしょうか。…よくわかんなかったはずですw
現代では割と耳にするので、あまり気持ち悪さを感じないはず。むしろ左側の、響きがすっきりとした、荘厳な雰囲気を覚えておくといいかもしれない。
ロック系やギターだと気にならなかったりしますが、シンプルに聴かせる曲は意識して避けたほうがよいですね。
さらに詳しく
この和音の性質をもうちょっと詳しく見ていきましょう。
並行で動いても平気
ルート上の三和音、基本位置では和音を平行に動かすと連続5度やら8度やらが発生して気持ち悪いのですが、第一転回形を並行で動かしても割と許容されます。
左側がルート音で並行C→D→E
右側が第一転回形の並行C/E→D/F→E/G。
左側は並行5度がベース音とトップの音で発生しているので気持ち悪いですね。右側はこのままでもいいんですが、ベースの上の音をいじって平行8度を解消するともっといいみたいです。
調に対する役割で第一転回形の重複の仕方が決まる
a,第一転回形のバス(根音ではない)が調的音度(I、IV、V、ときにはII)ならばそれは重複される。
b,3和音のバスが調的音度でなければ、その音は重複されず、その代わりに和音の中の調的音度が重複される。
– ウォルター・ピストン「和声法」
あ、これめんどくさいやつだ。
厳密には調に対する役割で第一転回形の重複の仕方が決まるっぽい。
このウォルター・ピストン「和声法」には、調に対するそれぞれの音度での第一転回形の使い方が書いてあるので、もっと詳しく知りたい方はどうぞ。
ベテランの声
「編曲の本」にて「和音の回転」についての質問コーナーがありました。そこでプロの方が第1転回形(六の和音)をどう考えて使っているのかを答えてます。なんてニッチなコーナーなんだ。
抜粋して引用しますね。
小六禮次郎
ロックの時など、六の和音はわざと3度を重複して使う。
ボブ佐久間
(バスと)重複した時気持ちが悪い、と思わなければ(曲を)書く資格が無い
飛澤宏元
70年代以降の音楽では、上声部は「ドソド」ではなく「レソド」になるような書き方をしたほうがよいことが多い
白石哲也
六の和音というのは、威厳があると思っているし、上声に3度が鳴ることでその威厳が失われてしまう。
馬飼野俊一
実際に聴いた時に違和感がなければ、それが正しいと思っている
服部隆之
ポップスのものに関しては、全く問題視していない。ただオーケストレーションする時に、特に中、低音域では、3度の重複は気をつけている。これは聴感上の問題であり、学校で習ったからとか、本に書いてあるからとかの問題ではない
追記 みなさんの声
クラシックを通ってない人も覚えておきたい第一転回形の和音についての真実。例えばC/E。 – http://t.co/sG25G7ySlr 自分の場合、転回形を使う意図によってボイシングを変えてる。アクセントの場合は、濁るほうを選ぶことが多い。進行の都合で転回の場合は濁らせない。
— 喜兵衛C86-17日東ラ54a (@kihee) 2014, 7月 31
第一転回形は3度乗せちゃだめって教わって守ってるけれど、空虚な感じがするから、代わりに2(9)度つっこむのがマイブーム:クラシックを通ってない人も覚えておきたい第一転回形の和音についての真実。例えばC/E。 http://t.co/UZLuGWuWvE
— ちえ@夏コミ3日東ヨ45aティアひ23b (@chiepomme) 2014, 7月 31
そういえばフランス和声では第一転回形の最低音(第3音)はバンバン重複される
— REV (@revmusicprod) July 31, 2014
ポップスやロックなら、そのコード内でメロとベースがどちらもずっと第三音かつ、次のコードにかけて連続8度にならないなら問題ないと思ってる。→クラシックを通ってない人も覚えておきたい第一転回形の和音についての真実。例えばC/E。 http://t.co/29LTeDeBCG
— ✡ℒ੨༒ꑄ৸๑☪翔@8/18イベント登壇 (@Lacroix_Sho) 2014, 8月 1
おわりに
わかりやすいように、クラシックの理論をポップスの用語(バークリーメソッド)に置き換えて説明するようにしてるんですが、大変です。
ちなみに、僕はこの記事を書くまで転回じゃなくて回転だと思ってました。
まあ違和感なければ使っちゃっていいと思います。…っていうとこのブログを書いた意味なくなっちゃうからやめとこう。なんとなく気をつけてみてください。