今回はStudio One 3 にて新しく追加されたプラグイン・エフェクトとインストゥルメントのレビュー。3で新しく搭載されたMIDIエフェクトもレビューしたいと思います。
まずはざっくりと。僕の評価を星5つで表してみました。
ざっくり
■Bitcrusher ★★★★★
機能も豊富で音楽的なビットクラッシャー。
■Rotor ★★★☆☆
アナログ感あるレスリーシミュレーター。
■Mai Tai ★★★☆☆
スタンダード+の機能で使いやすいシンセ。
■Presence XT ★★☆☆☆
恐ろしく動作が軽いサンプラー。音も軽い。
ProfessionalでKontaktライブラリも読み込みが可能だが、バージョン4以下のものだけ。
■Note FX ★★★★☆
4種類のMIDIエフェクト。
実用的。特にArpeggiatorがよい。
Bitcrusher ★★★★★
音楽的なビットクラッシャー。Artist、Professionalに付属。
ビットを落とすことでローファイ、レトロな感じを演出するエフェクトです。
要望が多かったために実装したらしいです。原音とのミックス、オーバードライブなど、機能は十分。パラメーターもわかりやすく絞られてます。
かかり具合は音楽的で好きです。ジャリジャリが耳に痛くない。また、ステレオの素材ではしっかりとステレオ感が出ます。
真ん中のグラフィックが変化するのも楽しい。
Rotor ★★★☆☆
アナログ感あるレスリーシミュレーター。Artist、Professionalに付属。
レスリー・キャビネットをシミュレートしたプラグイン。
レスリーといえば、オルガンにかけるアナログなエフェクト。空間系なので、コーラスやオートパン、トレモロと近いです。
基本はギターかオルガンにかけるとよいですが、他の音源にかけてもいいと思います。
入力の時点でモノラルになるので、ステレオ感がある素材だと、逆に広がりがなくなります。モノラルを広げる方向で使ったほうが良さそう。
ドライブ感は落ち着いた感じで、ふっくらとしてきてよい感じです。
実機はこんな見た目(左の箱)
“Hammond b3 con leslie 122” by Salli from it. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
こんな感じでホーンが回転します。
“Leslie speaker unit” by R.Pman – original picture drawn by author. Licensed under Wikimedia Commons.
この無駄に大きい箱がプラグインで再現できるなんてよい時代です。
Mai Tai ★★★☆☆
スタンダード+の機能で使いやすいシンセ。Artist、Professionalに付属。
ポリフォニック・アナログ・モデリング・シンセ。
マイタイ。なんかアジアンな雰囲気の名前ですね。タイ米みたいな。ポリネシア語で「最高」の意味だとか。
音色は良くも悪くもスタンダードなシンセ、っていう印象です。基本はサラっとした出音。
キャラクターやフィルターで質感を作りこんでいく感じですね。フィルターがなんかすごいらしい。
キャラクター(Character)は結構選べます。
階層が深くならず、エディットが1画面で済むところがとてもよいです。
プリセットは今っぽい感じの音があまりないですが、ジャンルによっては気にならないかもしれないです。
操作がわかりやすく機能もひと通り揃ってるので、はじめてシンセを触る人にもよいんじゃないかなと思います。
StudioOne3、新シンセ「Mai Tai」最大の面白機能は「Global」にある「Quality」だな。この機能、完全にギャグでしかないんだけどすげぇ使い勝手良さそう。
— かごめPはマスタリング講座始めました (@kagome_p) May 21, 2015
ってかごめさんが言ってたので試してみました。
右下のこれですね。
分解能の変更やオシレーター、フィルター、キャラクター・セクションの微調整で全体的なパフォーマンスとサウンドに影響を与える[Quality]モード
Qualityを高くするほどCPUを消費します。
80sのくぐもった感じは結構よいですね。他は…音の変化はよくわかりません。
Supremeにすると音が途切れ出しました。かなり負荷がかかるみたいです。
Presence XT ★★☆☆☆
恐ろしく動作が軽いサンプラー。
すべてのバージョンに付属。サードパーティ・サンプル・ライブラリの読み込みはProfessionalのみ。
前から付属していたPresenceのアップグレード版。ライブラリが14GBも追加されたみたい。
まず、かなり軽い。起動がめちゃくちゃ早い上に音色のロードも早い。
音質的にはちょっと軽い、薄いかな、という印象。
そこは前のバージョンと変わらないですね。あまり期待しないほうがよいです。新しい音色も、まあこんなもんかな、という感じ。
ピアノなどは音質的に厳しいんですけど、パーカッションなどはなかなか良いと思うので、サブでちょっとだけ入れる音に使うと、パソコンに負担をかけないので良いと思います。
Mai taiと同じく、フィルターやエンベロープなど、エディットが1画面で済むのがよいです。
気になるサードパーティ製プラグインの読み込みですが、EXS、Giga,、SoundFontと、Kontaktが可能です。Kontaktはバージョン4以下のものだけです。
Note FX ★★☆☆☆
Studio One 3でMIDIエフェクトも追加されました。Professionalのみ搭載です。
これはMIDIデータを直接いじって音源からの出音を変えるものです。
このMIDIエフェクト「Note FX」はArpeggiator、Chorder、Repeater、Input Filterの4種類。
Arpeggiator
コードバッキングもできる高機能アルペジエーター。
コードバッキングもできるアルペジエーター・エフェクト。
アルペジエーターがないシンセでもアルペジオできちゃったりします。
ベロシティとゲート・タイムもいじれます。
Omnisphereについてるアルペジエーターと似ています。
シンセ系のバッキングにめちゃめちゃ使えそうです。
Repeater
ベーシックなディレイ/エコー効果から、複雑なパターンとグリッサンドまで様々な効果を生成できます。
やってみた。どこかで聴いたことのあるパターンですね!
なかなか使いどころが難しいような気がします。
グリッサンドを試してみたかったけどプリセットに入ってなかった…。
ので、頑張って作ってみました。地震速報みたいな気持ち悪い音になってしまった。
シンセベースのグリスダウンのプリセットを作っておくと捗るかも。
Chorder
単音から和音を自動作成するエフェクト。
単なる和音の並行じゃなくて、キーに沿ったコードだけを鳴らしたり、指定した範囲でヴォイシングしてくれたりと、結構頭がよいです。
プリセットの作成もできるみたい。
コードを組み立てるのが苦手な人は役立つかもしれない。
Input Filter
入力フィルターです。キー・レンジやベロシティ・レンジを制限するのに使います。
鍵盤に猫が乗ってくる人によさそうです。
おわりに
最近、速報系レビューは書かないようにしてるんですけど、プラグインは毎回やっているので書いてみました。
ひと通り新しい機能を触ってみたんですが、どれもパラメーターがシンプルで、あれもこれも入れるんじゃなくて、相当考えて絞ったんだなあと感じました。
Studio One 3では、付属プラグインがグラフィックで表されるようになりました。テンション上がる。ちょっと選びにくいけど。
その他、感想を少しだけ。
2から3にはすんなり移行できました。2もそのまま使えます。
ソフトのインストールがめちゃくちゃ早く、付属のインストゥルメントもDAWをいじってるうちにダウンロードされるので、時間がない人に優しいです。
機能が増えても操作が複雑になっていなくてとてもよいなと思いました。
全体的にグラフィックが変わったので慣れないと使いづらいかも。
トラックのセンドにエフェクトをドロップすると、自動でセンドのFXチャンネルが作られるのはうれしい。
ミキサーのストロークがデフォルトで短くなってしまって、固定できないのが不満点です。
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