今回は、ゲームに音楽を効果的に使うための、時間の長さについて考えてみます。
曲の長さはざっくりこの3つに分けられます。
・ジングル
・短い曲
・長い曲
場面や状況、役割によって必要な時間の長さが変わってきます。
ジングルは「状況を知らせる」 | 〜15秒
ジングル(スティンガー)が効果的なのは「状況を知らせる」場面
・敵に勝利したとき
・敗北したとき
・謎が解けたとき 等
ごく短い曲は、長めの効果音的な役割になってきます。なので、インパクトの強い、複雑でないものがよい。
勝利シングルや謎が解けたときは、単純に気持ちいいサウンドにすることによって、プレイヤーの報酬としても機能します。
短い曲は「静」の場面に | 30秒〜1分
短い曲が効果的なのは「静」の場面
・状況が動かないとき
・物理的に移動しないとき
・感情の変化がないとき 等
例 : メニュー、設定画面、無機質な場所など。
音楽的な展開が必要ないとき、とも言えます。
また、実際に短い時間しか滞在しないであろうという場面にも。
短い曲は、何度もループして聴かせられると、プレイヤーに時間経過と飽きを感じさせてしまいます。
そうならないため、聴かせるようなメロディやはっきりとした展開、密度がありすぎるサウンドを避けます。
曲の時間が短くなるほどこの傾向を強くしなければいけません。
変化しないリフをひたすら繰り返す、というのも有効ですね。
長い曲は「動」の場面に | 1分〜
長い曲が効果的なのは「動」の場面
・状況が動くとき
・物理的に動くとき
・感情が動くとき
・メインテーマ、エンディング等、ゲームのテーマとなるメロディをしっかり聴かせたい時 等
例 : 広いフィールドを移動する時、駆け引きがおこる戦闘シーン
長い曲になると変化や緩急をつけることが可能になるので、景色や気分が移り変わる、状況が変化する、ということを表現できます。また、メロディを聴かせることにより、感情を乗せていく、ということができます。
通常、1分半~2分くらいが多く、実際、一通り展開を盛り込むには十分な長さです。
フィールドに関しては、曲が長いほうが広いイメージになりますね。実際、移動にも時間がかかりますし。
バトルも、通常の敵よりボスのほうが倒すのに時間がかかるので、より長いほうが「終わりが見えない」ような感覚にもなり、効果的です。
長い曲は、曲自体を長く聴くことになるので、緩急が大事です。激しい場面でも、ずっと詰め込んだ音が流れていると聴き疲れしてしまいます。
長い時間遊んでもらいたい、という時にも長い音楽で気持ちを乗せていく、ということができます。
最近のゲームになるほど1曲が長くなっている気もします。
不必要な長さにしない
曲の長さを考える時は、不必要な長さにしない、というのがポイントになります。
それにより、容量や予算、制作時間等も正しく抑えることができます。
場面的に展開が不必要なのに曲の時間がむやみに長い。などというのは避けるべきですね。
逆に、短い時間で「動」を表現するのも難しいのですが。
おしまい
なんとなく、習慣で長さを決めている方もいるんじゃないかな、と思って書いてみました。
ゲーム音楽の設計については「ゲームサウンド制作ガイド」が一番参考になります。