オーケストラ系ソフト音源バンドル、NI『SYMPHONY SERIES COLLECTION』をそれぞれレビュー

ソフトウェア音源

今回はNative Instruments『SYMPHONY SERIES – COLLECTION』のレビュー。

『KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Edition』を買ったらすべて含まれていました。

・STRING ENSEMBLE
・WOODWIND ENSEMBLE
・WOODWIND SOLO
・BRASS ENSEMBLE
・BRASS SOLO
・PERCUSSION

という収録内容になっています。

ざっくり

・透明感があり、粒立ちがよく、クセの少ない音
・操作感や音質がある程度統一されている。
・操作がシンプルでわかりやすい

操作感や質感がある程度統一されているものの、作っているメーカーが違うせいか、各ライブラリの収録内容や仕様に違いが見られます。

例えばストリングスは他のライブラリのようなFX的なパッチがない、木管、金管にはオートディヴィジがない、とか。

ライブラリにはストリングスのソロ、ハープはないんですが、今後追加されそうな気がします。ピッコロ、イングリッシュホルン、バスクラリネットを含む木管第二弾も欲しいところです。

オートディヴィジやレガートの判定など、正確な表現よりも操作の簡略化を目指している部分が多く、細かく複雑な打ち込みより、短い時間でいい感じにしてくれる、といった方向性が強い音源群です。

トップの4つのつまみにそのインストゥルメントでの重要なパラメータを割り振る、という考えは好きです。モジュレーションホイールだけダイナミクスに統一されていて、ビブラートはモジュレーションに割り振られていません。

音について

透明感があり、アタックが早く、粒立ちのよいサウンド。

クセがなく、インストゥルメントによっては存在感が薄く感じるものがあります。

力強さがあまりないので、ここぞというときにメインメロディを弾かせる、みたいなのは難しいかもしれません。どちらかというと背景的な使い方がよいかなと思います。

「Release」パラメータ、マイクポジションのミックス、リバーブの3段階で、空間をデザインした音作りができます。

エフェクトもついていますが、積極的な音作りというよりも、補助的な感じですね。

ESSENTIALSとの違い

廉価版の「ESSENTIALS」との違いは、オートディヴィジ、トゥルーレガート、4本のマイクポジション。インストゥルメントの数など。

サウンドに関わるところだと、特にマイクの違いが大きいです。

では、1つづつ見ていきます。

STRING ENSEMBLE ★★★★★

最大60人編成のストリングス音源。LA Scoring Strings(LASS)を作っているAudiobroとの共同開発。

ヴァイオリンは最小7人まで減らせます。

収録されている奏法はレガート、ソルディーノ、トレモロ、トリル、ハーモニクス、スタッカート、スピッカート、ピチカート、ノンビブラート、オクターブのラン。

FX的なパッチはないです。

音質

透明感があり、立体感を感じます。低音パートも抜けてくる。

同じメーカーのLASSと聴き比べてみたんですが、音はけっこう違います。

STRING ENSEMBLEのほうが若干音が遠いですね。そのせいか少し薄味に感じますが、大編成のアレンジでもしっかりと抜けてくる。

LASSのほうがリード向き、STRING ENSEMBLEのほうがバッキング向きな音。組み合わせて使うのもアリですね。

アタックも速く、スタッカートもキレがよいです。

和音のレガートができる

このライブラリだけレガートの仕様が特別で、重ねなくても、ノートが近いだけで自動でレガートになったり、和音でレガートができたりします。オフにもできます。

BPM120でこのくらい空いていてもレガートになる。40msくらい。MIDIのインターバルではなく、時間で検出されるようです。

そして、長い音価で重ねるとレガートにならず、ポリで鳴ります。これも40ms重ねたくらいから。

ポリで鳴るときはオートディヴィジになり、バイオリンで30人編成に設定していた場合、16+14人に分かれて演奏され、8人の設定にしていた場合、8+8人になります。

さらに、下のような3パートの和音だと、16+7+7人等のディビジを保ったまま各音がレガートします。

ベロシティでレガートとポルタメントを切り替えることができます。

ポルタメントのスピードはそんなに遅くはできません。
どちらかというと、より滑らかなレガートという使い方になると思います。

SYMPHONY SERIES – BRASS ENSEMBLE ★★★★☆

SYMPHONY SERIES – BRASS SOLO ★★★★☆

32人編成のブラスアンサンブルとソロのライブラリ。SOUNDIRONとの共同制作。

ざっくり

・粒立ちがよく、くっきりとした音
・ホルンの音色が気になる
・かなりドライな音にできる

音質

音の粒立ちがよく、スタッカートのアタック感が気持ちいい。高音域も細くならず、ふくよかに聴こえる。

モジュレーションホイールで音量を操作できるのですが、音の質感も変わるので、
キースイッチを使わず、これでクレッシェンド等の表現をしてもよさそうです。

金管全体のアンサンブルパッチは音色が混ざりすぎず、各楽器のニュアンスがよく出ていて好きです。

ホルンの音がちょっとミュートっぽい感じのかすれたような音で気になります。強く吹かせてもあまり強く聴こえない。

主旋律を華やかに、かっこよく聴かせたい、というときにはこのホルンは使わないかもしれない。

マイクをCloseでReleseも切ると、他のライブラリよりも素朴でドライな音を作れます。

収録楽器

・トランペット
・ホルン
・トロンボーン
・テューバ

スタンダードな編成。トロンボーンはバスの音域までカバーされています。ホルンのソロは2種類収録されています。

収録奏法

奏法タンギング、フラッター、トリル、クレッシェンド、デクレッシェンド、スフォルザンド、スタッカート、各種ミュート等。

駆け上がり系の種類が多い。

パラメータに「Tightness」とあるんですが、サンプルの頭をカットして、より速い発音をすることができるというものです。

「Release」が長いとクレッシェンドが最後まで再生されちゃったりするので、少し短めがおすすめ。

「Motion」はピッチと強弱に動きを加えるみたいですが、そこまで大きな効果はないです。

ソロの場合、Motionはビブラートになります。浅い時は速度が遅くなって、深くかけると速度が速くなり、実際の場面で使いやすいパラメータになっている。

WOODWIND ENSEMBLE ★★☆☆☆

WOODWIND SOLO ★★☆☆☆

36人編成の木管アンサンブルとソロのライブラリ。SOUNDIRONとの共同制作。

ざっくり

・奏法が多い
・音が薄い
・VIENNAに合わせると悪くない

音質

フワッとした雰囲気で木管それぞれの個性的な響きがなく、味気ない音。このライブラリを単体で買うのはおすすめしません。

VIENNA INSTRUMENTSのソロ楽器を重ねると、ふくよかさと輪郭が両立してなかなかいい感じにはなります。

収録楽器

・フルート
・オーボエ
・クラリネット
・バスーン
・コントラバスーン
・サックス

サックスではなくピッコロを入れてほしかった。サックスのほうがトレンドなんでしょうか。

収録奏法

レガート、スタッカート、フォール、クレッシェンド、デクレッシェンド、スフォルザンド、スウェル、フラッター、クラスター、オーバートーン、ホイッスル、叩く、等

奏法は特殊なものまで、多く収録されています。さらにクレッシェンドの長さを変えられたり、スケールを変更できたりもします。

PERCUSSION ★★★★☆

55種類のオーケストラ・パーカッション。Sonuscoreとの共同制作。

ざっくり

・種類、奏法が多い
・バスドラム、スネアドラムのバリエーションは少ない

音質

きれいに収録されているけど、線が細い印象。

単体で迫力を出すのが難しいので、曲によっての音作りを積極的にしていったほうがよさそう。

一方、音の傾向にチェレスタがハマっててかなりきれいな音なのでお気に入りです。

収録楽器

バスドラム、フィールドドラム、ロートタム、スネア、ティンバレス、タム、チェレスタ、クロテイル、グロッケン、ローピアノ、マリンバ、ティンパニ、チューブラーベル、ビブラフォン、シロフォン、シンバル、フィンガーシンバル、ゴング、タムタム、アゴゴ、アンビル、チャイム、カウベル、ガンコギ、マークツリー、ベル、タンバリン、トライアングル、カバサ、カスタネット、クラベス、ギロ、レインスティック、シェイカー、テンプルブロック、ヴィブラスラップ、ウッドブロック等

55種類もあるので、ヴィブラフォンなどの鍵盤打楽器から、最近使われるようなものまで、多くのパーカッションが収録されています。

その割に、キック、スネアなどのタイコ類は2、3種類づつ。

Eastwestの「hollywood percussion」だとスネア、キックの種類がかなり多いので、少し心もとなく感じます。

奏法も手で止めたり、トレモロさせたり、擦るような音もあったりと、大体網羅されています。

「LowPiano」というパッチがおもしろくて、低音専用のピアノです。確かにその用途でだけピアノを使う時があるので、いいかもしれない。

キットでまとめてあるパッチも使いやすそうです。

おわりに

操作が独特な部分があるんですが、慣れると快適そう。

WOODWIND以外はラフから最終まで通して使えそうです。

普通に買うと129,800円なんですが、『KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Edition』だと、KOMPLETE 12 ULTIMATEへのアプグレ+3万円で買えるのでめちゃくちゃお得でした。

■SYMPHONY SERIES – COLLECTION | Native Instruments

■KOMPLETE 12 ULTIMATE Collectors Edition | Rock On Line eStore

■KOMPLETE 12 ULTIMATE Collectors Edition UPG FOR KU8-12 | Rock On Line eStore

■KOMPLETE 12 ULTIMATE Collectors Edition UPG FOR K8-12 | Rock On Line eStore