今回はNative Instruments「Komplete 9 Ultimate」から「Komplete 10 Ultimate」にアップデートした時の差分のプラグイン、インストゥルメンタルのレビューです。
まずは★5つでざっくり評価してみました。
・CUBA ★★★★★
・DRUMLAB ★☆☆☆☆
・KINETIC METAL ★★★★☆
・ACTION STRIKES ★★★★★
・RISE & HIT ★★★★★
・THE DEFINITIVE PIANO COLLECTION ★★★★★
・Session Horns PRO ★★★☆☆
・POLYPLEX ★★★☆☆
・ROUNDS ★☆☆☆☆
・KONTOUR ★★☆☆☆
・SUPERCHARGER GT ★★★★★
・MODULAR ★★☆☆☆
今までのNI音源より軒並み評価が高めです。だんだん新しい音源の質が上がってきてるのを感じてます。
詳細は以下。画像は各ソフトのページにリンクしてあります。
CUBA ★★★★★
コストパフォーマンスのいいキューバ音楽系音源。Kontakt用。
その名の通り、キューバ音楽で使われる楽器の音源。アフリカ・パーカッションの「WEST AFRIKA」と同じシリーズですね。
収録楽器はエレクトリック・ベース、アコースティックベース、グランドピアノ、アップライトピアノ、トレス・ギター、トランペット、クラーベ、カホン、コンガ、ボンゴ、カウベル、ギロ、シェケレ、ウッドブロック、ティンバレス、マラカス、チャチャベル、マンボ・ベル、クラーベ・ブロック。
打楽器だけでなく、メロディ楽器も収録されてます。
「トレス・ギター」はあまり馴染みがないと思いますが、キューバの民族楽器で、復弦がある3弦のギターです。珍しいカホンのアンサンブルも。
質感はオケに馴染みが良く、使いやすい音です。ピアノやギター、ベースなどの音程楽器はおまけ感がありますが、パーカッションはメインで活躍できると思います。奏法も多く収録されています。
単独でも、ループでも使えます。DAWに書き出せるMIDIパターンがついていて、これをたたき台にすれば早く制作できそう。
単体で12,800円なので、これだけを買うのもおすすめです。
DRUMLAB ★☆☆☆☆
ドラムをレイヤーできるKontakt用音源。使用する場面は限られそう。
レイヤー機能があるドラム音源。
ドラムサンプラー「BATTRY」との違いは、レイヤーができることくらいでしょうか。自分でサンプルを突っ込むことはできないみたいです。
キックとスネアを作りこみたい人にはいいかも。あまり活躍しなさそうな気はします。
KINETIC METAL ★★★★☆
色々な金属音とエフェクトのレイヤーを楽しむ音源。ほとんど音程が付いている。Kontakt用。
左側の「Forge」が音のレイヤー。右側の「FX」がエフェクトのレイヤーです。この歯車をグルグル回すと音の混ざり具合が変化します。
サウンドの開始点やMotion、Linkのありなしでバリエーションがつけられます。
金属音といっても音程をもったプリセットがほとんどです。
オルゴールっぽく鳴らしたり、歯車が回る「Motion」をオンにして、サウンドが徐々に変化するパッドのような使い方が多くなると思います。
音の質感が面白く、新鮮なのですが、使い所が難しい。
ACTION STRIKES ★★★★★
壮大なサウンドのスネア、キック、タム、その他パーカッションのループ、単発音源。Kontakt用。
スネア、キック、タム、太鼓など、ほとんど皮モノ。音は遠めで、スケール感があります。
遠くて柔らかいので、固めのDamageの音を混ぜると立体的になっていい感じです。
両方混ぜて作ってみました。ACTION STRIKESのスネアと、Damageのキック、金物です。
こういったガバガバなスナッピーのスネアがDamageにはなかったので嬉しいです。
しばらく使いこんでみて、かなり重宝しています。
RISE & HIT ★★★★★
映画の予告のような、ライズとヒットの音源。質もよく種類も多い。Kontakt用。
ライズ(盛り上がってくる音)の音とヒットの音源です。
アコースティックな音から電子的な音まで、容量は8GB。
RISE音、HIT音、各4レイヤーずつ重ねて音を作ってます。プリセットではセットになっていますが、ヒット音のみ鳴らす、ということもできます。
ライズ音の速さも変えられます。シネマだけでなく、EDMのフィルにも使えそうですね。
使わない人は全然使わないと思いますが、これさえあれば同系統の音源は必要なさそうです。
THE DEFINITIVE PIANO COLLECTION ★★★★☆
スタンダードなピアノ音源群。今までのNIのピアノより雰囲気があり、音も柔らかい。
手持ちの「Ivory」と比べると、音色が硬く感じ、繊細さに欠け、オケに入れた時もハマりが悪いな、という感じ。しかし、基本的にはかなりよいです。
動作も軽くて安定しているので、トラックが多い曲は落ちやすいIvoryのかわりにこれを使うことがほとんどになりました。
また、TONEつまみの効きはなかなかよい感じです。全開にした時、弦の響きが気持ちよく出てきます。
THE GRANDEUR ★★★★★
コンサートグランドピアノ。
サンプリング元はSteinwayだと思います。素直で美しい音色。単体ではコスパ最強だと思う。
THE GENTLEMAN ★★★☆☆
1908年製のビンテージ・アップライトピアノ。
固めの音色で元気なサウンドに合いそう。
THE MAVERICK ★★★☆☆
1905年製のビンテージ・グランドピアノ。
アンビエンスが多めで、雰囲気があります。少し荒れた感じの高域が気持ちいいです。ツマミをHARDのほうにして使いたい。
Session Horns PRO ★★★☆☆
全体で鳴らした時の質感はチープだけどソロのニュアンスはよい。Kontakt用音源。
サウンドは丁寧にまとまっている反面、元気な曲で暴れたニュアンスが出ません。全体で鳴らした時の打ち込み臭さも強いです。
ソロ音色はなかなか使えそうですね。あとは奏法がそこそこ多い。ミディアムテンポで、編成が少ない曲で使うと良さそうです。
ピッチベンドでFallに切り替わるのはわかりやすくてよいですね。知らなくてめっちゃ探しましたけど。
単体で買うのなら別のものを買ったほうが良さそうです。音の割には安いとは思いますが。
POLYPLEX ★★★☆☆
レイヤーサウンドのドラムキット。ランダム機能が嬉しい。REAKTOR用。
色々なパラメーターをランダムで決めてくれる機能がかなりよいです。
面白い音を見つけたい時に使えそう。質感はエレクトロニカによさそうな感じ。
ROUNDS ★☆☆☆☆
アナログ、デジタル8つづつのオシレーターを混ぜたり、ランダムに鳴らしたりができるREAKTOR用シンセ。
最大限の労力を使い地味なサウンドメイクをすることができる。
操作できるパラメーターが多い割には、音色のわかりやすさ、面白みに欠けます。
アルペジエーターで16のオシレーターがランダムに切り替わるのはまあまあ独自性がありますね。でもそれぞれが音色の幅をもってないので地味です。
音はレンジが広く硬くて現代的。悪くはないんですが。負荷は大きい。
KONTOUR ★★☆☆☆
わりと普通のREAKTOR用シンセ。マクロ・コントロールで音作りが簡単。
KONTOURは、サウンド・デザイナーへ、サウンドの王国への鍵を提供します。 エンジンの心臓部は、強力なフェイズ・モジュレーション機能を持つ2つのサイン・オシレータ、詳細なウェーブ・シェイピング・オプション、そしてリング・モデュレーションから構成されています。 正確でチューニング可能なコム・フィルター、柔軟性に優れたステート・バリアブル・フィルター、そして精密なフィードバック・ルーティングは、レゾナンス・ストラクチャを形成し、複雑なハーモニック・テクスチャを提供します。
お、おう。なんだか機能が多いみたいですが、プリセットやデモを聴く限り、これにしか出せない音、というのはなさそう。
4つのマクロ・コントロールというのがなかなかよいです。
いくつかのパラメーターを1つのノブでコントロールできるようにしてあって、プリセットを選んで、とりあえずこの4つをいじっていけばわかりやすく音の印象を変えられる。
重いのが欠点ですね。僕の環境だとCPUの半分くらいもっていくので、ほぼ選択肢にはいりません。
SUPERCHARGER GT ★★★★★
ファットな音の現代的な多機能真空管コンプ。しかも軽い。
「SUPERCHARGER」のパワーアップ版「SUPERCHARGER GT」。無償配布の時に手に入れてなかった方は今回両方とも追加になりますね。
アタックやリリースなど、基本的なものから、原音とコンプレッション・サウンドを混ぜられる機能や、サイドとセンターでそれぞれかけられる「MSモード」も。現代的な機能はひと通り揃ってます。
SaturationとCharacterなど、独自のものも。
音は柔らかいかかり方ですね。ファットといったほうがいいのかな。リズムをビシッと出すというよりも、音像がでかい、ビッグなサウンドにする方向で使うとよさそう。
このエフェクトを掛けるときは、「Input Trim」で入力ゲインが緑になる所まで回して、それからリダクションの量を決めていくんですが、これがやりやすい。
この方式だとインプットの音量が一定なので、プリセットを選んだ時にそのプリセットの意図されているリダクション量になるんですよね。すばらしいです。
あと、動作が軽めなのも嬉しい。
逆にパラメーターが多すぎる、と思う人は結構いそうですが。そういう方はノーマル版のSUPERCHARGERがおすすめ。
前にもブログを書きましたが、パラメータがシンプルでわかりやすい。LA-2Aのような感覚で使えるエフェクトです。
MODULAR ★★☆☆☆
35種類のエフェクトを色々な方法で組み合わせる事ができる。
MASCHINEなど、専用のツマミがあると面白そう。
単体で使ってみようかなと思ったんですが、ちょっと重いです。うちの環境で7%くらいはCPUを占拠します。気軽には使えない感じ。
僕はエフェクトをそんなに使わないので、ピンと来ませんでした。そういえば今までNIには空間系エフェクトがなかったですね。
おわりに
NIの音源ってコストパフォーマンスはよいけど、1つづつ見ると最高の音源ではないよな。とは思います。
2、3つほど「絶対使いまくるな」っていうものがある方はKomplete 10 Ultimate にしてもよさそう。
逆に、ざっくり「色々あると便利かなー」っていうくらいだったら一つづつ専用の音源を買ったほうがよいと思います。
最新版はKomplete 12 Ultimate。
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