今回は物理モデリングのバイオリン音源、 Audio Modeling『SWAM Violin』のレビュー。
AU、VST、AAX Nativeで動き、Kontaktなどは不要です。
ざっくり 評価☆☆☆☆
・色々な意味でリアル
・聴けるように鳴らすまでに手間がかかる
・スタッカート、スピッカート、マルカート等が1つのプログラムで演奏できるので、キースイッチの切り替えが少ない
・パラメーターが多い
・特殊奏法ができる
・CPUへの負荷が高い
・容量10MB
・速い曲におすすめ
・オーソライズが若干めんどくさい
かなり細かい表情までつけられてリアルなんですが、その反面、きちんと表情をつけないと棒になってしまい、そのまま鳴らしても聴ける音にならない音源です。
本物のバイオリンを演奏するように打ち込むような感覚です。
デモ
この方が使っているようなコントローラーがあると便利そう。
フレーズが歌うような、遅い曲調だと打ち込みが大変なので、そこまで表情をつける必要がない速い曲のほうが使い勝手がよさそうです。
駆け上がりやスタッカート、スピッカート、細かいフレーズも自在ですし。
毎回微妙に違う音が生成されるので、オスティナートにもいいかもしれません。
こういう細かくてフニャフニャした弾き方も得意ですね。
パラメーターが多い
ビブラートの細かさ、弓の圧力、弓の位置、ボウイングなど、かなり多くの項目を設定したり、オートメーションすることができます。
サンプリング音源だとビブラートの速さが変えられずに、遅い曲でも早いビブラートになってたりしたのですが、これだと曲のスピードに合わせることができる。
柔らかくしたい時はすこし指板側で演奏させる、ということもできます。
ピチカートやコル・レーニョにビブラートをかけたりトレモロさせたりといった、普通の音源では収録されないであろう特殊奏法も可能です。
トリルも自分で実際に打ち込まないといけないのは若干つらい。
CPUへの負荷が高い
うちの環境で30%前後。
FG-Xと比べるとこんな感じ。
手間も考えると、モデリング系音源は1曲に1つだけ入れる、というのが現実的な運用ですね。
その代わりといってはなんですが、容量は10MBほどで、相当少ないです。
生バイオリンをトレースしてみた
松本一策さん(@issaku_m )に弾いていただいた生バイオリンをトレースしてみました。
■生バイオリン
■The Violin
マイク違いかな、みたいな音質ですね。
なかなか近いニュアンスにできたと思います。アタックの感じはもうちょっと追い込めば近くなりそうです。
ただ、打ち込みにめちゃくちゃ時間がかかる。
ビブラートとエクスプレッションのオートメーションはこんな感じ。
このように、各音ごとにアタックとリリースを丁寧に処理しないと、表情が棒になります。
おわりに
MODOBASS以外のモデリング音源にはじめて手を出してしまったんですが、リアルだけど打ち込みに時間がかかるという特性を理解しました。
バイオリンよりも、ちょっとだけソロで使うチェロのほうが効果的で使用頻度が高そうなので、機会があったら入手したい。ピッコロもキレがよさそうで地味に気になっています。
あと、オーソライズが複雑で若干めんどくさいです。