「アル・シュミット流 ボーカル・楽器録音術 (日本語) 」を購入しました。
スティーリー・ダンやTOTO、ナタリー・コール、クインシー・ジョーンズをはじめ、数々のビッグアーティストと制作をともにしてきたアル・シュミット。グラミーを23回受賞、150以上のゴールド・プラチナディスクを獲得してきた、まさにサウンドエンジニアリングのレジェンドとも言える存在です。そのアル・シュミットがこれまで積み重ねてきたレコーディングノウハウを取りまとめたのが本書となります。
ということで、巨匠のノウハウを学べる本となっています。
生楽器を録音する楽曲のサウンドって、録音が一番大事な要素なんですよね。
録音時点でいいサウンドで録れていないと、あとでどんな処理をしてもダメだったりする。
僕はミックスでのリカバリが上手ではないので、何度も失敗しています。録音時点で後処理の少ないサウンドにしておきたいと常々思っています。
アル・シュミットは“ 録音時でほぼ完結させる”と語っていて、この本は僕の目的と合致した内容になっているのかなと考えました。
最初にパラパラと全体を見てみたところ、
・写真、イラストが少なく、文字の割合が多い
・機材紹介の割合が多い
と感じました。
実際に本書の8割はマイクの事について書かれています。
結局、録音とは機材ゲーなのだなと最初は思いましたが、
じっくり読んでいくと、「機材よりも環境が大事」ということが前置きとして書いてあります。
機材の解説は多いですが、ところどころに挟まれるエピソードがなにかしらのヒントになりそうな気がします。が、スタジオで演奏者とのコミュニケーションの話が多く、僕はセルフでブースでの録音なので、ヒントになるものはあまり拾えなさそうです。
楽器の録音に関して、距離が「何十何センチ」のように具体的だったりはするんですが、イメージのブレがないようにイラストは欲しかったかな。
後半3分の2はマイクのカタログのような感じで、ほとんどマイクのことについて書かれてあるので、めちゃくちゃマイクが欲しくなります。
NEUMANN U67は万能で、アル・シュミットの一番のお気に入りだということなので、僕もU67(VMRではFG-67)でしばらく音作りをしてみて、感覚を掴みたいなと思いました。
サウンドがU67に似ていて安価なMojave Audio/MA-300の実機やリボンマイクもラインナップされているVMRのエクスパンションも欲しくなってきた…
数年前にこの本を読んだら「結局高いマイクをガンガン買えないとダメじゃん。無理」となっていたと思うんですが、
現代はSlate digital ML-1(VMR)やANTELOPE EDGEのようなモデリングマイクがあるので、低価格でそこそこサウンドを近づけられる環境になっているというのが楽しいですね。
ML-1のブログ↓
■モデリングマイク『ML-1』と専用プリアンプ『VMS-ONE』のレビュー。高級マイクが使い放題!
この本は「録音術」というよりも、「アル・シュミット解説のマイクカタログ」という感じでした。
■The Virtual Microphone System | Slate digital