もはや必需品。万能なオーディオノイズ除去ソフト『RX7』とは。機能一覧の日本語版つき。

プラグイン

今回は、万能なオーディオノイズ除去ソフトiZotope『RX7』の紹介をします。

スタンドアロンのソフトで、一部はVSTプラグインとしても使えます。

ざっくり

・波形編集では取り除けないノイズの除去が可能
・あらゆる種類のノイズ除去が可能
・グラフィカルに、ピンポイントに処理ができる
・適切な処理を提案してくれる

録音されたオーディオファイルは、通常の波形編集ソフトやDAWの編集では除去できないノイズが入る場合が多々あるので、RXは必須ともいえるソフトです。

特に、自分ではコントロールできない、外部から受け取ったファイルを扱うときに活躍します。

録音が発生しない楽曲でも、音源の演奏ノイズを柔らかくしたり、書き出し等で発生するプチノイズを処理することに使えます。

また、2MIXのバランスを変えたり、デモの声のみを抜き出したりということも可能です。

7からは適切な処理を提案してくれる「Repair Assistant」も追加されました。

Elementsで十分

簡易版の「Elements」、通常版の「Standard」、最上位版の「Advanced」、3つのパッケージがあります。

・インストの作曲だけであればElements
・ボーカル、声も扱うのであればStandard
・ポストプロダクション(MA)までやるならAdvanced

おおまかには上記の選び方です。通常発生するノイズであればELEMENTSでも十分なんですが、「SpectralRepair」の使い勝手がよいので、余裕があったらSTANDARDにしておきたいところ。

Elementsの特徴

・「プチプチ」というクリックノイズ、プチノイズ、デジタルインパルスノイズ、「パチパチ」という演奏ノイズを低減する「De-click 」
・エアコンのようなバックグラウンドノイズを低減する「Voice De-noise」

など、広い場面で使えるものが多いです。「De-click 」の使用頻度は特に高く感じます。

Standardの特徴

・2ミックスの音源からボーカル、ベース、パーカッション、その他の音を識別し、それぞれ各要素のゲイン調整が可能な「Music Rebalance」
・歌や会話の間のブレスの音量だけを調整できる。「Breath Control」
・口の「ペチ」や「クチャ」という音を取る「Mouth De-click」
・ディエッサー。サ行の声に含まれる耳障りな歯擦音を効果的に減らす。ディエッサー「Spectral De-ess」
・ノイズを消したあと、その部分の音を補完してくれる、Photoshopの「スポット修復ブラシツール」ような機能「SpectralRepair」 

など、Elementsに加えて声に関するものを中心に使えます。

Advancedの特徴

・会話を騒々しいバックグラウンドノイズから隔離する「Dialogue Isolate」
・声の残響音を取り除く「Dialogue De-reverb」
・声のイントネーションを変更できる「Dialogue Contour」
・衣擦れ音を取り除く「De-rustle」
・ウインドノイズや吹かれを低減する「De-wind」
・ドルビーアトモス7.1.2に対応した「Multichannel Support」

など、Standardに加え、ポストプロダクション(MA)で使われるものを中心に使えます。

使い方(RX6の画像)

使い方を、僕と山口あい(@kimidori_ai )さんとの共同制作曲「プラージュ」のデモの音声データを使って説明します。

DAWのインポート前に処理

録音された素材をもらい、DAWに貼り付ける前に、スタンドアロン版のRXで処理します。素材の下ごしらえのイメージ。

音楽を作るときは基本スピーカーで聴きますが、ノイズを処理するときはヘッドフォンも併用します。プチノイズや低音のノイズがわかりやすいので。

読み込みました。スペクトラム表示だと、立体的に見えて問題点がわかりやすく、Photoshopのように視覚的に処理できまず。

使うツールはあらかじめ開いておいて、問題の場所で適切なものを使います。

ボーカルの場合、立ち上げておくものは

・Mouth De-click
・De-plosive
・SpectralRepair
・Gain
・Fade

です。こんな感じで立ち上げたままにできる。

処理の手順としては、最初に、ハムノイズや空調のノイズなど、全体に渡って入っているノイズをチェックし、取り除きます。

次に、吹かれやリップノイズなどの、突発的なノイズをチェックし除去。

特定の範囲だけを選んだり、自動ツールで選択したりということもできて、ノイズが入っている箇所をピンポイントで処理できます。

・特定の範囲だけ

・自動選択ツールでピンポイントに

こうやって、1つづつ問題の箇所をきれいにしていきます。

同じようなサウンドの場所を自動で選択してくれる「Find Similar」もうまく使って、ノイズを一括で処理したい。

最後に、ゲインの調整やフェードも入れて、声が入ってない部分を無音にする処理をします。

処理前

処理後

どうでしょうか。特に、リップノイズがなくなったと思います。

「て~」のところに衣擦れっぽい音は取り除けなかったのですが、Advanced収録のDe-rustleならとれたかもしれません。

ウクレレも処理してみました。

処理前

処理後

ヘッドフォンで聴くとわかりやすいと思いますが、全体に渡っている「サー」というノイズがなくなっています。この処理は通常の波形編集やEQでサウンドに影響を与えず取り除くのはかなり難しいです。

また、弦をはじくノイズが耳障りな部分も処理してまろやかにしています。

今回はスタンドアロンでの処理でしたが、DAWでプラグインとして使う場合は、レイテンシーが大きいので、すぐ書き出すようにしています。

機能一覧


機能一覧の日本語版がなかったので、主な機能をざっくり書いてみます。

名称の右側の×○は、ELEMENTS、STANDARD、ADVANCEDにそれぞれ入っているかどうかを表しています。

De-rustle ××○

衣類に装着したマイクなどで発生してしまった衣擦れ音を、会話から取り除きます。

De-wind ××○

風がマイクロホンに吹きつけられたときに発生する「ボー」というウインドノイズや吹かれを低減することができます。

Dialogue Isolate ××○

騒々しいバックグラウンドノイズから対話を簡単に隔離し、聞き取りやすくします。

Composite View ××○

複数のマイクで録音されたオーディオファイルを簡単に編集できます。

De-bleed ×○○

ボーカルレコーディング時にヘッドフォンからの音漏れによりクリック音がトラックに入ってしまっても、これを低減または排除することが可能です。

ボーカル録音の際に、ヘッドフォンから漏れてマイクに入ってしまった「カッカッカッカッ」といったクリック音を取り除く。ドンカマ、メトロノームともいいますね。

一旦学習させて使います。

De-ess ×○○

ディエッサー。サ行の声に含まれる耳障りな歯擦音を効果的に減らします。

Mouth De-click ×○○

口から発せられる「ペチ」や「クチャ」というリップノイズを取る。

Breath Control ×○○

歌や会話の間のブレスの音量だけを調整できます。

Batch Processing ○○○

ファイルグループの処理を自動化する、バッチ処理ができます。

De-click ○○○

「プチプチ」というクリックノイズ、ポップノイズ、デジタルインパルスノイズ、演奏ノイズを低減します。

De-clip ○○○

デジタル、またはアナログのレベルオーバーによる歪みを低減します。

De-hum ○○○

ギターアンプなどの「ブーン」という低域のハムノイズを除去できます。

Find Similar ○○○

同じようなサウンドの場所を自動で選択してくれる機能。

Voice De-noise ○○○

「サー」という、エアコンなどのバックグラウンドノイズや生活音を低減します。

De-crackle ×○○

レコードの「パチパチ」といったクラックノイズ、木管のリードノイズを除去します。

De-plosive ×○○

声の破裂音を低減します。「ボワッ」という吹かれなども。

De-reverb ×○○

残響、リバーブ成分を低減します。

Interpolate ×○○

4,000サンプル以下のオーディオクリックを修復します。

他のソフトウェアにある「鉛筆ツール」のような機能です。

Spectral De-noise ×○○

古い録音、ホームムービーなど、あらゆるタイプの録音から望ましくないトーンおよびブロードバンドノイズを除去します。

持続しているノイズには特に有効で、一旦ノイズのパターンを学習させることにより精度を高めることができます。

SpectralRepair ×○○

他の機能はノイズを取り除くだけなので、処理をした部分の情報量が減るのですが、SpectralRepairはノイズを消したあと、その部分の音を補完してくれます。

Photoshopの「スポット修復ブラシツール」ような機能。音を伸ばしている部分に特に有効です。

Ambience Match ××○

別々の状況で録音された素材のアンビエンスを合わせることができます。

Azimuth ××○

左右チャンネルのゲインと遅延を制御します。テープのヘッドアライメントやその他の速度関連の問題で発生するステレオの不均衡や位相の問題を修復できます。

Deconstruct ××○

楽器や音声のトーンとノイズのレベルを個別に調整できます。

フルートの息遣いを高めたりということもできます。

Dialogue Contour ××○

声のイントネーションを変更できます。声を聴き取りやすくしたり、訛りを修正したり、疑問形に変えたりすることも可能。

Dialogue De-reverb ××○

室内の反響がついた音声の残響音を除去できます。

Repair Assistant ○○○

ワンクリックで収録された素材を分析し、複数の修正案を提案してくれます。

使っているエフェクトも表示、詳細の設定もできる。

その他

ピッチ変更、タイムストレッチ、ノーマライズ、クリップゲイン、フェード、EQ、位相反転、モジュールチェイン、mp3エクスポートなど、スタンダードな波形編集ソフトでできそうなこともひととおりできます。

すべての機能の一覧はこちら。詳細説明と動画が見れます。

■iZotope RX Tips & Tutorials

おわりに

RX、万能すぎますね。

ノイズ除去ソフトを使うと、大なり小なりサウンドに影響が出ることは避けられないので、ノイズが入らないよう、最大限配慮して録音する、可能ならば録音をやり直す、ということが使用の前提ではありますが…!

■RX7 Elements | Rock oN eStore

■RX7 Standard | Rock oN eStore

■RX7 Advanced | Rock oN eStore

RX1〜6(STD/ADV)からRX7 standardへアップグレード

■RX 7 Standard Upgrade from RX Standard or Advanced | Rock oN eStore

iZotope Standard製品からRX 7 Standardへクロスグレード

■RX 7 Standard Crossgrade from Any Standard/Elements | Rock oN eStore