作曲家のこおろぎです。
今回はリバーブプラグインのIK Multimedia『Sunset Sound Studio Reverb』のレビューをします。
LAの伝説的なスタジオ「サンセット・サウンド」のスタジオ、ブース、プレート・リバーブを再現したリバーブです。
ざっくり
・ナチュラルで柔らかい質感
・操作がシンプル
・好みがはっきり分かれる
・CPU負荷は軽め
・楽器を宅録している人におすすめ
・ドライな音源をスタジオで録音したような質感にしたい人におすすめ
狭い場所で、オンマイクで録音すると、どうしても詰まったサウンドになってしまいます。
通常のリバーブをかけても、その印象をとり切れない。
Sunset Sound Studio Reverb(SSSR)だとオフマイクのような響きを足せるので、録り音の印象を変化させることができます。
また、ドライに録音されたソフト音源を遠くに配置したいときにも有効です。
現在、僕のレコーディングのほとんどは0.5畳のブースで行い、ブースはできるだけデッドにして、プラグインで部屋の響きを足しています。
録り音を豊かなサウンドにしてくれるSSSRはなくてはならないプラグインになりました。
最初にSSSRをインサートに差して、それを「録った音」としてそのあとに各プラグインを挿します。
一旦Panを振って、そのあとにSSSRをかけるとより自然です。
そのあとさらに長いリバーブを足してまとめる、という感じでミックスしています。
サウンド
「各部屋のインパルス・レスポンスをスタジオのコンソールで収録し、コンソールの信号経路もモデリングして再構築することで暖かみのあるリアルな残響を生成」とのこと。
一般的なIRリバーブに比べて柔らかいサウンドで、とくに初期反射が固くないので、短い残響をつけたいときにとてもよい結果になります。
種類は
・チェンバー:Studio 1、Studio 2、Studio 3
・ライブ・ルーム:Studio 1、Studio 2、Studio 3
・アイソレーション・ブース:Studio 1、Studio 2、Studio 3
・プレート・リバーブ:Plate 1、Plate 2
・スプリング・リバーブ
になっています。ビジュアルも見ることができます。
それぞれWet 100%で聴いてみます。
ティンホイッスル、ピアニカ、クラップ、声、セリフ。
ドライ
Neumann M269とTelefunken V76のシミュレートで収録。+1176系コンプ。
チェンバー:Studio 1
チェンバー:Studio 2
チェンバー:Studio 3
ライブ・ルーム:Studio 1
ライブ・ルーム:Studio 2
ライブ・ルーム:Studio 3
アイソレーション・ブース:Studio 1
アイソレーション・ブース:Studio 2
アイソレーション・ブース:Studio 3
プレート・リバーブ:Plate 1
プレート・リバーブ:Plate 2
スプリング・リバーブ
ライブルームはそれぞれ質感が違っていいですね。まさにオフマイクのような響きを足してくれます。僕はライブ・ルームのStudio 3をよく使っています。
チェンバーやプレートも柔らかくていい響きです。
ブースはあまり使わない気もしますが、隠し味的に加えるのも面白いかもしれません。アタックが鋭く録音された木琴、マリンバに少し加えるとサウンドに豊かさが出てよくなりました。
操作がシンプル
とにかくシンプル。
1枚のGUIで完結します。「これしかできません」という潔さがよいです。
シンプルなことで、迷うことも少ないんじゃないかなと思います。
逆に、サウンドがハマる人とハマらない人にはっきり分かれるプラグインではあるなと思います。
CPU負荷はリバーブの中では比較的軽めで、Waves「H-Reverb」の半分くらい。うちだと占有率3、4%くらいです。
パラメータ
・プリディレイ
・ディケイ
・ハイパスおよびローパス・フィルター
・ロー/ハイ・シェルビングEQ
・ステレオ・イメージ
・ウェット/ドライ・ミックス
ウェット/ドライのミックスはデフォルトがDRY0dBになっていて、インサートで使ってください、という感じになっています。
基本インサートで入れて、オフマイクを足していくようなイメージでWETを使う、という使いかたがいい感じです。
その前にpanのプラグインをインサートして振っておくと、より自然な配置になります。
バスで送ってセンドでかけても同じ部屋で鳴らしているようなまとまりが出てよいです。
インプットで歪みやすいので、そこは注意です。
おわりに
導入して以降かなり使っていて、欠かせないプラグインになりました。
特に生楽器を生っぽく鳴らしたいという方におすすめです。
狭い場所でレコーディングした楽器の音に、スタジオで録ったようなオフマイクの響きを足したいとき、ドライに収録されている市販の音源に響きを足してサウンドに馴染ませたいときに必ず使っています。