歌ものバラードのオーケストラアレンジ(オーケストレーション)のコツを、なるべく用語などを使わず、ざっくり書いてみました。
オーケストレーションは、色を塗るように
オーケストレーションは絵に色を塗っていく感覚で作っていくとうまくいきます。
サウンドが薄いな、と思ったらオクターブ上や下のサウンドを足したり、他の楽器を重複してボリュームや厚みを足す。
逆に、薄くしたかったら、弱く弾いて、和音も薄く。彩りが足りないな、と思ったら他のカラーをもった音に変えてみる。音量や強さで陰影をつけて、メリハリを出す。
ピアノやアコースティックギターがずっと鳴っている曲に音を重ねていくときのイメージはこんな感じ。
木管には木管、弦には弦、のように同じサウンドカラーのもので和音を組むとうまくまとまる。
波のように強弱をつける
波のように、常に音量をゆらゆらさせると聴いていて心地よいです。
強弱や楽器の重ね具合で音量の波を作っていきます。
一番盛り上がる場所以外は音量が平らにならないようにしましょう。
特に打ち込みの場合は、音量が平たんだと打ち込みっぽく聴こえてしまいます。
あとは、急に大きい音を鳴らさない。聴く人がびっくりしたり、粗雑に聴こえてしまいます。
大きい音量にするときには、楽器を徐々に入れたり、強弱を変えたりして、必ず助走をつけます。そして、小さい音量になるときも、ゆっくり戻る。
複雑にしすぎない
オーケストラって、楽器は多いけれど、決して複雑ではないんですよね。
ポップ系の場合は、3つの和音の重ね具合だけで厚みを出していく場合も多い。
初心者のオーケストラを聴くと、やたらと複雑にしようとしているものが多い気がします。もちろん、狙ってそうすることもありますが。
フレーズが埋もれて聴こえない場合は意味がないと考えてよいです。
打楽器を入れすぎない
グランカッサ、シンバル、スネア、ティンパニ等に関しては、ゆっくりな曲だと一番盛り上がるところだけでいいです。
音程打楽器のシロフォン、グロッケン、チェレスタも、ここぞというときだけにしましょう。
金管を入れすぎない
これも、一番盛り上がるところに入れる、くらいでいい。
楽曲に力強さがいらなかったら金管自体を入れなくてもよいです。
オブリガートを入れてみる
アプローチの1つとして、たまに歌のメロディに対してのオブリガート(対旋律)を入れてみると編曲のバリエーションが出せます。
・歌のメロディと一緒の音程にならないように
・同じ方向に3回進行しないように
・あまり同じリズムにならないように
・盛り上がる場所が同じにならないように
・ぶつからないように
というのがポイントです。
イメージ
木管でくっきりとした旋律を吹いてもいいですし、ストリングスでうっすらと、背景かメロディかわからないようなものなど、色々なアプローチが考えられます。
DTMの場合、楽器編成は作りながら考えてもいい
一菅編成、二菅編成などありますが、DTMの場合は、作りながら編成を決めていってよいと思います。
足りなかったら素直に足す。いらないと思ったら無理に入れない。古典を基本にしながら、自由な編成で。
持っている音源の種類や性能に合わせてもよいですね。僕はB♭クラリネットが2本ないので、いつもE♭とB♭の2本でやっています。
楽曲の構造としては、ピアノ協奏曲に近い
歌モノバラードの場合、ピアノがベースになって、それにオーケストラを重ねていく、という形が多いんですが、これってピアノ協奏曲に近いんですよね。
なので、歌モノバラードの参考にするなら、ピアノ協奏曲を掘っていったほうが参考になるアプローチが見つかるかもしれない。
おわりに
ものすごくざっくりですけど、細かいことを書くより、こっちのほうがわかりやすい気がしたので書いてみました。
僕がオーケストラアレンジをした楽曲はこちらです。アコースティックギターをベースにオーケストラを乗せています。
もっと知りたい場合は、スコア読みとこちらの本がおすすめ。