対位法とは『複数のメロディを同時に美しく鳴らす』という技術です。
和声法というものがありますが、そちらは和音同士のつながりについてのお話で、対位法はもっと細かく和音を旋律・リズム単位に分解して横の流れを美しくしよう。というお話でもあります。
クラシックには必須と言える技術なんですけど、歌モノでも、メロディに対するストリングスやギターなどのオブリガートやベースラインなどに使えます。
和声法というか和音の流れはぶっちゃけ勉強しなくても感覚でなんとかなる事が多いんですが、対位法はルールが細かいので感覚で身につけるのは難しいと思います。
というわけで、ウォルター・ピストン、長谷川 良夫さんの対位法の本2つを比べながらレビューしたいと思います。
ウォルター・ピストン『対位法』
・読みやすい
現代語に近いので理解しやすいです。
・自由対位法のみ
厳格対位法はほとんど使う場面がないので、特に問題はないですね。
・リズムが多い
こちらのほうがリズムについての記述が多いです。リズムを独立させるのも対位法では大事ですね。
・実際の楽譜が多い
実際どのように使われてるかを知るのはすごく重要ですね。クラシックが好きじゃない方は辛いかも。
・実習が自由すぎ
長谷川さんちのに比べて答えが自由なので、答えを出してもいいのか悪いのかよくわからない時があります。
・近代の曲にも言及している
ちょっとしか言及してないですが、12音技法などは対位法と親和性が高いし、大体僕が近代曲でマジキチと呼んでるアプローチは拡張された対位法から発生している事が多いですね。これは参考になりました。
・目次
1. 旋律曲線
2. 旋律リズム
3. 和声的基礎
4. 和声リズム
5. 2声対位法
6. 動機の構造
7. 3声対位法
8. 3声を超える対位法
9. 転回対位法
10. 2声のカノン
11. その他のカノン
カノンは実際の曲で使用することはあまりないので、遊びみたいなものですね。全部で200Pくらいなので割と少ないです。
長谷川 良夫『対位法』
・言葉が古い
かなりつらい時があります。書き方も固いです。
・答えが固い
禁則は絶対破ってはいけないルールみたいになっています。わざとグロテスクな効果を出す為に禁則を使う事もあるので気をつけたい所。
・実習がたくさんある
答えが決まってるので、最初はこういう問題の方が理解しやすいかも。
・厳格対位法を勉強したいならこっち
ピストンは厳格対位法が載っておりません。
・目次
1.序説
2.第1部 声楽的スタイルの線的技法 (厳格対位法)
3.第2部 器楽的スタイルの線的技法 (自由対位法)
4.第3部 カノン及びフーガ
5.作例曲集
おわりに
余裕があれば両方読んでみると面白いです。
あとWikipediaの説明がわかりやすいです
関連
対位法と対をなす「和声法」
さらに管弦楽法