「取り柄がない」「能力はあるはずなのに上手くいかない」と思っている人はマーケット感覚を身につけよう

教則本・その他本

ちきりんさんの「マーケット感覚を身につけよう」を読みました。

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

この本は「自分には取り柄がない」「能力はあるはずなのに上手くいかない」と思っている人におすすめです。

マーケット感覚とは、価値に気づく能力である

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あるときふと自分の足もとを見ると、そこに大きな金塊があったとします。大人なら誰でも、びっくり仰天するでしょう。慌てて家族や友人を呼んだり、スマホで写真を撮ったり、持ち上げて重さを確認したりと大興奮しますよね。なぜなら私たちは、「金塊には価値がある」と知っているからです。

ところが幼児や動物の足もとに金塊を置いても、それは単に、キレイな石にすぎません。最初は触ったり舐めたりして興味を示すでしょうが、食べられそうにもないし、おもしろいことは何も起こらないと理解した時点で、彼らは金塊を放置し、他の食べ物やおもちゃを探しに行ってしまいます。

幼児や動物には、すぐ身近にある金塊の価値に気づく能力がないのです。このように、自分のすぐそばに「価値あるもの」が存在していても、その価値を認識する力がないと、「自分の周りには何も価値あるものがない」と捉えてしまいます。

~ 今、この価値を認識する力」の二極化が進んでいます。すばらしい学歴や職歴に加え、難関資格から専門知識まで持ちながら、不安から逃れられない人がいる一方、ずっと少ないものしか持ってないのに、「なんとかなる」「なんとでもなる」という自信とともに、世の中をわたっていける人もいます。この両者の違いがまさに「売れるものに気がつく能力」であり、「価値を認識する能力」の差です。

本書ではこの能力を「マーケット感覚」と命名しています。

”すばらしい学歴や職歴に加え、難関資格から専門知識まで持ちながら、不安から逃れられない人”

これは、ミュージシャンで言うと、基本的な技術があるのに仕事がない。先が不安で、レーベルや事務所という組織に入ればなんとかなるだろう。と考えている人ですね。

しかし、レーベルや作家事務所も、すでに市場で評価されている、市場にいる人を選ぶようになってきています。同じ実力でも、すでに市場に評価されている人と全く未知数の人、どちらを採用するか考えればわかると思います。

一見実力主義に見えるコンペも、名前が知られている人の方が通りやすい。

また、マーケット感覚がないと組織から放り出された時に何も出来なくなってしまいます。

私たち日本人が覚悟を決めなければならないのは 、 「これからの社会は 、どんどん市場化していく 。それを避けることは 、もはや不可能だ 」ということなのです 。

音楽業界でもそれ以外でも、マーケット感覚は身に付けるべきものになってきています。

市場とは、お互いのニ ーズを充たしてくれる相手とマッチングされ 、価値を交換する場所

ここでよく出てくる「市場」という言葉について。

マ ーケット =市場とは 、不特定多数の買い手 (需要者 )と不特定多数の売り手 (供給者 )が 、お互いのニ ーズを充たしてくれる相手とマッチングされ 、価値を交換する場所

たとえ物々交換であっても 、不特定多数の買い手と売り手がマッチングされ 、なんらかの価値を交換するなら 、それらの場所は 、すべて市場と呼ぶことができます 。この定義に沿って考えれば 、就職活動も学校選びも婚活も 、すべて市場です

音楽ならライブ、CD、Youtube、ニコニコ動画、Soundcloud、Beatport、Vine、iTunesやランサーズ、コンペ、指名での制作、などの市場がありますね。音楽のジャンル自体も市場と言えるでしょう。

ほかの仕事に比べてクリエイターの世界は市場化が進んでいる世界です。


クラウドソーシング「ランサーズ」

自分が高く売れる市場を選ぶ

そこで重要になってくるのが、どの市場で戦うか。

自分をどこで売るべきか 、自分が高く売れる市場はどれなのか 。 「一生懸命頑張る ! 」前に 、どの市場で頑張るべきなのかという市場の選択にこそ 、マ ーケット感覚を働かせる必要があるのです

たとえばイラストレ ータ ーや写真家 、文筆業などのクリエイタ ーの中にも 、 「イラストがうまい 」 「コミュニケ ーションが得意 」という人もいれば 、 「イラストがうまい 」 「コミュニケ ーションは苦手 」という人もいます 。前者なら 、関係者の多いプロジェクト型の仕事が向いているし 、後者なら 、 L I N Eのスタンプを売るような 、 1人で作業し 、イラストだけで勝負できる市場が合っています 。

市場化が進む社会で高く売れるのは 、 「よい商品 」ではなく 、 「需要に比べて供給が少ない商品 」なのです

よく見るのは、Jポップ系でクオリティはかなり高いのに全然売れてないアーティスト。供給が多すぎるんですよね。

例えばBABYMETALは、アイドルをメタルの市場で売ったから価値が高くなった。

もう一つ。

独占状態なら何でも高く売れるはずと考える人は、市場で取引されている価値について、突き詰めて考える習慣がついていません。

クリエイターはモノを作る時に、「人と違う、新しい事をしよう」「人と違えば差別化が出来て人気が出るだろう」と考えがちですが、そうではなく、「受け手が高い価値を感じるものを作ったら結果的に新しいものになっている」というのが理想だということがわかります。

クリエイターとして、アーティストとして、どの市場にいるのかを意識してみる、買い手がどんなものを欲しがっているのが、考えてみるとよさそうです。

非伝統的な市場を狙う

すでにある市場のどれかを選ぶ以外に、非伝統的な市場を見つける、という選択肢もあります。

非伝統的な価値が取引される市場では、ごく普通の人でも価値の供給者になれます。

これは、工業製品や農産物のように、プロの作り手でなければ提供できない価値が大半であった=伝統的な価値だけが取引されていた、以前の消費社会とは異なります

すでに成熟している伝統的な市場では勝負しないで、自分で新しい価値、市場を見つける。

非伝統的な市場は、能力が高くない人にもチャンスがあります。

この本では、いわた書店が例として挙げられてます。

【なぜ?】田舎にあるのに全国から注文が殺到する本屋さん【本好き必見】 – NAVER まとめ

「本を選んであげること」に価値があると気づいたマーケット感覚です。

音楽でもまだまだ、いくらでもあると思うんですよね。

Youtube、ニコニコ動画でも演奏はヘッタクソだけど面白い動画、人気のある動画ってあるじゃないですか。あれはマーケット感覚が鋭いんですよね。もちろん偶然もありますが。

とりあえずやってみて後から演奏力をつければいいんです。

マーケット感覚を鍛える5つの方法

この本にはマーケット感覚をどう鍛えるのか、まで親切に書いてあります。

1 プライシング能力を身に付ける
2 インセンティブシステムを理解する
3 市場に評価される方法を学ぶ
4 失敗と成功の関係を理解する
5 市場性の高い環境に身を置く

1は値段をつける能力をつけるということ。
2は人が何か行動をとった時、その背景にある要因を理解するということ。
3は組織に雇われなくても生きていく力
4はやってみて失敗し、その失敗や経験から学ぶということ
5は「お金がチャリンと鳴る瞬間」を見ることができる環境

といった感じです。

ほとんどはバンドや同人活動をしていれば鍛えられる機会があると思いますが、インセンティブシステムが理解出来てないミュージシャンは多そうなイメージです。

おわりに

マーケット感覚を身につけることの最大の利点は、それさえ身につければ、変化が怖くなくなるということです。

これからは基本的な能力が高い事に加えて、マーケット感覚を持っている事がプロとしてやっていける条件なのかなと思います。

実際に、最近売れてるバンドはそうなってきてますよね。売れる要素を楽曲や活動に組み込める能力を持っている。

僕が何となく考えていた伝えたい事が全部書かれてた。いや、それ以上の本でした。文章も平易に書かれてて理解しやすいと思います。