音楽用語の「ミックス」とは、ざっくりいうと、
複数の音声ファイルを混ぜて1つの音声ファイルにすること
です。
バウンス、MIX、ミキシング、ミックス・ダウン、TD、トラック・ダウンとも言われます。ミックスで出来たファイルは2mix(ツーミックス)と呼ばれたりします。
ただ混ぜるだけでなく、バランスよく、音楽的に仕上げたほうが好ましいです。ミキシング・エンジニアという専門の職業もあります。
ミックスでやること
✓音量調整
✓音色調整
✓定位調整
+編集
ざっくりわけてこの3+1つです。この作業を駆使して、各音のバランスをとっていきます。
基本的には、音量変化は大きすぎず一定に、周波数バランスはフラットになるようにしていくと聴きやすくなります。
音量調整

各ファイル毎のボリュームを変えたり、コンプレッサー、リミッターなど、音量を変化させるプラグインを使って音量のバランスをとります。
音色調整

イコライザー(EQ)などを使い各ファイルの周波数バランスを変化させる。また、歪みや残響を付加して音の雰囲気を変えます。
イコライザーの使い方として、例えば「スネアを太くしたいから低域を上げる」「ボーカルの超低域はいらないからカットする」のようにして音色を作っていきます。
定位調整

ステレオの左右のバランスです。定位のパラメーターをいじれば各ファイルを左右に振ることができます。楽器同士が分離するようにしたり、音量が左右どちらかに偏らないようにしたりします。
M/S処理という曲をセンターとサイド成分に分解して処理する方法もあるのですが、めんどくさいので省きます。
編集
各楽器のノイズを除去したり、ピッチ(音程)を合わせたり、タイミングを合わせたりという編集作業が入ることがあります。
この編集を丁寧にやることによって、より聴きやすく、美しく仕上がります。
特にボーカルはメインになるので丁寧にやっていくことになりますが、時間がかかる作業でもあります。また、ノイズが入らないように録音することで、作業時間を減らすこともできます。
↓ノイズを除去するソフトの画面
ミックスで使用する機材
DAW
現在はほとんどパソコンのソフトウェア、通称「DAW(ディーエーダブリュー)」を使います。ミックスだけでなく作曲や編曲、マスタリングでも使用します。
◆DAWの種類
レコーディングスタジオ標準のPro ToolsをはじめSONAR、Cubase、Logic、Digital Performer、Reaper、Ableton Live、ACID、FL Studio、Nuendo、Reason等。
プラグイン・エフェクト
プラグイン・エフェクトはDAW内部に追加し、音にエフェクトをかけるソフトウェアです。色々なメーカー、種類のものを追加できるので、よく破産する原因になります。
◆プラグインの種類
・コンプレッサー(Compressor) 音量のばらつきを整える
・リミッター(Limiter) ある一定の音量から音が大きくならないようにする
・リバーブ(Reverb) 残響を付加する
・コーラス(Chorus) 変調した音を重ねて広がりを出す
・ディレイ(Delay) やまびこのように音を繰り返す
・イコライザー(EQ) 特定の周波数を変化させる
・ディストーション(Distotion) 歪みを加える
・マキシマイザー(Maximizer) 音圧レベルを稼ぐ
等があります。
その他の機材として、テープや外部ミキサー、外部エフェクターを使う方もいますが、基本的にはお金持ちなので関わらないようにしましょう。
DAWの画面
トラックに並べられた複数のファイルを混ぜて1つのファイルにします。横軸が時間で、左から右へと流れます。各ファイルの中に見える黒いギザギザは音量の波形です。

音圧について
音圧高めを狙う場合以外はミックス段階で気にしません。整った聴きやすいミックスなら音量や周波数バランスも整っているので、マスタリングで通常のCDレベルまで音圧を上げる事は簡単です。
「ミックスで音圧が~」っていうフレーズを見たことがあるかもしれませんが、その場合、音圧を出すミックス、またはミックスと同時にマスタリング作業をしていると思われます。音圧とマスタリングについてはまたの機会に。
「歌ってみた」の場合
用意されたオケに歌を乗せる「歌ってみた」の場合、歌とオケ、2つの音声ファイルを混ぜます。
歌ってみたのオケは、歌以外の楽器の音がミックスされた状態です。
よく似たものに、既に調理されたレトルトカレーがあります。
ですので、オケをレトルトカレー、歌をご飯で解説していきます。
まず、元となる2つの音声ファイルを用意します。

レトルトなので具が小さいですね。かなしいです。混ぜます。

これだとバランスが悪いですね。確実にご飯が余ってしまいます。緊急用のふりかけを切らしていると大変危険です。
歌ってみたのミックスも、歌とオケのバランスが悪いと聴きづらくなります。
カレー(オケ)の音量を上げましょう。

ちょうど良いバランスになりました。ただ混ぜるだけでなく、美しさに気を配りたいです。
いただきます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
エンジニア、ボカロP、音屋、DTMerと言われる人をフォローしてるとミックスに関しての見慣れない言葉を目にすると思います。今回はちょっとした用語解説も含めてみたので、何の事なのか少しは理解出来たはずです。たぶん。