僕はフリーの音楽家として稼いでいます。今回は「フリーのクリエイターがWeb上で稼ぐためにやっておきたいこと」をまとめてみました。
1.「信頼度パラメーター」を上げ、依頼が来やすい状態にしよう
2.大量にインプットすべし
3.自分だけのブルーオーシャンを見つけよう
4.他の業界や企業からアイデアを盗もう
5.土台となる収入を上げていこう
6.ファンや知り合い以外にも見てもらえるリンク先への紹介文やコンテンツを意識しよう
7.自分から出るもの全ての質を上げよう
1.「信頼度パラメーター」を上げ、依頼が来やすい状態にしよう
ギャラは信頼の値段です。よくわからない人に仕事は頼めません。クライアントに信頼、安心してもらうための「信頼度パラメーター」が高いほど依頼は来やすい状態になります。
実名を出す、自分の写真を出す、実績を書く、最新の作品がすぐ見られる聴ける、フォロワー数が多い、動画再生数が多い、人柄がいい感じ、その人にどういうストーリーがあるのか…など。
フォロー数、音源の再生数などの目に見える数字を伸ばす事、情報は限界まで晒すこと、何者なのかという事がわかるように。
人脈やコネっていう言葉は好きじゃないんですけど、有名な人やクライアントが知ってる人と知り合いだと信頼度パラメーターは上がります。
とにかくこれを増やし続ければ依頼は来やすい状態になるので「信頼度パラメーターが増えるかどうか」というのを1つの行動基準にしてもいいかもしれません。
もちろん、匿名なんだけどフォロワーや動画の再生数がめちゃくちゃ多い、っていう戦略もアリだと思います。でも工作はナシです。ウソは必ずバレます。
参考書籍
人生をハックするための本。
2.大量にインプットすべし
ネットは無料で情報が手に入るので、質の高いものを出来る限り多く集めましょう。そして気になるものは本も読みましょう。
過去はどうだったのか、現在はどういう流れなのか、どういうツールが出たのか…情報を大量に頭に入れると、将来どうなるのか、何をすべきなのかが見えてくる。アイデアもひらめくことがあります。
逆に情報を元に「アタリ」をつけて活動しないと結果は出ないし、出ても偶然なので続きません。
ツイッター
情報を集めたり、思考をするツールとしてツイッターを使う事がおすすめです。コミュニケーションの場としてだけじゃなく。おもしろそうな人は積極的にフォローする。
・自分だけに刺さる考え方、情報をつぶやく人(ニュースアプリで拾えない)
・web発で人気が出ているアーティスト(ニコニコ動画系の人など。バイラルの起こし方を知っている)
・違う世代の人(違う考え方、空気感を取り込む) …など
また自分からもアイデアを投げてみる。こういうのはどうかなっていうのを。
反響があったり、面白いノイズが混ざるのがツイッターの醍醐味。盛り上がるとブレインストーミングや集合知を感じる瞬間があり、人の投稿からアイデアをひらめく事もある。
参考書籍
まずは”自分にとっての「情報のメンター(導師)」という人を見つける”
3.自分だけのブルーオーシャンを見つけよう
競合が少なく、自分が勝てる場所で活動すると、飛び抜けた実力がなくても収入にできる可能性があります。
見つけるためにはいつも情報を仕入れて、新しいサービスやアイデアが生まれたらすぐ試してみること。そしてダメそうだったらすぐ手を引く。このトライ&エラーのスピードが大事。
また、好きな事や得意な事ができて、楽に居続けられる、そんなに力を入れてないのに不思議と結果が出る場所。
僕の場合、10年以上編曲の活動をしていてたいした結果がでなかったのに、インストの作曲を始めたら1年でプロになりました。
活動の場所探しは大事です。自分だけの場所を見つけよう。
参考書籍
結果が出る場所で活動する大事さは為末大(@daijapan )さんの「諦める力」が参考になります。為末さんも100mから「勝てる」ハードルに転向したんですよね。若くないクリエイターには特に刺さる本です。
好きなこと、得意なことだけをやり、それをレイヤーしてみよう
レイヤーというのは、画像や映像のソフトでそれぞれの素材を重ねあわせる事ができる機能。
ほとんどの人は好きな事は一つだけではないと思います。
例えばミュージシャンでも音楽以外の要素 ー生放送、ライブ、動画、文章、写真…など、自分が好きなこと、得意なこと、面白いと思ったツールを組み合わせてみる。
「レイヤー」することで自分を唯一の存在にさせ、組み合わせから新しい稼ぎ方も出てきます。
逆に、好きじゃないことは徹底してやらないほうがいい。
自分が好きじゃなかったり不得意なことをやっていても、競合の人が得意だったり好きでやってたりすると勝ち目がないです。
あと、みんながやってるからやっていること、これまでの惰性でやっていることを捨てる。例えばモノを売らなくてもいいんじゃないかとか。
そうやって自分のブルーオーシャンを見つけていきましょう。
参考書籍
「レイヤー」という言葉は佐々木俊尚(@sasakitoshinao )さんの「レイヤー化する世界」から。これから世界がどう変わっていくのか。マジョリティとマイノリティの関係が逆転するーなど。
4.他の業界や企業からアイデアを盗もう
他の場所で成功してる事なら自分でやってもうまくいく場合があると思います。
僕が参考にしたもの
・収入を晒していたり、全ての記事を無料で公開して広告収入だけで生計をたてている「ブロガー」
・無料の素材から有料の販売に繋げる「写真素材サービス」
・ライター、デザイン業界で盛んな「クラウドソーシング」
・無料でフルの曲を聴かせて収入に繋げる「ニコ動とボーカロイド」 など
また、最近のマーケティング方法は企業だけでなく個人にも応用出来るものが多いです。
・データを分析し、製品やサービスを修正し成長に繋げる「グロースハック」
・検索流入のコンテンツから依頼、販売に繋げる「インバウンドマーケティング」。
・ニッチなものを多く置いておくことで効果が出る「ロングテール」
参考書籍
グロースハックの入門書。
「フリー」について。「市場に参入するもっとも破壊的な方法は、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにすること。すると、その市場の顧客はいっせいに押しかけてくる」
5.土台となる収入を上げていこう
悲しい事実ですが、すべての人がアーティストとして成功できるわけではありません。しかし、土台となる収入を上げ続ける事ができれば、それだけで食べていけるようになるでしょう。
インターネットは保管しておくコストが低いので、1つ1つの収益が少なくても大量に置く事で土台を少しずつ上げるという戦略をとる事ができます。もちろんそのコンテンツ自体の質を高く、より多くしたほうが効果が高いです。
音源、動画、文章、写真などの広告収入、またはそれらのデジタルデータの売り上げなど。内容としては、動画も文章も技術的な解説をしているものが手堅い。
ただ置くだけでなく、お客さんがそれをストックした場所に検索等でたどり着くように。どこからか勝手に来る状態にする事も大事です。それなら宣伝をしなくていい。
6.ファンや知り合い以外にも見てもらえるリンク先への紹介文やコンテンツを意識しよう
たくさん発信してるんだけどあんまり効果を感じないな、っていう人は、ファンや知り合いしか見ない紹介文やコンテンツになってしまっている場合が多い。
これ「リアルな活動からネットに活動の場所を広げた」、または「宣伝のためにSNSを使い始めた」っていう人は特に出来てないんですよね。
芸能人のように、既にファンが大勢いたり、テレビ等の露出があって他の場所でファンを獲得できたりするなら、ファンだけに向けて作っててもいいのだけれど、無名のうちはそういう発信の仕方はせず、「ファンや知り合い以外にも聴いてもらえる、見てもらえる」ものを常に意識していきたい。
リンク先への紹介文
ツイッターは「北風と太陽」のように、脱がせるんじゃなくて自分から脱ぎたくなるように誘導できるか。
・ツイートを見た瞬間に内容を理解できる
・「今」開きたくなる
そういう紹介文にすべきです。ダメな例は
・リンクを貼っただけ、ブログのタイトル「今日は…」など
・よろしかったら聴いてください(URL)
釣りのURLも増えているし、みんな暇じゃないので、内容がわからないものはクリックしません。「よかったら」というのも今開く必要ないですよね。なのでスルーされます。知らない人に「買ってください」のようにいきなりアクションを求めるのもダメでしょう。
しかも、そういうのはせっかくファンがリツイートしてもその先の人は結局興味がないので開かない→広がらない。その先のコンテンツがダメだと結局ダメなんですけど、内容まで到達すら出来ないのはもっとダメでしょっていう。
リンクの内容がよく説明されてて、「今」開かなければいけないというような紹介文にすべきです。もちろん釣りはダメですけど。そして文章はターゲット毎に変えていくといいと思う。この人はこういう文章だったら見てくれるんじゃないかな、って。
または、内容がツイートにまとまっていて、ツイートを見た瞬間に理解できるようにする。動画や文章を切り出して直接見えるようにする。
コンテンツ
コンテンツとは音楽、動画、文章、写真など、著作物の事です。
知らない人に見てもらえる内容を極端に分類すると「役に立つ」か「感情を揺さぶる」のどちらか、または両方。
同じ行動でも切り出し方、見せ方を工夫する。
でも、エモい、すげえ、美しい、楽しい、クソワロタとか、感情を揺さぶるものって難しいんですよね。常に出来たらもうプロなんじゃないかな。
でも「役に立つ」っていうのは割と簡単だと思うので、そこからはじめませんか?
出さないこと、も大事。
現在、情報は溢れているので、求められているのは大事なことしかアウトプットしない人。キュレーターみたいな。
アウトプットは絞り、なんでもかんでもシェアしない。「俺がシェアしたURLはクリックして損はしないぜ」っていうものしかシェアしない。「信用度パラメーター」も下がります。これは絶対必要ないっていうものはやめる。情報の「ゴミ」を出さない。
ダメな例
・知り合いだからといっていいと思わないものをシェアする
・定期ツイート
・制作途中の報告(今ここまでできてますー)
定期ツイートはクリックされてない、売れてないぜって自分でアピールしちゃっているようなもの。
あとただ単に制作途中を報告されても、何にもリアクションとれないですよね。コンテンツの予告動画も意味ないんじゃないかなとも思ったりします。
未知のテクノロジーとか、そういったものを使ってないと見ようと思わない。基本はコンテンツの本編をインパクト多めに出して、本編を何度も見返してもらえるように、後から制作途中のものを出したほうがよいです。
参考書籍
メディア野郎、田端 信太郎 (@tabbata )さんのメディア、コンテンツの作り方についての基本的な考え方を学ぶために役立つ本。「ストック」「フロー」の概念など、相当影響を受けました。
7.自分から出るもの全ての質を上げよう
結局のところ質が一番大事。高ければ高いほど仕事は来やすい。あたりまえですが。
音楽だけでなく、文章や写真、サイトのデザインなど、出来れば自分から出るもの全ての質を上げたいですね。今は外注しなくてもある程度までは自分できるので、コスト、時間を掛けずに質を上げる事が簡単になってます。少しづつでもやりましょう。
上を狙うんじゃなくて、それぞれの質の最低ラインを上げるというイメージでよいと思います。アイコンに解像度の低い写真を使わないとか。
おわりに | 稼ごうと思わないこと
最後に、人からお金をとるにはどうしたらいいか、というのばかり考えてても稼げません。
まずは多くの人を楽しませたり、役に立つものを作ること。
それができれば勝手にお金は集まるんじゃないかな。いきなりこれ買ってください、みたいなセールストークされても気分が悪いですしね。
みんなに喜んでもらって、たまたま運良くお金が入ってきた、ってくらいのほうがいいです。
なので、僕は毎月運がいいなと思ってます。
読んで頂きありがとうございました。
こおろぎ(@Kohrogi34 )でした。
この記事は2014年2月24日 Frekul Talk Live Vol.4 登壇にて話した事を加筆、修正したものです。