音楽制作で活躍したソフトウェア音源2025年【DTM】

レビュー

こんばんは。作曲家のこおろぎです。

2025年は舞台を中心に、アトラクション、PV、TVCM、BGM、ストックミュージックなどの音楽を200曲ほど制作しました。

今回はそれらの制作スピードとクオリティの両立が求められる現場において活躍したソフトウェア音源をザクっと書いていきます。

新規導入部門

まずは、今年新たに導入して即戦力になった音源から。アップデートを含みます。

Omnisphere 3 | Spectrasonics

Spectrasonicsのフラッグシップ・シンセサイザー。バージョン3へアップデートされました。

「一生使いきれない」と言われる膨大なプリセット数が特徴でしたが、3で新たに26,000以上の新プリセットが追加され、もはや来世でも使いきれないボリューム。

3のアップデートは見た目にはほとんど変わってないですが、新搭載のサウンドが本当にいい。
最も大きな変化は「曲馴染み」が劇的に改善されたこと。

従来のバージョンはサウンドメイクが複雑で曲中に入れにくかったのですが、3のプリセットはシンプルかつモダンになり、曲中に馴染む音色が増えました。

特におすすめなのが、生楽器に近いテクスチャを持つオーガニック系やギター系の音色。

エフェクトの塩梅も絶妙で、音色を選んだ瞬間に完成された音が鳴るのが強み。

しかしエディットできるパラメータも膨大なため、サウンドをいじるのが大変です。

ディレイ一つ切るのにも一苦労するので、基本的には下手にいじらず、膨大なライブラリの中から優れたプリセットを掘り当てる使い方になると思います。

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Splice INSTRUMENT | Splice × Spitfire Audio

サンプル、ループ、プリセットなどをサブスクリプション形式で提供するプラットフォーム、SpliceがSpitfire Audioと提携して登場したソフトウェア音源。

無料で500種類以上のプリセットが使用できます。
有料だとBBC SYMPHONY ORCHESTRAなどが利用可能。

ハープやパーカッションなど、手持ちのオーケストラ系のサウンドを補う場合、現在はMusioを使っていますが、それをSplice INSTRUMENTに乗り換えできると、Spliceと支払いが一本化できていいなと思っています。

Creatorプランにすると$19.99/moでSplice SoundsとSplice INSTRUMENTが利用可能。合計金額もお得です。

■Splice INSTRUMENT

Synthesizer V Studio 2 Pro | Dreamtonics

AI技術を用いた歌声合成ソフトウェア。
2になり痒いところに手が届く操作感になりました。
Studio OneともARA連携してくれるので操作がしやすい。

発売してからずっと愛用しています。

今年は歌ものを作る頻度が多く、大変助かりました。

■PluginBoutiqueで購入 → Synthesizer V Studio 2 Pro 3 Voices | Dreamtonics

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Pigments 7 | Arturia

透明感があり、ハイファイなサウンドが特徴のソフトウェア・シンセサイザー。

実は前のPCではグラフィック周りのトラブルで使用不能になっていたのですが、PCを新調したことで無事に復活しました。ちょうど7にもアップデート。

Arturiaらしい洗練された音作りが可能で、特にグラニュラー系統のサウンドは私の好み。再び制作のメインストリームに戻ってきた頼もしい存在。

■PluginBoutiqueで購入 →Pigments 7 | Arturia

■Beatcloudで購入 →Pigments 7 | Arturia

Appex Guitar | Keepforest

歪んだ7弦ギターのKontakt音源。
2024年の年末に購入し、7弦ギターの破壊力を味わいました。
下手したら生演奏よりもかっこいい恐れがある音源。

プリセットが強力すぎる反面、自分で一からかっこいいリフを組むのは難易度が高い。

基本的に数少ないプリセット頼りになってしまう。

7弦ギターはNIのSession Guitarist – Electric Storm Deluxeも追加され、個人的には打ち込み7弦ブームが来ています。
■PluginBoutiqueで購入 →Appex Guitar | Keepforest

Damage 2 | Heavyocity


シネマティック・パーカッションのKontakt音源。前作のDamageは大ヒットしすぎて聴き飽きるほど使われていたんですが、2はそれを凌ぐ迫力に仕上がっています。

Damageという名前通り、歪んだ印象が強いですが、通常のオーケストラでも馴染むサウンドに仕上がっており、汎用的に使えます。

もっと早く買えばよかった。しかし価格は高い…!
■PluginBoutiqueで購入 →Damage 2 | Heavyocity

継続使用部門

XO | XLN Audio

ドラムサンプルを宇宙空間のようなマップに配置し、視覚的に探すことのできるドラム音源。

個性的で、ハイファイで、エレクトリックで、ドライなサウンドが特徴。
トラップやドラムンベース、他エレクトロできれいめなフレーズを入れたいときによく使います。

シーケンサー搭載。Spliceのドラムループを使うよりも音抜けがよく、音色やフレーズのカスタムもしやすい。

追加のライブラリもほとんどすべて購入しています。

■PluginBoutiqueで購入 → XO | XLN Audio

CUBE | Lunacy

8つの音色を3D空間でレイヤー・モーフィングさせるユニークな音源。

特に「Pastels」や「Botanica」プリセットは、生音のザラついた質感が残るパッドとして非常に優秀。

ただ、少し鳴りすぎてしまうことがあるので、Cableguysの「ShaperBox」などで変化するフィルターをかけて密度を制御しながら使うのがコツ。
■PluginBoutiqueで購入 →CUBE | Lunacy

Bohemian Violin | VIRHARMONIC

バイオリン音源。

バイオリンソロならこれ一択。納品クオリティのソロバイオリンを奏でてくれる驚異の音源。新作のPrim CelloやViolaも購入してみました。

■Beatcloudで購入 →Bohemian Violin V4

■Beatcloudで購入 →Bohemian Viola

■Beatcloudで購入 →Bohemian Cello V4

EZ keys2 | Toontrack


TOONTRACK社のピアノ音源。

単なるピアノ音源というより「最強のMIDIフレーズ集」。繋ぎ合わせるだけで曲ができる。

コード進行やフレーズに合わせてMIDIフレーズを変更・提案してくれる機能があり、元のパターンも豊富。
伴奏を手軽に制作したいときに活躍します。

この機能は、柔軟性がないが質感のいいSpliceや、柔軟性はあるが音質や編集が難しい音楽生成AIの中間のよさがあります。

音色そのものは別の音源に差し替えることも多いですが、楽曲の骨組みを素早く構築するためのツールとしてこれ以上のものはないです。

マリンバ音色を今年追加購入したのですが、ドライなマリンバとして使うのにとてもよかった。

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Superior Drummer 3 | Toontrack

ドラム音源。こちらもとにかくパターンと音色が豊富。

ざっくりとしたMIDIデータを入力すると、そこから奏者が叩いたようなパターンを提案してくれます。

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EZbass | Toontrack

エレキベース音源。とにかく使いやすい。

特に拡張音源の「Progressive Metal」は個人的に大ヒットで、メタルのサウンドはもちろん、シネマティックな楽曲の低域を支えるのにも最高。

「Synth Bass」もよかった。しっかりローが入ったシンセベース音色になっています。

Toontrack製品はライブラリの管理もしやすく、必要な音色・MIDIフレーズを買い足していって損がない。

■Toontrack

Native Instruments 360 pro

NIの主要なソフトウェア音源、エフェクト、およびサンプラーなどを網羅した全部入りのサブスクリプション。
どの音源も素晴らしく、わりとまんべんなく使います。

■Native Instruments 360 pro

特にお気に入りはギター系全般。

スライドなどのニュアンスがつけにくいのが不満ですが、単音での品質はどの音源よりも高いと感じます。

特にアルペジオやストロークで活躍。

NI側も調子に乗ってどんどんこのシリーズを追加しているのもいい。

近日追加されたElectric Neon Essentialsもよさげ。

Choir Omniaも隠れた?名品。

単体のサウンドが異常にいい。
クセのないうーあー的なオーケストラのコーラスはこれが最高。

歌詞的なものがあったりと、色々と機能はあるのですが、そこまで使わず。

Essentialsもあるので、最高のうーあーが入れたいなら買ってもいいかもしれない。けれど価格を考えるとそのために単体で買うほどでもないかもしれない。サブスクで使いたい1品。

Claireは劇伴で今一番使っているピアノ音源です。

近すぎず、鋭すぎず、遠すぎず、柔らかすぎず、芯が強く、音色のバランスが絶妙でちょうどいい。

パーティクルなどのエフェクト・プリセットが豊富なのもいい。

Irelandは本格的なアイルランド楽器の音源。

アイリッシュ系は今まで色々な音源がありましたが、このゲームを終わらせに来ているな、という完成度の高さ。

他にもEAST ASIAなど、民族系も充実してきました。毎日言っていますが、Africaも今のフォーマットで作りなおして欲しい。

UVI SonicPass

UVIのサブスクリプションサービス。素直でキレイめな音源が多い印象。

どんどん新しい音色が追加されていくけれど、実際に使うものは限定的かもしれない。
コンセプトがピンとこない音源が多い。

その中でもGlass Orchestraが最もお気に入り。

グラスで作った楽器の音源で、サウンドが唯一無二で音色のバリエーションも豊富。すっかりレギュラー。

■Beatcloudで購入 →Glass Orchestra | UVI

Key Suite Acousticに収録されているGrand Piano Model Dもわりと使います。

この世のあらゆる音源の中でも非常にスタンダードで癖のない音なので、余計な色付けが欲しくない、ドライなサウンドが欲しい時に重宝します。

■Beatcloudで購入 →Key Suite Acoustic | UVI

Quadraシリーズもオーガニックかつ印象的なサウンドで、うまくハマると時短で曲が作れます。

■Beatcloudで購入 →Quadra: Muted & Harmonics
■Beatcloudで購入 →Quadra: Metal and Wood
■Beatcloudで購入 →Quadra Traveler
■Beatcloudで購入 →Quadra: Modular

Studio One pro7 | PreSonus+Splice


少し番外編ですが、DAWのStudio One pro 7とサンプルのサービスSplice。

Studio Oneはサブスクに入りました。Spliceとの統合機能が本当に凄まじいです。

DAW内でサンプルをプレビューし、そのままプロジェクトにドラッグ&ドロップする。このシームレスな体験は、これからの音楽制作の標準になっていくはず。

AIサーチ機能も粗削りですが面白く、これからの進化を感じさせます。

■Studio One pro7
■Splice

新規購入したが使わなかった部門

正直なレビューとして、自分にはあまり合わなかったものも挙げておきます。

Soundbox | Audiomodern

全部入りを購入。しかし、「この場面で使いたい」という印象がなく、いつも記憶から抹消されてしまい使わないまま。

■PluginBoutiqueで購入 →Soundbox | Audiomodern

Current | Minimal Audio

ずっとサブスクに登録しています。単体はかっこいいサウンドなんだけれども、私の音楽スタイルだと使いどころが難しい。

万年補欠だけどずっとベンチには座っている、みたいな感じの音源。

■PluginBoutiqueで購入 →Current | Minimal Audio

SCALER 3 | Scaler Music

コードやスケールをサポートしてくれるツール。
自分が思いつかないメロやコードを提案してもらいたいと思ったのですが、
なかなかうまくいかず、結局自分で手探りでやったほうが面白いし早い!となってしまう。

これに限らずMIDI生成系はうまくいかない事が多い。これ系はもう買わない。

■PluginBoutiqueで購入 →SCALER 3 | Scaler Music

おわりに

2025年は、意外に新入りが少なかったなという印象です。サブスクでいつの間にか使えるようになっていたりするので印象が薄くなりがちなのかもしれない。

では!

↓プラグインエフェクト編も書きました

音楽制作で活躍したプラグインエフェクト2025年【DTM】