IK multimedia「iLoud Precision 5」レビューをしようとしたら予想外だった…

レビュー

IK multimedia「iLoud Precision 5」を購入しました。

アクティブのフルサイズ・スタジオ・モニタースピーカーです。

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IK Multimedia(アイケーマルチメディア)
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こんな人におすすめかも

・スタジオグレードのモニタースピーカーがほしい
・キャリブレーション機能がほしい
・iLoud MTMからレベルアップしたい
・Precisionシリーズを検討しているが、大きな出力が必要でない環境

なぜ購入したのか

ほぼ興味です。

僕の仕事内容で運用するならiLoud MTM(無印)で十分。

スピーカーの補正機能もあるし、周波数のレンジも下が40Hzまで出て広い。解像感も問題ない。

しかしこのiLoud MTMは未完成だと感じる部分も多い。

まずキャリブレーションの測定がざっくり。一箇所、一回測定して終わり。

同じIKのキャリブレーションソフト、ARCのときはあんなにたくさん測るのに。

◆ARCのとき

足もインシュレーターとしての機能があまり働いておらず、
追加でのインシュレーターが置きにくい形になっています。

これはAURALEXのMoPADに自作の板を挟んで解決させました。

そういった部分などが完成されてないと感じています。

一方、 iLoud Precisionのほうは明らかに無印MTMの上位互換の雰囲気を漂わせています。

名前がPrecision。直訳で精密という意味。

無印のiLoud MTMより精密なバージョンという意味に感じます。

実際、サウンドに関しても無印MTMはやや大雑把な部分を感じます。

以前FOSTEX NF-01Aというスピーカーを使っていたんですが、MTMよりNF-01Aのほうが中域の繊細さがありました。

そういう点でもPrecision 5のほうが精密そうだなと。

逆に無印MTMは精密すぎないから細かい部分に気を取られないで作曲を進められるという利点があるのかなとは思います。

今回試してみて、あまりにもPrecisionのサウンドが繊細だなと思ったら併用していくかもしれません。

キャリブレーションもPrecisionにはX-monitorというソフトが付属していて、PCでペアで調整できます。測定は4箇所。どう考えても無印MTMよりもこっちのほうが精度が高い。

今後無印MTMもX-monitorが使えるようになる可能性はありますが。

インシュレーターも、加工が施されたゴム素材のようなものが付属しています。

別のものに交換することも簡単です。

金額はiLoud MTM 1本が実勢価格 61,600円(税込)
Precision 5は1本が実勢価格 143,550円(税込)

2.5倍近い価格。

iLoudという同じ名前を冠した製品で、金額が2.5倍なのに性能が劣るのはありえないのではないかなとも思います。

Precisionは周波数のレンジもより広く、36 Hzまで(フラットに出るのは45Hzまで)の低音が出るので現在追加で使用しているサブウーファーがいらなくなるのではと思いました。

ただ、僕の環境だとPrecisionは出力が大きいかもしれない。iLoud MTMが100W RMSで、これでも十分なので。

iLoud Precision は3種類のラインナップがあり、

135W RMS 5インチウーファーのPrecision 5
150W 6.5インチのPrecision 6
175W 5インチウーファー2つ 仮想同軸のPrecision MTM

大出力のものを買っても、ある程度音量を出して鳴らさないとスピーカーのポテンシャルが出ない可能性があります。

というわけで出力が一番小さい135W RMSのPrecision 5にしました。

部屋にもなじむサイズです。おそらく見た目も判断としては大事で、小さい部屋に不釣り合いな大きなスピーカーを置くのはサウンドのバランスも悪いのではないかなと思います。

視聴した人はPrecision MTMが頭一つ抜けているという感想でしたね。

なので、置ける人はPrecision MTMのほうを選ぶようです。

僕は5しか選択肢がないと思ったので5を選びました。

僕と同じような環境の方も多いと思うので、その点をしっかりレビューしていきたいと思います 。

明らかに上位機種を思わせるサウンド

設置してキャリブレーションをしていきます。

設置場所はセオリー通り、スピーカーと体を正三角形に結ぶ形。一辺が約100cm。

ツイーターは耳の高さに。

キャリブレーションなしで聴いてみました。

あきらかに無印MTMとは別次元のサウンドです。

基本、サウンド関連の機材って上位のものを聴いたときには変化を感じにくいものなんですよね。元に戻したときにわかるくらい。

ですが、Precisionは聴いた瞬間に全く別物で上位のサウンドだなと感じました。

まずレンジ感。スペック上の低域は無印MTMは40Hz、Precisionは36Hzまで。そこまで差がないんじゃないかなと思いきやぜんぜん違う。

Precisionのほうはかなり下の方まで出ているように感じる。

また、Precisionのほうがステージが広くなったような感じ。

奥行き感、左右の広がり、ボーカルや他の楽器の距離の幅、分離感が広がったり。コントロールできる範囲が広くなり、より精密にサウンドをいじることができそうだと感じました。

今まで狭いところで作業していたな、という感じ。

無印MTMでボヤけていた中域に関しても密度があり、精密に聴こえます。

そして、精密でありながらも神経質ではない気持ちのよい音。

キャリブレーションしていないのにフラットな周波数の印象。

かつ無印MTMの延長上にあるようなサウンドなので、無印MTMを使っている人はすんなり移行できると思います。

エージングもキャリブレーションもまだなのに、ここまで違うのかとびっくりしました。

キャリブレーションでより精密に

さらにキャリブレーションをしていきます。

ソフトX-MonitorをIK Managerからダウンロード、インストール。

X-Monitorを立ち上げたら左右のスピーカーをそれぞれアサイン。

そのうちサラウンド版も出そうな予感の操作感です。

左右スピーカーごとに4箇所ずつ測定していきます。

測定結果がこちら。

普段からARCで測っている波形とあまり変わらないですね。定在波はより強く出ている感じがします。

低音が下まで伸びているのも今までとの違い。

キャリブレーションをONにするとこんな感じ。

上から下までほとんどフラットになりました。左スピーカーの高域がロールオフしているのが気になるけど。

謎技術で100Hz付近も埋まっている。ここは波形がキャンセルされているので処理が難しそうなんですが。

ARCと同じ技術のはずなんですが、見かけ上はARCより強く補正されている感じがします。

キャリブレーション後のサウンドは全体の印象としては変わらず、とにかく低域がスッキリしました。

ただ低域が出ているんじゃなくて、きちんとコントロールされている感じ。

トランジェントやサステインもきっちりと聴こえてきます。

今年買ったベーストラップもいい感じに作用している気がします。

キャリブレーションも強化されているはずなんですが、スピーカーそのものの印象が強すぎてキャリブレーションがおまけに感じます。

おわりに

予想以上に大満足しました。

特に現在無印MTMを使用している方にはとてもおすすめの製品だなと思います。

そのまま上位互換なので、不足がない。

無印MTMも作曲用としてはすばらしいスピーカーではあるんですが。

Precision 5でもだいぶビックリしたんですが、みんながさらに音が良いと言っているPrecision MTMはどんな感じなのか聴いてみたくなってきました。

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動画

動画ではiLoudシリーズ3機種の比較もしています