ちきりんさんの著書『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』を読みました。
この本は「生産性」、特に「投入時間を減らす」ことの重要性 について書いてある本です。
というわけで、DTMerが生産性を高めるためにはどうしたらよいか、というのを考えてみました。
生産性を高めるためには
・「インプット」投入時間やお金を減らすこと
・「アウトプット」手に入れたい成果を増やすこと
インプットを減らしてアウトプットを最大化すること、というのが大きな考え方です。
「インプット」投入時間やお金を減らす
アウトプットに対して投入する時間やお金が大きすぎないように、バランスを考えることが重要です。
機材については「お金で時間を買う」という意識で。そうして作業的な部分の投入時間をどれだけ減らせるか。そして、 効率よくクリエイティブをできるようになること。
完璧を求めすぎたり、趣味的になりすぎたりしてしまって、生産性の低いお金の使い方をしないようにする。
ツールについては、大きく効率化できるものが出てくる可能性があるので、新しいものをきちんと把握しておきたい。
パソコンの高速化
まずはこれ。強力なCPUや高速なSSD、大容量のメモリを使い、読み込みや書き出しなどの待ち時間を減らす。
これは予算もあると思うので、バランスを考えるしかないですが、スペックを高くするということは作業時間短縮に直結するので、 スペックが高いに越したことはないです。
モニター環境を整える
モニター環境が整っていたほうが音作りが早くなります。
ざっくりですが、ペアで4万円以上のパワードモニタースピーカーがあれば問題ないかなと思います。これも上を見るとキリがないので、ある程度満足できたところでやめておく、というのが重要。
僕はFOSTEX NF-01A(生産終了品)を使用しています。実際に店舗で聴いてしっくりくるものを選びたいですね。
オーディオインターフェイスも安定していて音質のよいものを選びたい。
RMEはおすすめです。
プラグイン
生産性を高めるためのプラグインの買い方としては、音質よりも「作業の時間短縮になるかどうか」が重要になります。
ボーカルのオートメーションを自動で書いてくれる「Vocal Rider」や自動でプリセットを適用してくれる「Neutron」、アナライザーが抜群に見やすい「H-EQ」もおすすめです。
また、エフェクトであれこれいじるよりも、質の高い音源を使ったほうがいい、という場合も多いので、プラグインエフェクトに頼りすぎないことは大事。
音源も、今っぽくてイケているプリセットが入っているもののほうが音作りの時間が少なくなります。音づくりやシーケンスを専門の人にアウトソースするイメージ。
Avengerのように、強力なシーケンサーがあると時間短縮になります。
打ち込み
ディティールを表現するためには細かく打ち込む必要があるのですが、それをどこまで効率化できるか。
そもそも、細かく調整する必要がある生楽器系の打ち込みを入れない、とか。MIDIプリセットやループを使う、とか。
オーケストラだと、手間をかけてストリングスを細かくパート分けするよりも、混ざった音を使ったほうがまとまりがよかったりする。オーケストレーション自体も打ち込みに最適化したものにできます。
また、作るジャンルによってテンプレートを作成するのは王道ですね。
そしてフィジカルコントローラーの導入。
色々なフィジコンを導入していますが、FADERPORTが一番効いています。
外注
丁寧な打ち込みに時間を割くよりも、生演奏のレコーディングを外注したほうが生産性が高い場合があります。特に予算が潤沢な場合。
また、ミックスに時間がかかりすぎてしまうのなら、ミキシングエンジニアさんにお願いしたほうがよいかもしれません。
クリエイティブ
「クリエイティブじゃないといけないと思い込んでいる部分」に費やす時間を減らすことも重要だと考えています。
僕は、曲に合っていればプリセットの音色やシーケンスパターンをそのまま使います。サンプリングが当たり前の時代に、シーケンスパターンや音色がオリジナルであることはあまり意味がないと思っているからです。
逆に、凝りたい人は徹底的に凝るべきだとも考えます。
自分にとってどのクリエイティブを捨てるか、というのが重要。
捨てすぎて、全てがただの作業になってしまうと、いいものもできないし成長もしない、ということになるので、どれだけクリエイティブを割り切るか、というのがポイントになります。
また、これから先は自動作曲ソフトを導入するということもありそうです。
「アウトプット」手に入れたい成果を増やす
DTMなので、趣味として考えた場合「満足感」を成果にしてもいいのですが、お金で考えてみました。
自分の商品の売り上げを増やす
音源やグッズなど、自分の商品が売れる数を増やす。
まあ、それが一番難しくて複雑なんですけど。というわけでここでは詳細を割愛。
受注する仕事の単価を上げる
商品価値を上げることと、高く買ってくれる人に知られること。
コピーなど、作業的な内容だと価値は上がりづらいですし、営業やマーケティングをやっていないと高く買ってくれる人に知られません。
成果が出ないことをやめる
ギャラの低い仕事を断る、数字が出ない活動をやめる。
活動については、どこで見切りをつけるのか、というのが難しいですが、「場所を頻繁に変える人のほうが釣れる」(真偽不明)という言葉もあり、成果が出ない場所で粘り続けてもたいていは大成しません。
おわりに
僕の課題は、「時間がありすぎること」ですね。ありすぎる故に、メリハリがなく、生産性が低い。
もうちょっと差し迫った状況を作れないかなと思っています。
この本は「僕が考える人類が必ず理解しておきたい内容の本」の一つになりました。生産性を理解できると、人生の時間がより有効に使えるわけですから。
仕事だけではなく、学びや消費の生産性についても語られていて、どの世代にも役立つと思う。