ボーカル、楽器のピッチ修正でおなじみのプラグイン・エフェクト、Celemonyの『Melodyne 』(メロダイン) ですが、楽曲の耳コピーにも使えるんじゃないかなと思って試してみました。
今回使用するポリフォニックの和音解析は『editer』から上のバージョンで可能なので、 『editer』以上を検討している方の参考にもなればと思います。
ざっくり
・耳コピのガイド程度には使える
・「ベース>トップノート>内声」の順の精度
・音数が多いと解析の精度が低い
さすがにそのまま使えるMIDIデータにはなりませんが、少しは耳コピーの助けになります。
解析したものを見ながら、ガイドにして耳で音をとって打ち込んでいくことになりますね。
打楽器が入ったものなど、音数が多いほど解析がガバガバになります。
耳コピーのためにediter以上にアップグレードするのはちょっと微妙かもしれません。
精度について
「横浜キャッツ」というミュージカルで編曲を担当したんですが、音楽監督のPi坊さんからオーディオデータでデモをいただいて、それを耳コピしながら編曲していく、という流れで作業をしました。
今回はその中の、オープニング曲を使って解説していきます。
こちらがPi坊さんのオリジナルデモ音源
それをメロダインで解析したMIDIデータを鳴らしたもの。1オクターブ上になるようです。
細かい部分はごちゃごちゃしているものの、よく聴こえる部分は解析できていますね。
画面はこんな感じ。聴こえやすい部分ほどラインが太くなっています。
MIDIデータにしたところ。ドラッグ&ドロップでMIDI化できるのが便利。
傾向として
・音が弱いところは認識しづらい
・細かく動く音は認識しづらい
・倍音が出ている音は認識しづらい
・倍音が強い場所は倍音まで音程として認識される
・トップノート、ベースは認識しやすい
要するに、人間が聴こえやすい所は解析しやすく、聴こえづらい部分は解析しづらいのです。この肝心な部分で使えない感じ。
感度も調節できます。やりすぎると倍音まで実音として認識されるので、実音だけ抜き出せるようにうまく調節したいところ。
感度マックスにして、ボーカル以外の音を消し、ボーカルだけ抜き出すという荒業も試したんですが、まあまあいけます。ただ時間がめっちゃかかります。
ピアノの弾き語りでもそこまで精度が高くないので、もっと音数が多いオケの解析はちょっと厳しいかなーという感じです。ベースラインがとれるくらいですね。
Pi坊さんについて
今回音源をご協力いただいたPi坊さんをご紹介いたします。
Pi坊(@Pi_bou )
音楽家、ピアノで愛を歌う坊主
熊本市出身、横浜市在住。 シンガーソングライター・ゴスペルディレクター・アレンジャー・ヴォイストレーナー。
NHK学園(P&Pゴスペルクワイヤ・市川Vosky Of Soul)・RMG緑園マザーズゴスペル・横浜JyBers・今宿&笹野台サンライズゴスペルディレクター、赤い靴事業団客員講師。 皆様の元気と光になるべく今日も絶賛奮闘中!
■Pi’sful World Music Official Web Site:::Pi坊公式サイト
ご協力ありがとうございました!
ちなみに、編曲の完成版オケはこんな感じになりました。
おわりに
編曲という仕事上、パソコンが使えない作曲家さんからデモを頂くことが多いので、editer導入後は結構ポリフォニック解析を使ってます。
というか、耳コピ以外はポリフォニック 解析 を使ってないかもしれない。
Studio One上で動かすメロダインは読み込みも早く、すぐMIDIデータにできるので最高ですね。