これからの世界を把握するための本「レイヤー化する世界」読んだ

教則本・その他本

気になったので読んでみました。

レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)

著者はキュレーターとしても有名な、佐々木俊尚(@sasakitoshinao )さん。

いま新しい世界の構造がつくられようとしている、ということを解説した本です。

ざっくりレビュー

・これまでの「世界システム」の流れを把握出来る
・これからの「逆回転しはじめた世界」というものがわかる
・「ウチ」と「ソト」、「レイヤー化」、「場」という言葉は概念に対しての名称だった

逆回転しはじめた世界

この本を読んで一番の面白いなと思ったのはここです。これから世界のシステムが変化し、民主主義さえも崩壊する。強者と弱者が逆転していく。

これは予言ではなく、ほぼ確実にくる未来。

生きている世界のシステムが根幹から揺らぐなんて、数年前までは全く考えてもみなかったんですが。

この世界システムの変化は人によって受け取り方が違うんだろうなと思います。言葉も「崩壊」とか「破壊」とか「消滅」とか使ってあるし。

この本自体は感情的にフラットに書いてあり、著者も「あなた次第」と言っています。

あ、でもちょっと希望を持たせる感じがあるかも。

大きな時代の流れを把握出来る

前半はいままでの歴史です。正直歴史は苦手なので読み進めるのが辛かったんですけど、今まで読んだ事がない「世界のシステム」の事について書かれていて面白かったです。

西洋の視点からだけではなくて、東洋も含めて大きな流れの説明は、もうこれが教科書でいいんじゃないかな、と思うほどわかりやすかったです。日本の事にも触れていますけど、それも面白かった。

文章も平易で理解しやすいです。実際佐々木さんも「中学生でも読める本」って言ってたような気がします。記憶なので違うかもしれない…

んで、本題への前置きがめちゃめちゃ長いんですけど、これを把握しないとこの後の「レイヤー化」する世界がどういったものなのか把握出来ないんですよね。

なので僕も頑張って読みました…w

<場>、「ウチ」と「ソト」、「レイヤー」、という言葉は概念に対しての名称

<場>、「ウチ」と「ソト」、「レイヤー」はいままで何となく感じていた事をうまく言葉に置き換えてます。

・<場>というのはインターネットそのものや、グーグル、アップル、アマゾン、ニコニコ動画など。

・「ウチ」と「ソト」は企業や国家をわけるもの

・「レイヤー化」は画像編集ソフトのレイヤーと同じ意味。今まで縦の繫がりだった個人が、薄く様々なレイヤーで横に繋がる世界になるという事

全然説明出来ている感じがしないですが。まあ1冊全体を使って説明している事なので…

未来について

第三部から未来についてのお話なんです。これから世界はどうなっていくのか。そして後戻りする事はない世界。

・超国籍企業は国の経済力、軍事力、国民の力を奪う
・すべての世界がフラットになるまで給料は下がる
・そしてやってくるロボットの世界
・全ては<場>に飲み込まれる
・<場>は民主主義を消滅させる
・国民国家の終わり
・国家も一つのレイヤーでしかなかった
・<場>の時代を生き抜いていく戦略とは
・強者と弱者が逆転し続ける世界

と、印象に残る見出しを書き出してみましたが、刺激的ですね。しかもほぼ現実になるし実際なってきているという。

”まず音楽が最初に<場>に呑み込まれた”とあります。そして、レイヤーという概念を音楽業界に例えて説明しています。

ああそうか、僕は音楽をやっていて、自分で体感しているからこの概念がすんなり理解出来たのかな、と。そしてこれからあらゆるメディアが<場>に移行していく。

そもそも世界システムが変化している感覚を僕がつかんでる時点で、<場>による情報や空気の共有が進んでいるんだなと思います。

読書メモ

いま、日本人には「自分は孤立している」という人が多いと思います。その不安のみなもとは、世界のシステムの変化にあるのだと私は考えています

レイヤー化した<場>は、マイノリティにとっては生きやすい世界になるかもしれないのです。
一方、これまで自分が社会のマジョリティだと疑わず、安心しきっていた人は、その平凡さのゆえに、特異なレイヤーで他者とつながることが逆に難しくなるでしょう。<場>はマジョリティとマイノリティを逆転させてしまうのです

<場>によって、ありとあらゆる常識は逆転していきます。仕事の仕方も、人間関係も、技術との付き合い方も、マジョリティかマイノリティかという違いも、そして自分自身の生き方も

「グローバリゼーションで世界はひとつになっていく」というようなことがよく言われます。しかし世界はそんなに単純にひとつになるわけではありません

まとめ

自分が流れを把握出来てるなっていう確認にもなりましたし、これまでの歴史を知る事も出来ました。

今、第三の産業革命が起きて、世界が変わってきている。そのなかに自分がいるってワクワクしますよね。明治維新どころじゃないですよ。世界規模ですからね。

これから自分がどう歩いていくのか、もう一度考えさせてくれる一冊でした。