今回はバルトーク 舞踏組曲 (Bartók Béla Tanz-suite Sz.77)のアナライズです。
バルトークって民族音楽の研究で有名なんですが、初めて聴いた時、その民族音楽の取り入れかたの高度さにこおろぎマジビックリ。
この舞踏組曲は分かりやすい曲なので、分析しやすいかもなあと思っております。(死亡フラグ)今回も2管編成なので、楽器の詰み方もよく頭にいれたい所。
このビデオを元に分析していきます。
しかしTáncszvit(ハンガリー語)Tanz-suite(ドイツ語)Dance Suite(英語)舞踏組曲(日本語)って色々あってややこしいっすね・・・
第1舞曲 Moderato
ピアノの最低音からのグリッサンドで始まる。
低音G、Dの上にG、A♭、B♭、C♭の音列。前回の火の鳥と似てる。まあ時代もほぼ同じなんだけど。G、Dで空虚5度にして、音列のスペースを作ってる感じ。固定された3度や4度の響きがないのが特徴。
僕がスケールじゃなくて音列って書く時はコードの想定が出来ない時です。その音の並びのみに意味があるというか。
wikipediaに詳しく載ってたので引用しながら書こう。ここは部分的に東洋・アラブ風らしい。
00:13〜 早速解釈が難しい。コードで言うとGに2つの5度インターバルを乗せたE♭4/Gなんだけど、コードで表現するのはしっくりこない。半音で進行するし。こういうのバルトーク多い。
00:21〜 最初の音列を4度インターバルの音で装飾。
00:34〜 半音、 -9のインターバルを使用してるところが興味深い。自分で作れるようにはなるんだろうけど、どういう理屈なのか説明するのが難しいなあ。
00:44〜 もう楽譜を二度見するレベル。低音での半音のぶつかりを積極的に使っていってる。その時、必ず反行させるのがルールっていうのは読み取った。対位法的。
00:58〜 コンビネーションオブディミニッシュスケールっぽい音階で木管。
その後のコードの移り変わりが面白い。転調、というか移高してるんだなこれは。
調号がついてないのは、Cのキーだからじゃなくて調号の意味がないからだと思われる。
01:07〜 も特異な和音。4、5度の響きが強いから調性があまり感じられない。
1:21〜 チェロのピチカートで弾く方向を指定してある。面白い。
1:40〜 オーボエの2パートが、ハモりじゃなくて対位法的に動いてる。今度はCが最低音。
ヴァイオリンとハープのグリッサンドが効果的。
1:50〜 ポリリズムっぽいアプローチ。構造はシンプル。
2:14〜 変な音がすると思ったらcol legno(弓の裏で弦を叩く奏法)か。
2:29〜 雰囲気が変わる。Gm7-5(半減7の和音)。ソロのヴァイオリン、ファゴットとクローズボイシングのホルンのバランスがいい雰囲気。G音をペダルにして上の和音を自由に変化させてる。
3:05〜 弦とホルンを交互に配置してるのが面白い。しかも弦、ホルンそれぞれのインターバルがキレイな響き。ふむ。あとファーストホルンの9の音が印象的。
第二舞曲 Allegro molto
ハンガリー風の旋律。1St.Vinにcon sord(弱音器をつける)指示してあるのはどういうことなの・・・・フォルテやで・・・・
※【追記】楽譜が間違ってたようです。senza sord でした。
木管でメロディにアクセントをつけてる。トロンボーンのグリスが印象的。数字が書いてあるのはポジション指示かな。
1度、5度が多めに重複されていて、力強く重い印象。
3:54〜 楽器の出し入れでのダイナミクスの付け方がすごく参考になる。実際打ち込んだら和音がキチガイすぎて笑ったw すごくバルトーク節。
※青:ストリングス、赤:木管・ホルン
気づく事は、ファゴット、コントラファゴットはベース重複に使う事が多い。ホルンはほとんど和音で使ってる事。ここの1St.フルートは高い音域なのにピッコロに持ち替えてないのも気になる。
4:21〜 ここはフルートの息が続かないのかな。交互に吹いてる。そのあとかなり跳躍するフレーズ。あと弦の振り分け方超ディヴィジ。
4:54〜 繊細だ。Aのバスクラリネットをバスにしてる。最後は弦とハープのハーモニクス、チェレスタでppp。
今回はここまで。2楽章づつやっていこうかな。
前回のストラヴィンスキーに比べるとかなりシンプルで無骨な印象。ピアノスケッチをそのまま置き換えたような感じの場面も多いです。
その2に続く!
・【アナライズ】バルトーク 舞踏組曲 (Bartók Béla Tanz-suite Sz.77) その2