こおろぎです。もともとロックバンドから音楽をはじめて、その後、独学でオーケストレーション(オーケストラアレンジ)を身につけ、プロとして作曲をしています。
僕が実践した、安くて早くて効果的なオーケストラの勉強法を書きます。
クラシックがルーツじゃないけどオーケストレーションを身につけたい、という人におすすめです。
1 自分の好きなオーケストラ曲を見つける
オーケストラアレンジを身につけるには、まず、自分がグッとくる曲を見つけておく必要があります。そうやって、自分の中でいい音の評価軸をきちんと持つようにします。
評価軸がないと「なんとなくだけどこうやっておけばいいか」という、曖昧なオーケストレーションになってしまいます。
まずは、クラシックの有名曲を手当たり次第聴いて、いいなと思うものを見つけます。「クラシック 名曲」あたりでググって、ザクザク聴いていく。
数百年の歴史があるので、好きな曲が1つくらいは見つかるはず。メジャーなものからちょっと離れた曲のほうが好きだったりもするので、そういうのもチェックしてみる。
クラシックは長い曲が多いのですが、自分好みの曲かどうかは冒頭でだいたい判断できるので、少し聴いただけで判断してかまいません。
好きな曲が見つかったら、その作曲家、時代、地域、楽器編成を中心に掘っていくとより好みの曲が見つかる可能性があります。
見つからなかった場合、気に入った1曲だけを徹底して分析するとよいです。
2 好きな曲の楽譜を見る
1で、なぜ最近の曲ではなくてクラシック曲を探していくのかというと、楽譜が無料で簡単に手に入るから。最近のものだとあまりスコアが出回ってないうえに高いのです。
また、クラシック曲の楽譜の情報量は膨大で、理論書とは違い実践的なアプローチが身につくし、現代ではあまり使われていない、自分の気に入った音遣いも発掘できるかもしれません。宝の山です。
以下のサイトから著作権が切れた曲のスコアをダウンロードできます。
紙に印刷すると見やすいのでおすすめ。
オーケストラは楽器が多いので、耳で聴くだけだとどの楽器がどこを演奏しているのかがわかりづらいです。
楽譜を読むことで、どの楽器がどういう音を弾いているのか、音の重ね方、楽曲の構造などが正確に把握できます。
そうして、最初はグッとくる曲だけに絞って分析していきます。そうしないと、分析した時の感動がないため、記憶にも残りません。
1曲を徹底して分析できれば、大まかなやり方は身につくので、他の曲も分析しやすくなります。
3 並行して和声法、対位法、楽器法の勉強をする
楽譜を読むのと並行して、和声法、対位法、管弦楽法の勉強をします。楽譜を読むほうが優先度は高め。
・和声法(音の積み重ね方、コード)
・対位法(複数のメロディの組み合わせ方、オブリガート)
・管弦楽法(楽器の奏法、音域、効果的な使い方、重ね方)
一気にやるのはつらいと思うので、毎日少しづつやります。
きちんと読み切るのに数か月~1年以上はかかると思う。地道にやりましょう。
ポイントとしては、丁寧に身につけることですね。僕は雑にしか身についていないので困っています。
ウォルターピストンの本は文章が固くないのでおすすめ。
4 さらに並行してひたすら曲を作る
1、2、3と並行して、手に入れた知識を使って作曲する。実践あるのみ。
おわりに
これで身につきます。たぶん。
やはり、一番大事なのは好きな曲を見つける、ということなんですよね。好きでもないものを勉強しようとするから身につかない。バンドをやっている人も好きな曲のコピーから始めたはず。
一度覚えれば一生使える技術と知識が手に入る。それって、他の職業ではなかなかない事だと思います。学習のコスパがめちゃくちゃいい。
オーケストレーションって、EQやコンプを使わずにアレンジ、ミックスをする、みたいなことでもあるので、オーケストラ以外のアレンジに対する音の重ね方のバランス感覚も身につきます。