クリアで素直なサウンド。BELDENの新作オーディオケーブル『8412P』を比較試聴してみた!

楽器・ハードウエア

2芯のマイクケーブル、BELDEN(ベルデン)『8412P』がサウンドハウスで購入できるようになったようです。

弟が150mのリールで買ったようなので、おすそわけしてもらいました。

この8412Pは、天井から吊り下げるマイクのためのケーブル。「プレナム規格」に準じていて、剛性が高く、燃えにくい。

4種類

モノラルフォンプラグのつなぎ方を変えたもの3種類とマイク用の4つをもらいました。

コネクタはNEUTRIK(ノイトリック)『NP2X』

1.導線1本をホット(+)に。シールドをコールド(-)に繋いだもの。

2.導線を2本束ねてホット(+)に。シールドをコールド(-)に繋いだもの。

3.「シールド」と書いてあるほうだけシールドにつなぎ、ホット(+)とコールド(-)をそれぞれ導線でつないだもの。

ちなみに、僕がシールドケーブルを作る場合は、上記いずれとも違い、導線1本をホット(+)に、シールドをもう1本の導線と束ねてコールド(-)につけています。

4.マイク用。XLRキャノンコネクター

XLRキャノンコネクター、NEUTRIK『NC3MXX-B』『NC3FXX-B』をつけたマイクケーブル。

細くて固い

用途や規格のため、固いケーブルとなっています。
同じBELDENの88760を思わせる固さと細さ。それよりもすこし太い気はする。

おそらく、用途的に曲げ強度もそんなにない。外で楽器に繋いで演奏する、というのには不向きです。

せっかくなので聴き比べ!

家にあるいくつかのケーブルと聴き比べました。まずはそれぞれのケーブルをざっくり紹介。

BELDEN『8412』

・ケーブル BELDEN(ベルデン)『8412』
・コネクタ NEUTRIK(ノイトリック)『NP2X』

BELDENの超定番ケーブル。2芯、楽器用。
中・低音域に特徴があり、独特の音の太さがあります。

柔らかく、取り回しはいいですが、素材や構造のせいで自作がめんどくさい。

価格 ¥450/m

■BELDEN ( ベルデン ) / 8412 | サウンドハウス

コネクタはオヤイデやスイッチクラフト(SWITCHCRAFT)のほうが好みなんですが、今回送ってもらった8412Pに合わせてノイトリックのほうで聴き比べます。

価格 ¥340

■NEUTRIK ( ノイトリック ) / NP2X | サウンドハウス

OYAIDE『ACROSS 750』

・ケーブル OYAIDE(オヤイデ)『ACROSS 750』
・コネクタ OYAIDE(オヤイデ)『P-285M』

1芯のシールドケーブル。

精密導体”102SSC”を使用。3種類の異なる太さの素線を撚り合わせている。
絶縁材には誘電率が極めて低い高分子ポリオレフィンを使用。

元々スピーカー用に作ったものなので、長さが1mくらいしかありません。

現行はACROSS750 V2。価格¥1,750/m

■OYAIDE ( オヤイデ ) / ACROSS750 V2 | サウンドハウス

コネクタはオヤイデ『P-285M』。
真鍮製。無駄な接点を排除するため、スリーブ部と本体が1本の棒から削り出してある。

価格 ¥800

■OYAIDE ( オヤイデ ) / P-285M | サウンドハウス

MONSTER『SP1000-I-12』

楽器用ケーブル。このエントリの中で唯一自作ではないもの。
MONSTERブランドでは最高ランクのケーブル。

ギター、ベース共にこれを使っています。いい感じに色がつく音色。あと、とにかくケーブルが太い。コネクタは24kゴールドメッキ 。

現行は SP2000-I-21

価格 ¥2000/m (※単純にメートルで割っただけ)

■MONSTER ( モンスター ) / SP2000-I-12 | サウンドハウス

MOGAMI『2549』

・ケーブル MOGAMI(モガミ)『ACROSS 750』
・コネクタ ノイトリック『NC3MXX』『NC3FXX』

2芯マイクケーブル。

マイクケーブルとして業界定番のケーブル。癖の無い音が特徴。とにかく安い。

価格 ¥145/m

■MOGAMI ( モガミ ) / 2549 | サウンドハウス

コネクタも業界定番、ノイトリックの『NC3MXX』『NC3FXX』

価格 各¥320

■NEUTRIK ( ノイトリック ) / NC3MXX(オス) | サウンドハウス

■NEUTRIK ( ノイトリック ) / NC3FXX (メス) | サウンドハウス

OYAIDE『PA02』

・ケーブル OYAIDE(オヤイデ)『ACROSS 750』
・プラグ ノイトリック『NC3MXX-B』『NC3FXX-B』

2芯マイクケーブル。

ACROSS 750と同じく、精密導体”102SSC”を使用。3種類の異なる太さの素線を撚り合わせている。
スピーカーのケーブルもこれを使っています。

現行はPA02 V2。価格 ¥1,180/m

■OYAIDE ( オヤイデ ) / PA-02 V2 | サウンドハウス

コネクタはノイトリックの金メッキ仕様『NC3MXX-B』『NC3FXX-B』。

価格 ¥320

■NNEUTRIK ( ノイトリック ) / NC3MXX-B(オス) | サウンドハウス

■NEUTRIK ( ノイトリック ) / NC3FXX-B(メス) | サウンドハウス

これらをそれぞれギター、ベース、マイクで試しました。

プリアンプ、インターフェイスはRME『Fireface UC』。加工は、エフェクトはほぼなしです。

ギター

使用ギターはLine 6『Variax Standard』。モデリングギターですが、サウンドの変化をわかりやすくするため、電源を入れずに、パッシブピックアップを使いました。

前半はアンプもなしの完全クリーン。後半はそれにアンプシミュIK Multimedia「Amplitube」の「Fender ’65 TWIN REVERB」と「Diode Overdrive」を通して歪ませたもの。

BELDEN『8412 P』導線1本

透明感のある、素直でシャープな音。クリーンのカッティングで使いたくなるような音色です。

BELDEN『8412 P』導線2本

ベースよりも差異を感じないが、1よりもこちらのほうがいい気がする。

BELDEN『8412 P』片方シールド

1との違いがわからなかった。シールドを外しているけど、ノイズレベルは1、2と全く同じ。

BELDEN『8412』

コワっとした音色で力強い。マーシャルと相性のよさそうな、王道ロックな感じ。
ハムノイズが乗ってしまうので、Waves NS1で少し消しました。

OYAIDE『ACROSS 750』

素直な音。歪ませたときに味気ない印象。そこはやはりモニター用、という感じ。これもハムノイズが乗ってしまったので、Waves NS1で少し消しました。

MONSTER『SP1000-I-12』

音色に複雑みがある。マイルドだがレンジが広い。すこしビンテージ感を付加されるような印象。

ベース

ベースFUJIGEN『NCJB-20R AL 3TS 』
スタンダードなジャズべ。こちらもパッシブのピックアップ。

BELDEN『8412 P』導線1本

アタック感が強く、クリーンな音。
超低域の成分が多く、すこしドンシャリめに聞こえる

BELDEN『8412 P』導線2本

わずかだが、1本のほうに比べて、膜が一枚とれたような感じがする。弾いててもこっちのほうが気持ちいい。

BELDEN『8412 P』片方シールド

こちらも1との違いがわからなかった。

BELDEN『8412』

Pのほうに比べ、少し中低域があるのと、高域が少ない感じ。

OYAIDE『ACROSS 750』

透明感があり、弦のタッチが見えるような、解像度の高い音がする。特に高域がきれい。すばらしい。

MONSTER『SP1000-I-12』

アタック感や超低域が若干少なく感じるが、まとまりのある音。

マイク

マイクはMXL『V67G-HE』

前半はナレーション、後半はスキャットを重ねて録音したもの。

BELDEN『8412 P』

高域が出ていて、ガザガザしている。そこが耳につく。ケーブル単体というよりも、マイクとの相性が原因のように感じます。

MOGAMI『2549』

8412Pに比べて優しい印象。勢いや前に出てくる感じは少ないけれど、柔らかく、自分の環境だと聴きやすくて好き。

OYAIDE『PA02 』

素直で曇りのないサウンド。高域もいい感じです。

おわりに

8412Pはクリアで素直、粒立ちがよいサウンドで、ロックな8412とはけっこう違う、というのがおもしろい。

普通に使いたい場面があるシールドケーブルでした。モニター用でも悪くなさそう。

国内だと2018年現在はサウンドハウスにて、リール単位でしか取り扱っていないので、みんなでたくさん買うことにより、将来1m単位で買えるようにするのが弟の夢らしい。

■BELDEN ( ベルデン ) / 8412P 150m | サウンドハウス

あと、Y字とか、特殊なケーブルも作ってくれるようなので、欲しい人は弟、興梠孝也(@kohroki_san )まで、Twitterでリプしてくれたら対応するようです。

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