こんばんは、作曲家のこおろぎです。
2025年7月にDTM(音楽制作)用のWindowsパソコンを新調しました。
今回は、なぜPCを買い替えたのか、そして
「可能な限り最高スペックで、かつDTMでオーバースペックにならないコストパフォーマンスも考えた一台」
というテーマのもと、どのように各パーツを選んでいったのかを1つづつ解説していきます。
DTM用途に特化した「音楽制作モデル」というPCは市場に少ないため、Windows PCを組もうと考えている方の参考になれば嬉しいです。
はじめに:私の制作環境
本題に入る前に、前提となる私の主な制作環境を簡単にご紹介します。人によって最適なPCスペックは変わってくるので、ぜひご自身の環境と照らし合わせながら読んでみてください。
・DAW: PreSonus Studio One 7(最新版)
・オーディオ I/F:Fireface UCX II (USB接続)
・ディスプレイ: 3画面+レコーディング時1画面(WQHD ×2、FHD ×1+FHD ×1)
・HMD Meta Quest 3も使用したい
特に私のようなマルチディスプレイ環境は、グラフィックボードの性能選びにも影響してくるポイントです。
なぜPCを買い替えたのか?- Kontakt8が重すぎた
買い替えの直接的なきっかけは、DAWのグラフィック周りの動作が、耐えられないほど重くなってしまったことでした。
特に、頻繁に使用するサンプラー音源「Native Instruments Kontakt 8」の表示に時間がかかっていました。トラックを切り替えた際のUI表示に数秒かかるようになってしまい、制作の効率が著しく低下していました。
パーツをいくつか交換してみたものの改善せず、どこがボトルネックになっているのかを特定できなかったため、PC自体を新しくすることに決めました。
PCの性能は生産性に直結します。そこで今回は、AI(Gemini)にも相談しながらパーツを一つひとつ吟味し、TSUKUMOのBTOでカスタマイズしたものを発注しました。
なぜBTO(Build to Order)を選ぶのか?- 安心と時間を買う
PCを新調するにあたり、自作や出来合いのモデルではなく毎回BTOのサービスを選んでいます。理由は大きく2つあります。
・パーツの相性問題をクリアできる
パーツ同士を自己流で組み合わせると、相性問題が発生し、PCが正常に動作しないことがあります。
BTOなら、ショップ側で動作検証済みの構成を選べるため、その心配がありません。音楽制作という本来の目的に集中したいのに、パーツの相性トラブルで時間を浪費するのは避けたいです。
・組み立て時にパーツを破損するリスクを回避できる
CPUやマザーボードといったPCパーツは非常にデリケート。万が一、自作の組み立て中に静電気などで破損させてしまうと、高価なパーツが無駄になってしまいます。その点、プロに組み立てを任せるBTOなら、そのリスクを回避でき、安心してハイスペックな構成を注文できます。
こだわりのPCスペックとパーツ選定理由 – クリエイターPC WA9A-K247/XBをベースにカスタマイズ
それでは、今回私が組んだPCの構成と、それぞれのパーツを選んだ理由、実際に使ってみた感想をご紹介します。パーツごとに参考にしてもらえるとよいかなと思います。
TSUKUMOのクリエイターPC WA9A-K247/XBをベースにカスタマイズしています。
OS:Windows 11 Home 64bit版
・理由
他のOSではDAWやプラグインの安定動作のために、あえて古いバージョンを使い続けることがありますが、Windowsは最新OSでも互換性のトラブルがほぼ起きないのが大きなメリットです。そのため、迷わず最新版を選びました。
・使用感
何の問題もありません。安定して動作しています。
Microsoft Office:なし
・理由
作曲活動においてMicrosoft Officeを使う場面はほとんどありません。文章作成や表計算はGoogleドキュメントなどで代替できるため、搭載しませんでした。
セキュリティ対策ソフト:なし (Windows標準機能のみ)
・理由
サードパーティ製のセキュリティソフトは、時にDAWやプラグインの動作を不安定にさせることがあります。そのため、OS標準のセキュリティ機能で十分だと判断しました。
プロセッサー(CPU):AMD Ryzen 9 9950X
・理由
CPUはとにかく速いほど良く、多数のトラックやプラグインを同時に処理するDTMでは性能が直接作業効率に影響します。下のモデルとの価格差もあまり大きくなかったため、現行で最もスペックが高いものを選びました。IntelではなくAMDを選んだのは、近年のRyzenシリーズがマルチコア性能に優れており、DTMに向いているという評判を参考にしたためです。
・使用感
問題なく、期待通りキビキビ動作しています。
CPUクーラー:【水冷 240mm】 G-GEARオリジナル水冷クーラー
・選んだ理由
音楽制作に集中するためには、PCの動作音は可能な限り静かであってほしいもの。空冷式よりも静音性に優れる水冷式クーラーは、DTM環境に最適だと考えました。
・使用感
高負荷時でもファンの回転数が上がりにくく、非常に静かです。レコーディング時にもノイズの心配が減り、とても満足しています。
CPUグリス:なし
・理由
標準グリスで十分な性能が得られると考え、アップグレードはしませんでした。
ケースファンオプション:フロント 追加14cm 冷却ファン
・理由
以前のPCがファンの音が大きかった経験から、冷却性能に余裕を持たせることでファンの回転数を抑え、駆動音を軽減したいと考え追加しました。価格も高くはなかったのでおまけ感覚で追加。
・使用感
CPUクーラーと合わせて、全体的にとても静かになったと感じます。
マザーボード:AMD X870E ATXマザーボード (ASUS ProArt X870E-CREATOR WIFI)
・理由
このモデルのデフォルトのものです。買い替えの理由が「ボトルネック不明のグラフィック表示のパフォーマンス低下」だったため、マザーボードも含めてすべてのパーツを一新したいという思いもあり、旧PCとは違うこのマザボでよさそうだと思いました。
・使用感
最新のチップセットで、各パーツの性能をしっかり引き出してくれています。全く問題ありません。
メモリ:64GB (32GB x2枚) DDR5-5600
・理由
AIに相談したところ、「DTM用途なら64GBで十分。128GBはオーバースペックになる可能性が高い」とのアドバイスをもらいました。
私自身の使用状況を考えても64GBあれば十分だと判断し、この容量に決定しました。
・使用感
Kontaktライブラリを複数立ち上げても、メモリ不足になる気配は全くありません。非常に安定しています。
グラフィック機能:NVIDIA GeForce RTX 4060 / 8GB
・理由
買い替えの最大のきっかけが「グラフィック周りの不満」だったため、ここには少し投資しました。DTM用途だけならオーバースペック気味かもしれませんが、私は写真や動画の編集、VRも行います。複数の用途を快適にこなせるよう、少しハイスペックなRTX 4060を選びました。
・使用感
グラボが要因なのかは断定できませんが、悩みの種だったKontakt 8のライブラリ表示の切り替えが、驚くほど速くなりました。 UIのもたつきがかなり解消され、音源選びが非常にスムーズになりました。
SSD:[高速M.2 Gen4] 2TB Samsung 990 PRO
・理由
音源はCドライブへのインストールが必須なものも多く、すぐに容量が圧迫されがちです。ストレージのやりくりに悩まされないよう、大容量の2TBを選択しました。
・使用
問題なく高速に動作しています。ただ、Cドライブを後から交換するのは面倒なので、思い切って4TBにしておけばよかったかもしれません。
追加SSD:なし
・理由
音源・プロジェクト用SSDは旧PCからそのまま新PCに付け替えました。
新しくなったのはCドライブだけです。こちらもすべてM.2で高速です。
光学ドライブ:なし
・理由
最近は使用頻度がかなり低く、必要なときのために外付けドライブを持っているので、内蔵ドライブは不要と判断しました。
電源ユニット:【80PLUS GOLD認証】 CWT製 GPS750S-T (定格750W)
・理由
デフォルトよりも1段上のものです。オーディオインターフェースやMIDIキーボードなど、USBで接続する外部機器も多いため、電力供給に余裕を持たせたかったのが理由です。安定性を重視し、W数が高めのものを選びました。
・使用感
多くの機器を接続していますが、電力不足の心配なく安定して動作しています。
下取りサービス:あり
・理由
古いPCをバックアップ用に残しておくことも考えましたが、最終的に処分するのが面倒になることを見越して、下取りに出すことにしました。
終わりに
新しいPCを導入してから、動作のもたつきというストレスから解放され、純粋に音楽制作だけに集中できる時間が増えました。PCの性能は、間違いなくクリエイティビティに直結すると改めて実感しています。
余談ですが、私は趣味でカメラも嗜んでおり、昨今のカメラ機材の価格上昇には目を見張るものがあります。それに比べると、PCパーツの進化と価格のバランスは非常に健全で、コストパフォーマンスが非常に高いものだと感じています。性能が劇的に向上したことを考えると、とても良い買い物ができたと満足しています。
では!