どうも、作・編曲家、こおろぎです。
1つの楽曲ができあがるまでには、おおまかにわけて3つの工程があります。
■『作曲』 – メロディ、歌詞を中心に楽曲の芯を作る
■『編曲(アレンジ)』 – 楽器やハーモニーを付け加えて楽曲にいろどりを与える
■『ミックスダウン・マスタリング』 – 歌や楽器のバランスを整え、完成品にする
それぞれ専門の人間が担当し、作品を作り上げていきます。
今回のエントリは、アルバム「近視のサエ子」に収録の楽曲「アレ」の『編曲』が中心のお話。
作曲者の金延さえと、編曲者のこおろぎのやりとりを、ほとんどすべて公開していきます。
僕がいつも、「編曲をしています」と言っても、ピンときていない顔をされることが多いのですが、そんな方たちがこのエントリを読んで、ピンときた顔になればよいなと思っています。
挨拶、納期、料金に関係するもの、細かいやりとりなど、楽曲の中身以外の内容はなるべく削っています。曲のデータも短くしています。
それでは、はじめましょう。
依頼者 金延さえ
編曲の流れ
編曲、お請けいたします。
流れですが、
1、楽曲のデモを送ってください。それと同時に、楽曲のコンセプトや目指すイメージ等を教えてください。
デモは
・クリックに合わせたもの
・ボーカルとオケが別になっているもの
だと望ましいです。できる範囲でかまいませんが。
2、ワンコーラスのラフを作成し、雰囲気、楽器、テンポ感、コード感を決定
3、フルコーラスのラフを作成し、構成を決定
4、録音
5、パラデータの作成、またはミックスダウン
6、納品
となります。
とりあえずは、楽曲のラフデータと目指すイメージをください。
デモとイメージから、こちらからもどういう風にしていくのが望ましいか提案したいと思います。
1 どの曲を編曲するか?
今回はどの曲を編曲するのか選びます。
ほとんどの場合、編曲する曲が決まった状態でご依頼があるので、レアなケースです。
しかし、このほうがやりやすいものが選べてよいかもしれないですね。
こおろぎさんが編曲をしやすいジャンルがあれば教えてください。
▼「アレ」ライブ音源
▼「お祭りマンBOO(仮)」ライブ音源
バンド形態っぽくもいけるし、ドラムはエレクトリックなものでもハマりそうですね。ギターのニュアンスは入れたいので、それだけは外注になりそうです。
▼「お祭りマンBOO(仮)」
最終的にサウンドをどう落とし込むのかが難しそうではありますが、技術的には作りやすそうな感じではあります。
得意、苦手ジャンルはそんなにないです。ただ、打ち込みベースで制作しますので、生楽器が多いものだと難しいです。
全体的に、できるかぎり打ち込みで作成していきますが、編曲を詰めていく過程で生演奏のほうがよさそうだったらそちらを提案したいと思います。
編曲するのは『アレ』に決定
ギターとベースはいつもお願いしている人がいるため、編曲時点では仮で打ち込んでいただき、最終的には生と差し替えたいです。
コード感は変えていただいて大丈夫です。
元オケでは4つ打ちとシャッフルが混じったような編曲になっていますが、完全に無視してください。
この曲のイメージは、
毒っけ、ねっとり、哀愁、寂しさ、ワガママ、女、夜、歌詞を要約すると『構ってちゃんのめんどくさい女が浮気して帰宅したら、同棲してる恋人はすでに家を出ていた』という悲しい話です。
参考曲
・サンタラ「独白」
・ドーリス「マリポーサ」
・BONNIE PINK「冷たい雨」
2 ワンコーラスの短いラフを作成
まずは手はじめに、いただいたボーカルのデータにザクザクと肉付けした短いラフを制作し、イメージのすり合わせをしていきます。
ボーカルのデータは編曲の雰囲気、やりやすさに大きく関わるので、いただけると本当にありがたいし、完成系の質も上がります。
他のアルバム曲「めがねめがね」がポップな曲調で圧があるので、音の詰め具合はそちらに寄せて、アルバムとして統一感が出るようにしています。
コードも進行感や展開をわかりやすくするため、結構変えてみましたがいかがでしょうか。
ここから、もうちょっとアレンジにメリハリを付けていけるとよいかなと思っています。
しかもやっぱりお願いしてよかったです!
完全な別バージョンの作成
ためしにバンドアレンジのシャッフル系で聴いてみたいです。
参考音源はこちらの『オアシス』
https://myspace.com/fullgallopfullgallop/music/songs?
BPMはわたしの仮歌のままで、ドラムやベースのビートを『オアシス』風にしつつ、ギターロック過ぎないようにしてもらいたいです。歪み少なめか嬉しいです。
頭にテーマを入れてほしいです。ハーモニカにこだわりはありません。
ブラスやホーン、アコーディオン、、、、合うものにしていただければと思います。
頭のテーマは後で考えようと思っていますが、アコーディオンだと雰囲気もあるし音色も立ってよいかな、ということで、先にBにアコーディオンを入れています。
このパターンでお願いします。テーマはアコーディオンでお願いします。
入れれたらでいいのですが、どこかに哀愁のただようソロを入れてもらえれば嬉しいです。
楽器は合うものをおまかせします。
3 全体のラフを作成
雰囲気や楽器編成が決まったところで、全体のラフを制作。
ここでは各セクションでの展開や全体のバランスを見ていきます。
また、この作業以降は、キーやテンポなどの大まかな部分は変更できません。
冒頭、キメがあると印象的にできそうなだと思っていて、メロディのユニゾンを試してみたもののハマらず、今はただの連打なのですが、他のパターンももうちょっと検討したいです。
間奏のソロはアコースティックギターがよいかなと思っています。
フレーズをかみ合わせたいので、なるべくであれば、アコギのソロをレコーディングしてから、他の楽器をいれていきたいです。
アコーディオンは歌の裏でメロディを入れていく感じで。
また、アコーディオンの音色は、最終的にはもっと良いものを仕入れたいと思っています。
ハモりも厚くなりすぎない程度にいれると印象的にできそうだったので、加工して入れてみました。
かっこよくなっていて飛び上がりました!すごいです!
とくに「あの部屋へ帰ったらなんて言い訳しよう」の部分が自分でやっているときには思いもつかなかったので嬉しいです!
おわりに
さえさんが「早くてびっくり!」と言っていましたが、データを頂いてからラフ提出まで2日くらいだったような気がします。
ラフは、テンポ感を大きく変えたものを作ったのですが、編曲での曲の変化がわかりやすかったのではないかと思います。
ラフの段階では生楽器を使わないので、柔軟性が高く、早い対応ができるというのが現代のよさです。
第二回に続きます!
フリーのデザイナーです。主に雑誌やエンタメ系のデザイン&広報などをしています。
編曲の相談です。オリジナル曲のアレンジをお願いできますでしょうか。
今回のざっくりした企画を説明させてください。
▼制作のゴール
レーベルをたちあげて、CDを流通させてみようと思います。
本職がWebPR周りのクリエイティブをしているため、「広告費かけて個人レベルでどこまでやれるかな」という試みです。
いつもはプロジェクトの一員として組織のお金で企画していることを、全て自分の采配で、商品企画から流通、宣伝広告を経験したいと思っています。
▼アルバム企画概要
【近視のサエ子】
主人公:サエ子 30歳
広告代理店に務める30歳独身の主人公。同棲4年目の彼氏は現役バンドマン。
仕事はどんどん忙しくなる一方だし、彼も「お付き合い」の飲み会やオールナイトイベントですれ違いの日々。そういえば二週間ぐらい会ってないかもしれない。彼の携帯は絶対に見ない。財布の中のレシートも見ない。見たら我慢できなくなるから。
これは、強がりで、実際に強くて、だけど寂しい「こじらせ女」の物語。
▼収録予定曲数:3曲
うち1曲「めがねめがね」はレコーディング済みです。