アニメ「ご注文はうさぎですか?」の劇伴を考察する

アナライズ
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萌え豚を大量に生み出した危険アニメ「ご注文はうさぎですか?」(通称 ごちうさ)

のサウンドトラックを買ってしまいました。

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劇伴を担当している川田瑠夏さんの音楽がめちゃくちゃいいんですよ。これを聴いて勉強させてもらおう。

しかし劇伴というものはですね、音を聴くだけじゃなくて、映像にどういうふうに曲をつけているのか理解しないといけないのです。

というわけで、今回はニコニコで公開されているごちうさ第1羽を見ながら考察していこう、という回です。

早速いってみましょう。

00:00 ~

[Disc 1]Tr.01 『君のスカート丈に首ったけ』

CDでは1曲目で最長の曲。メインテーマ的な位置づけの、最も世界観を表現している曲でしょう。

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穏やかな始まりから盛り上がっていく長いイントロで、気持ちも盛り上がります。

川の流れのようなハープ、鳥や小動物を思わせる細かい動きの木管、植物のような穏やかな弦。ヨーロッパ風味の楽器、楽曲。

そうやって情景を表現してあり、背景と合わせてこの世界を作っています。

橋本裕之監督のコメント

”導入部分の心が持ち上がる様なメロディ”

これは公式心ぴょんぴょんですわ

イントロが終わると、ココア登場に合わせてアコーディオンがメインの3拍子。歩く速度のようなテンポで。

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これは景色と、歩くという動作についてますね。ディズニーシー内を歩いてる時こんな音楽ですよね。

1:00~ ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」を思わせるような優雅さがあるキメ。

場面終わりによく使われているキメです。キメの直前と後に一旦音を切ってあって、ここだけ切り取って使いやすくしてありますね。

ラビットハウス登場のところで少しだけチェンバロ。

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1:31辺りで繋いでありますが、ここはSE、セリフと被ってるので繋いでる場所がわからないようになってます。

1:45のチノ初登場前後で休符の場所を伸ばして、この場面を印象的にみせてますね。

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チノ登場後は同じ曲の違う展開が続きます。

1:59あたりでつないでいて、ここは若干展開に違和感があるんですけど、セリフや映像を見てると全然気づかないですね。セリフとカブり気味だし。

それで調整されて、サブタイトルのところでうまくキメが来るようになってます。

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おそらく、オーダーとしては、

「冒頭3:00くらいの世界観を表現した映像につける1曲」という感じだと思います。

背景、ココア、チノ登場、サブタイトルなど、大体の構成は決まってたのかな。

で、3:19と長めに作って、編集でカットして尺を合わせていると。短めに作って伸ばすとくり返しになっちゃって物語が動いている感じにならないから長めに作るんですよね。

3:44~

[Disc 1]Tr.02 『Un cafe, s’il vous plait』

フランス語で「コーヒー、お願い」で合ってるのかな?

アコーディオンソロのイントロが印象的な曲。雰囲気は1曲目の『君のスカート丈に首ったけ』に似てます。

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場面切り替えの時に流れるから、ごちうさ見てたら絶対覚えてる曲だと思う。

タイトルから察するにラビットハウスの場所に付いている音楽ですね。

「ラビットハウス」「日常」のイメージかな。

アコーディオンをメインに2/4拍子で、ピチカートと少しだけスネアが入るシンプルな編成。ゆったりと、やわらかな音色です。

4:12~あたりのキメも使い勝手がよさそうです。

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4:14~ は楽器が増えて、弦、木管、鉄琴、スネアなど。

同じ場面だけども、ちょっと盛り上がってる感じ。

5:25まで音楽がついてますね。長いですけど、同じ雰囲気で少しずつ変化させてあります。

5:28 ~

[Disc 1]Tr.04 『しかたないなぁ~』

ティッピーのモフモフカットから、ココアが映ったときにこの曲が始まります。

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リコーダーっぽい音がメイン。ウクレレっぽい音も入ってますね。

ちょっと情けない感じ。

「困惑」のイメージかな。チノやティッピーの感情についてる曲でしょうかね。

5:28 ~

[Disc 1]Tr.04 『ぽかぽかうさぎ日和』

ココアが横を向いて、「でも」といった後から始まるテンポのよい曲。

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ピアノ、鉄琴、木琴、弦で刻むように始まります。

メインは笛と木琴のユニゾン、あとはピアノのバッキングやパーカッション。

感情の幅があるシーンなんですけど、ココアの天真爛漫さを表しているのかなあと。

7:32 ~

[Disc 1]Tr.13 『おねえちゃん?』

このカットから。

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木琴やビブラフォン中心の曲。タイトルに?がある通り、「困惑」イメージっぽい。

ここは音楽はじまりで、見る人に「ここは変な雰囲気のシーンやでー」ってわかりやすく伝えてますね。

「おじいちゃんは去年…」「私を姉だと思ってなんでも言って!」の流れなので、きれいな音楽だと感動的になっちゃうという。

8:10 ~

[Disc 2]Tr.8 『誰かいる!?』

クローゼットの中に気配を感じ、開けるまでの曲。

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ピアノ4つ打ちから始まるシンプルで暗めの曲調。

この場面は音楽で不安な雰囲気を煽ってますね。

8:32 ~

[Disc 2]Tr.7 『緊迫!!』

「下着姿の泥棒さん?」のセリフを受けてからはじまる曲。

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銃をつきつけられて、これは完全に緊迫してますね。

この時、お互い何者かわからないですからね。お互いの感情とも緊張している状態。

8:47で最後のキメにつなげてます。長めにキメを作ってある曲なので、こういう場面で編集しやすそう。

9:22 ~

[Disc 1]Tr.19 『キリマンジャロだね』

着替えシーン。

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上着を着る時のスゥ~っていうSEを聴かせてから音楽をスタートさせてます。これが匠の技…

木琴、ビブラフォンで始まり、木管のメロディが中心の軽快な曲。

ちょっと気の抜けた日常で使う感じでしょうか。

これでさっきの緊迫が緩和されてますね。

10:26 ~

[Disc 1] Tr.19 『普通の女の子』

コーヒー豆の袋を持ち上げた所から音楽が始まります。

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このコーヒー豆の袋を中心に話が進むので、ここからなんでしょう。

すこしラテンっぽい雰囲気が入った、ちょっとコミカルで軽快な曲。
クラリネットがメイン。音程のあるウッドブロックみたいな楽器が伴奏ですね。

11:11まで続きますね。リゼが普通の女の子アピールをするところから、ココアの意外な特技が発覚するというところまで。

場所が変わっているのに話が続いている場面を1つにつないでいるような使い方。

12:16~ 

[Disc 1]Tr.18 『パンのいい香り』

ココアの「いらっしゃいませ~」から画面が変わった時にはじまる曲。

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この前髪が跳ね上がったカットめっちゃよくないですか!

ダダダ!ダダダ!の元気なキメから始まります。

これはココアの元気さについている曲ですね。

12:46~ 

[Disc 2]Tr.17 『もふもふ天国』

弦で始まる優雅な曲。

建物のカットで場面が切り替わったところから音楽も始まります。

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ほのぼのとした日常の場面についている曲ですね。

こういう、同じような場面で毎回曲が違うので、日常のバリエーションが多いです。

12:46~ 

[Disc 2]Tr.17 『私にまかせて!』

曲の始まりを動きに合わせてます。

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ココアのテンションの高さに合わせたテンションの高い曲。

15:11のリゼのラテアート完成まで。結構長いですね。

15:21~ 

[Disc 2]Tr.7 『やってみよう』

ココアがラテアートに挑戦するときの曲。コーヒーのカットから。

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おそるおそる何かに挑戦するときの曲ですね。

しかし、気の抜けたような雰囲気で、成功する気配を感じない曲です。

前半はシンプルに、後半はちょっと盛り上がったままテンションを維持する感じ。

16:23 ~

[Disc 1]Tr.23 『夕日の丘』

廊下のカットから始まる、ギターのゆったりとした曲

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夕方といった状況や、仕事終わりの落ち着いた雰囲気。

そして18:00から、ココアがテンション高いのに音楽がなくなります。

この無音はチノの心情ですね。音楽をつけないことでココアがから回ってる、チノが感じている虚しさがよく出てます。

18:53~ 

[Disc 1]Tr.16 『夕日の丘』

ココアとチノが一緒にお風呂に入る場面から。

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しっとりと、せつなく、すこしあたたかな曲。

ここでやっと音楽が入ってほっとするというか、ぐっとくるので、この前の無音がすごく利いているなあと。

このあとの場面もあまり音楽がつかないんですけど、それはこの第一羽全体と、一日のクールダウンに入ってる感じですね。

20:11~ 

[Disc 2]Tr.16 『おじ様は脚が長い』

バーの場面で流れる曲。

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これはここで実際に流れている設定のようで、ルームのリバーブがかかっています。

これは予告で使われてる曲なんですけど、曲の0:24あたりから使って、違う曲のように聴かせてます。

予告と同じ使い方しちゃうと予告っぽくなっちゃいますからね。

21:08~ 

[Disc 1]Tr.14 『ずっと一緒に』

リゼが携帯を閉じる所から。

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ギターのソロから、段々と音が加わって盛り上がる構成。

希望を感じる、最後の締めになる曲ですね。

原曲は、ギターソロ→ギター+ストリングス→展開、ピアノ→展開、ピアノ+ストリングス→最初のメロで盛り上がって終わる
ですが、ここでは最初と最後をつなげて「ギターソロ→最初のメロで盛り上がって終わる」というふうに短くしてありますね。

最後の終わらせ方も長くしてあって、編集しやすくなってるなあという印象。

23:27~ 

[Disc 2]Tr.16 『おじ様は脚が長い』

予告。

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ここでやっとこの曲がきちんと流れます。

音楽でみてみると、第一羽は、前半はゆっくり始まり、後半になるにつれ曲のテンポやテンションが上がってきて、そして最後はクールダウン。

一話目っぽく、起承転結がきっちりある流れでした。

第一羽で使われていない曲も結構あるんですが、特に

Tr.11 安らかな風に乗る緑の茶葉 ~甘兎へようこそ☆~

がめっちゃいいです。

甘兎庵、千夜のテーマで、全体的に和風なんですよ。

Amazonのページから全曲試聴できます。

全体的には、メロディがはっきりついている曲が多いですねー。あと、3拍子が多かった。

毎曲楽器の組み合わせを変えてますね。トイピアノ、メロトロン、バンジョー、スナップなど、結構色々楽器が入ってたり。

あと、大体の曲のタイトルは、はじめにその曲を使うシーンをイメージしたものになってますね。あとは、印象的なセリフとか。

劇伴分析のポイント

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劇伴の仕事から学んだ、サントラのチェックするポイントを書いていきたいと思います。

作るまでの状況を逆算して考える

どういう資料を見て、どういうオーダーで作ってるのかな、とか。

そこから、曲調、楽器の選び方や世界観も見えてくる。

あと予算とか…

どういうイントロ、アウトロがついているか

ごちうさは場面転換の時にイントロがよく聴こえるので、イントロ重要ですね。

アウトロ、終わりかたは、ダダンダダン!みたいなキメを長めに作ったり、楽器のソロだったり。伸ばす音を長めにしておいたり。

始まり方のバリエーション

メロディ先行で始まったり、パーカッションで始まったり。曲ごとに違う楽器、違うリズムで始まったり。

どこで編集されているか、編集するポイントはどこなのか(どこで音を切れるようにしてあるか)

バラバラに切って繋げられる構成だったり、休符の作り方だったり。

どこで切ってあるかはサントラを買わないとわからないはず。

本編を見て使い方を聴く

どこから音楽が始まっているか

どのシーンで使われているのか、誰の気持ちに付いているのか、それとも景色に付いてるのか、どの絵から音がはじまっているのか、どのセリフの後なのか。その場面の意味を考える。

これ、おそらくは音響監督が考えるところなんですけど、どう使われるのか理解しておくというのは大事だと思う。

おしまい

劇伴の勉強にもなるなんてやっぱりごちうさは神作品ですわ…

ちなみに、僕はシャロ派です。

コメントわらうからほんとやめてほしいですね。

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ご注文はうさぎですか? [第1話無料] – ニコニコチャンネル:アニメ