ミュージシャン、クリエイターは基本的に自分の作りたいものを作りたいですよね。しかし、継続して稼いでいくには顧客が求めているものを提供しなければいけません。
顧客とは、音楽でいうところのリスナーや企業、個人のクライアント。
なんとなく誰かに買ってもらおう、とか、とりあえず活動していけば企業から自然に声がかかるだろう、というので成功するのは宝くじが当たる可能性くらい低いです。
作品内でやりたいことが見えている人がやるべきことは
1、顧客目線で考えた市場を見つける
2、顧客が求めるフォーマットに落としこんでいく
この2つだと思っています。
1 顧客目線で考えた市場を見つける
音楽自体は作りたいものを作り、その音楽がどの市場に需要があるのかを探ったり考えたりしてみる。その際は出来る限り拡張して考える。
レコード会社、音楽制作会社やリスナーだけでない選択肢もあります。
アプリの制作をしている会社、個人や、動画を使ったマーケティング方法など、新しい市場がどんどん出来ているので、そこに注目してみる。または海外も視野に入れてよいかなと。
例えば、エレクトロニカの歌モノを作っている人は動画系のアプリ制作会社にアプローチしてみるのはいかがでしょう。実際そういうの使われてたりします。
無料でお気軽動画作成!ムービー撮影(編集)iPhoneアプリまとめ | 株式会社LIGエレクトロニカの歌モノCDを買う人ってそんなに多くないはずなんですよね。でも「使う」のなら結構需要あると思う。
企業にアプローチするには営業メールを送ってみるのもいいかもしれませんが、コンテンツマーケティングで仕事をもらう、というのが現在の流行ですね。ざっくり言うと、コンテンツをネット上に出して、ターゲットの企業が見る場所に置いて依頼に誘導する、というやり方。僕はこちらしかやっていません。
ボカロPも部分的にはコンテンツマーケティングと言ってもいいでしょう。ボカロ市場で自分の音楽の需要があるならそれもよいと思います。
普段から世の中の動き、他の業界の動きを観測、分析しておく事が大事なのは言うまでもないですね。
1.5 顧客目線で考える回路を鍛える
顧客目線で考える時、多くの人は「お客さんだったらどうするか」ではなく「お客さんが自分だったらどうするか」で考えているので失敗してるような気がします。自分ではない、ターゲットにする人はどういった行動をとるのか、というのを徹底して考える必要があります。
例えば、ネットを使わない層にネット上でアプローチしてもうまくいきません。
ビジネスモデルの構築、サイトの運営・商品開発コンサルティングをやっている永江一石さんへのQ&Aをまとめた本「聞くは一時の恥 永江一石のなんでも質問 なんでも回答 メルマガベストセレクト」は、実際にどういった顧客にどういったアプローチをするのかというケーススタディがぎっしり書いてあるので、考え方の回路を鍛えられます。
この中に1つだけあった音楽関係の質問をピックアップしてみました。
Q ~ インディーズミュージシャンがネットを使って稼ぎを得る方法は他にはないのでしょうか。
A ~ 実はちょっとしたアイデアがあります。中小企業でも質のいい動画を配信しているところはあり、同様に曲の確保には苦労していると思います。企業のほうが無断使用で有名楽曲を使うわけにはいかないので苦労の度合いが大きいはず。
こういうところに安価で提供する代わりにクレジットを入れてもらう作戦もあるかと思います。検索してみましたが、こういうことをいている人はほとんどいないようで、引っかかってきません。
~中略~ ミュージシャンのサイトは判で押したように「Info」「Profile」「Discografy」「Blog」というヘッダーメニューで、はっきりいって工夫のかけらもないものばかり。
そうなんですよね。アプローチする場所の視野が広がってないのと、有名アーティストでもHPのデザインがアップデートされていない。
先に書いたエレクトロニカの例もなんですが、歌モノやっている人って活動の仕方が狭い気がするんですよね。
2 顧客が求めるフォーマットに落としこんでいく
さて、アプローチする企業や人が決まったら、そのフォーマットに落としこんでいきます。やり過ぎると、作品も自分もつまらなくなっちゃうので注意。なのでなるべく合わせないでいい場所を見つけるのが大事なのですが。
クラブミュージックだったらキックをでかくするとか、そういうのも含まれます。
アジカンのジャケットイラスト等を描いているイラストレーター、中村佑介さんのイラスト講座がこの勉強になります。
イラストレーター・中村佑介氏の『イラスト講座⑬』“イラストの優先順位編”(2014.08.12) – Togetterまとめ【@sh0riイラスト講座まとめ⑫】当講座に送られてくる絵も含め、個性的な作品は数あれど、クライアント(イラストの発注先)と消費者の目線を気にしている、もしくは満たしている作品は少ないです。僕はそれがプロとアマチュアの差だと、考えております。
— 中村佑介 Yusuke Nakamura (@kazekissa) 2014, 8月 12
【@sh0riイラスト講座まとめ⑬】アマチュアの場合は「自分が個性的であろう、あろう」とするばかり、他者の要望まで考慮することが出来ません。講座で何度も言っている「見やすい」や「わかりやすい」もそのひとつですね。
— 中村佑介 Yusuke Nakamura (@kazekissa) 2014, 8月 12
『イラストレーター・中村佑介氏のQ&A⑥』“持ち込み”編(2014.08.25) – Togetterまとめ 【みお解答⑧】僕が懸念しているのは、「ファッション誌の挿絵や小説などの装画」というみおさんのやりたい仕事と、今の描かれているタッチに少し差があると感じた点です。たとえメニューに載っていても、うどん屋に来て、わざわざカレーライスを頼む人は少ないと思うんですよね。
— 中村佑介 Yusuke Nakamura (@kazekissa) 2014, 8月 25
【みお解答⑭】ですがそれは先程から申し上げている通り、【良い】⇔【悪い】ではなく、【合う】⇔【合わない】なので、僕は実はこのままでも良いと思っています。ただ行き先を変える必要がある。"自分の好きなもの"と"自分に似合うもの"は、往々にして違うものなのです。
— 中村佑介 Yusuke Nakamura (@kazekissa) 2014, 8月 25
中村さんの講座、丁寧で面白い。まとまって本にならないかな…
さいごに
顧客目線という、反対側から見てみる事で自分の価値が発見できる事もありますし、思いがけないアイデアに繋がる事もあるので、じっくり考えて見ることをおすすめします。
考えてるはずなんだけどうまくいかないなーっていう方ももう一度深く考えてみるとよいかなと思います。リスナーだったら身近な人を思い浮かべてみるのもよいかもしれません。