時間がかかりましたが、彦坂恭人さん著『実践!作曲・アレンジに活かすための モード作曲法』を読み終わりました。
ざっくり
・内容が濃い
・インストを作る人のほうが役立つ
・基本的な和声法を習得してから読もう
・音源がないので、ピアノがある程度弾けないときびしい
本の厚さはそこまでないのですが、内容が濃厚。
クラシック系統の組み立て方です。どちらかというとインストを作っている人のほうが応用できそう。
初歩的なトレーニング方法から、あらゆる方法でのモードを使った作曲の方法まで。和声法、対位法と並んで習得してもいいレベルの本です。
実際の曲を使って解説をしたり、文章も、なるべくわかりやすく書かれています。実際に身につくのは時間がかかりますが。
楽譜を見てピアノを弾くのが難しい僕としては、CDなどの音源がないのがきつかった…
この本を読む前に、スタンダードな和声法を習得しておいたほうが良いです。カウンターとして考えられている部分もあるので。
実はモーダルにするためのコツは、機能和声の動きと反対のこと「和声学の禁則を敢えてやってみること」なのです。
モードには禁則や「こうせねばならない」等と言うルールもありません。「メジャー、マイナーとは異なる世界観を構築できるかどうか」が最終的な判断基準です。
最後のほうに作品の分析がありましたが、本を読むよりも自分でアナライズをしたほうが感動もあるし身につくと思っているので、気に入った作品を見つけてアナライズしたい。
フィーリングの部分を鍛えるコツを学ぶ
セクション2の冒頭にとてもよいことが書かれていて、
実際には優れた理論家が「良い曲」を書けるというケースは稀なのです。つまり御自身の「フィーリングの部分を鍛えるコツ」をこれから学んでいくことが、この章の最大のポイントになります
あくまでも「フィーリングの部分を鍛えるコツ」を学ぶことが大事だということ。
実践でも「何のモードで作る」ということはほとんど考えずに「イメージした響きで作ったら結果的にこのモードだった」ということが大半なので、理論を覚えるんじゃなくて、響きを覚えるということを意識する。
和声法でも、連続5度が体に入ったらその響きが聴き取れるようになる。モードもその状態を目指す。
劇伴とモード
特に、映像音楽(映画、ドラマ、ゲーム等)における「転調」、「速度を変化」は場面が劇的に変わってしまうことが多いため、細やかなグラデーションを付けるのには向いていません。そこで、小さな感情の変化や、ストーリーの方向性が少しづつ変わっていく場合等には「モード・チェンジ」の技術は必須なのです。
映像の音楽(劇伴)でのモードの必要性は強く感じます。劇伴では、暗い、明るいといった雰囲気をはっきりさせる場面というのは少ないし、進行を解決させないほうがいい時がある。
微妙なニュアンスを表現するためにもモード、さらにモードチェンジの習得の必要性を感じます。
おわりに
音は、意識していないといつも同じ方向に流れるクセがついてしまうんですよね。違う響きを自分の中に取り入れていきたい。
といっても、すぐは身につかないので、何度も反芻して学んでいくものであるなと思いました。