今回は
「動画を作っているんだけど、声の音量が小さかったりバラバラだったりして困ってる。けど手間をかけたくない」
という方に読んでもらえると参考になるかなと思います。
というわけで、 今回は
「ゆるいトーク動画のための雑レベラー選手権」
を開催したいと思います!
まずレベラーとは何なのかをめちゃくちゃざっくり言うと、
『音量を整える』
ものです。
しゃべっている動画で音量の大小を一定にして音声を聞きやすくしたり、動画の全体の音量レベルをあげて、 他の動画に比べて極端に音が小さいということがなくなるようにします。
僕のサブチャンネルは10分程度話しただけの雑談の動画というのを投稿しているんですけれども、その動画を編集する時は、動画編集ソフトのAdobe Premiereのマスターチャンネルに、レベラーとiZotopeのDe MouseClickだけを挿しています。
そうすることで音声編集の手間を最小限にしつつ、音量や声質の最低ラインというのを作っています。
というわけで、今回は僕の持っているオートレベラーをいくつか試してよりベストなものを探して行こうと思ってます。
今回のレベラー選手権、優勝者には
僕のサブチャンネルで採用となります!
エントリーの条件
このレベラー選手権のエントリーの条件としては
・動画編集ソフトに直接挿せること
今回はハードは含めずに、プラグインのソフトのレベラーのみです
外部ソフトに書き出していろいろやるというのも手間は増えちゃうので動画編集ソフトで直接動くもの
今回、動画編集ソフトはWindows10 64bitのPremiere Proだけで検証してます
・操作するパラメーターがほぼ一つであること
操作の時間がなるべく少なく、ということで、基本触るところがひとつだけというものを選んでます。
・一つのプラグインだけで完結するもの
プラグインを複数使ってしまうとそのぶん調整に時間がかかってしまうので。
エントリー選手の紹介
それでは、エントリーの選手をご紹介したいと思います。
United Plugins所属「Autoformer」選手
こちらは僕がいつもサブチャンネルで使っているオートレベラーです。
とりあえず挿しておけばざっくりとレベルを上げて整えてくれます。
ただ気になるのがこのBALANCERというパラメーター。
こちらは強くかけるほど圧縮が強くなり、ゲートもかかるんですけれども。
ゲートのかかり具合が不自然になりやすいという懸念があります。
特に環境ノイズが多い方は気になるかもしれません。
価格は約1万円となっております。
Sonic Anomaly所属「TriLeveler2」選手
こちらは放送の話し声専用のオートレベラーとなっております。
”トライ”レベラーという名前の通りコンプレッサーがファスト、ミディアム、スロウの三段
になっていて、どんなダイナミクスもきっちりと押さえてくれます。
加えてオートレベラー機能というのが付いておりまして、自動的に指定したラウドネスにきっちりと合わせてくれます。
僕は動画の視聴用に使ってます。そうすることでどの動画を見ても常に一定の音量で音声を聴くことができます。
試聴用では強みを発揮しましたが、動画用では果たしてどうなのか。気になるところです。
音量を抑え込む力がかなり強力なので、不自然に感じるというところもあるかもしれません。
こちらはなんと無料です。今すぐ試せるというのがとても嬉しいですね。
accusonus所属「ERA 4 Voice Leveler」選手
グラフィカルで分かりやすいというのが非常に特徴的ですね。
ブレスも抑えてくれたりと機能的にも充実しています 。
音量を上げると同時にゲートもかかるようになっているんですが、 その親切さが少しネックになってくるのではないかなと思ってます。
こちらセット販売で価格が25000円からとなっており、競合よりもかなり金額が高いかなと思います。
・accusonus「ERA 4 Voice Leveler」
Waves所属「MV2」選手
低い音量を持ち上げて高い音量を下げるというシンプルなレベラーです。
音楽制作でもよく使われますし、汎用的にどのシーンにも使える安定感があるレベルラーとなってます。
ただ入力レベルが変更できないので
元の音量が低い時に少し手間がかかってしまうかもしれません
”定価で”約10000円です。
Waves所属「Oneknob Louder」選手
こちらは少し変わり種なんですけれども、オーディオトラックの音圧を上げてくれるレベラーとなっております。
普段音楽で使っている感じだとダイナミックスの印象を変えずに柔らかく音圧を上げてくれるというイメージがあります。
サウンドも破堤にくいし、レベルもオーバーしにくいので、
実はトークの動画でもけっこう使えるんじゃないかなと思って今回エントリーさせていただきました。
懸念する材料としては、かかり具合が見にくいというところですね
定価で5000円となっております。
Waves所属「Oneknob Pressure」選手
こちらはレベラーというよりコンプレッサーになっております。
Oneknob Louderが柔らかく聞くのに対し、こちらはアタック感がよく出るんですよね。
もしかしたらハキハキ喋るような印象になるかもしれません。
こちらもかかり具合が見た目で分かりにくいというのが懸念材料となってます
定価で5000円。
Waves所属Vocal Rider選手
またもやWeves所属。豊作です。Wavesはこういった自動化のプラグインが多いですね。
これは、オートメーションを書くようにしてボーカルの音量を均一にしてくれるというものですね。
基本的には歌の音量を整えるためのプラグインなんですけれども、動画用にも使ってるという音楽関係の方もいます。
僕も歌に対しては必ずといってほど使うプラグインなんですけれども、トークでの実力は未知数ですね。
定価で25000円となっております
Native Instruments所属「VC2A」選手
さて、ここに来て唯一の普通のコンプレッサーです
これはもともと放送用に作られたユニバーサルオーディオのLA-2Aという真空管コンプレッサーをシミュレートしたものです。
元は50年以上前に作られたものなんですけれども、入力レベルを上げることでコンプレッサーがかかるということで、
手軽に音量レベル上げたいという時には現代でも十分なんじゃないでしょうか。
あと同じタイプの ソフトはたくさんありますので、代用可能という点でもは非常に実はいいんじゃないかと思えてきました 。
定価で13400円(セット販売)
IK multimedia所属「Brickwall Limiter」選手
最後はリミッターです。
レベルオーバーしても音が割れないようにしてくれるものですね。
非常にシンプルで、基本インプットのノブさえいじればいいです。
余計なことをせずに、これで十分なのでは、という気もしています。
定価で€74
・IK multimedia「Brickwall Limiter」
サウンド比較
さて、ここから実際に動画に使いながら審査をしていきます。
元の音声を録音しました。
※元音声
使い勝手 5点
サウンド 5点
合計10点満点で評価をしていきます。
ラウドネスは、一応目標としてYouTubeの基準と言われている-14LUFSになるように上げていきます。
ただ、声だけだと難しいラウドネスではあるんですよね。なのであくまでも目標ということでやっていきます 。
United Plugins所属「Autoformer」選手
使い勝手 4点
サウンド 3点
合計 7点
僕がいつも使っているということで高得点を出してきますね。これが基準になってくるんじゃないでしょうか 。
ただちょっと気になったのが、ゆるくかけちゃうと全然ラウドネスが上がらないというところですね。
Autoformerのメーター上では結構上の方に触れてるんですけれども 、実際測ってみるとまだレベルに余裕がある。
このひとつで完結できる、という部分は素晴らしいんですけれども。
逆に強くかけすぎちゃうとゲートも強くかかりすぎるので、不自然なサウンドになってしまいます。
Sonic Anomaly所属「TriLeveler2」選手
使い勝手 4点
サウンド 4点
合計 8点
こちらもなかなかの高得点 。
シーンによってはかなり合うと思います。例えば一定のトーンで強く話し続けるようなコンテンツ。
ラウドネスもかなり高いところまで上げられます。
ただ、今回のテーマのゆるい雑談となるとちょっときつくかかりすぎちゃうかもしれないなと思いました。
致命的な欠点があるんですけれども、Premiere Proで使うと、再生を止めた時に値がリセットされちゃうので、 目標ラウドネスの値が変えられないんですね。
なので、リミッターなどと一緒に使うというのが必須になってしまいます。
accusonus所属「ERA 4 Voice Leveler」選手
使い勝手 5点
サウンド 2点
合計 7点
こちらは多機能かつシンプルで、使い勝手は非常によく、ラウドネスもかなり高いところまで上げられます。
ですけれども、ダイナミクスがふわふわするようなサウンドが個人的にあまり好みではありませんでした。ゲートのかかり具合も気になります。
不満点はサウンド面だけですね。
Waves所属「MV2」選手
使い勝手 3.5点
サウンド 5点
合計 8.5点
こちらは非常にサウンドがいいです。ナチュラルなのに声がハキハキ聞こえるようになります。
ただ、急に大きな音が来ちゃった時にちょっと怪しいかなという感じはあります。
なので、リミッターと組み合わせるならトップレベルに良いと思います。
Waves所属「Oneknob Louder」選手
使い勝手 4.5点
サウンド 4.5点
合計 9点
リダクションのかかり具合が分かりにくいかも、というのが懸念点だったんですけれども、
マスターのレベルを見ながら調節すれば問題ないかなと思いました。
全体のダイナミクスを圧縮しながらも柔らかく効きます。
若干歪みっぽさは出るんですけれども、かなりいいんじゃないかなと思いました。
ゲートが入ってたりすると聞きづらい部分が出てきちゃったりするんですけれども、それがなく、リミッティングもかかるので音が歪まずに高いラウドネスにできます。
サウンドが破綻しにくいのがいい。
適当にやっても事故る確率がかなり少ないなと思いました。
ダイナミクスを素直に圧縮する感じなので、他のものよりノイズも持ち上がってくるのだけは気になりました。
Waves所属「Oneknob Pressure」選手
使い勝手 2点
サウンド 3点
合計 5点
こちらも操作はワンノブしかないのでシンプルなんですけれども、アウトプットのゲインが操作できないことが致命的ですね。
あとアタック感が強すぎるので、今回のような雑談には向かないかなと思いました。
そもそも今回の趣旨に合わないかなという感じがしました。
Waves所属「Vocal Rider」選手
使い勝手 3.5点
サウンド 4点
合計 7.5点
ターゲットになるレベルを決めてしまえばいいということで操作は楽なんですけれども、
アウトプットのピークが制御できないのが難点ですね。
かかり方はかなりいいです。
MV 2と同じでハキハキ聞こえるんだけれども、ダイナミクスも押さえてある。MV2よりは少しゆるい感じ。
この後にリミッターを挟めばすごくいいと思います。
これだけで完結させるという部分ならこの点数かなと。
楽曲で使ってる時にたまにリリースがちょっとおかしくなるところがあるので、そこがちょっと気になりはしますね。
Native Instruments所属「VC2A」選手
使い勝手 3点
サウンド 4点
合計 7点
サウンドはナチュラルなんですが、かかりかたがゆるいので、雑にインプットを上げるとすぐレベルオーバーしますね。
この用途での使い勝手的にはあまりよくないなと思いました。
後はラウドネスも上がりにくいですね
これだけで雑に完結させるという用途ではちょっと使いにくいかなと思いました
IK multimedia所属「Brickwall Limiter」選手
使い勝手 5点
サウンド 4点
合計 9点
ノブを回すだけだしメーターも見やすい。非常に使い勝手がいいですね。
やはりレベルを超えたものだけを処理するので、サウンドはナチュラルですね。
リミッター自体のかかり具合も柔らかく、リダクションが多くても歪みにくいというのは素晴らしいですね。
小さい音は大きくできないので、レベラーとしてはやや物足りないですが、気軽に使っていくという部分では十分な気がしました。
発表
第一回トーク動画のためのレベラー選手権
優勝は
Waves所属「Oneknob Louder」
です!
なぜこれが選ばれたのかといいますと、
まずワンノブだということですね。操作が簡単で雑に使えるということ。
ノイズゲートがなく、サウンドが自然。そして、しっかりとリミッティングしてくれるということ。
ノイズが多くなりがちとか、サウンドが柔らかすぎるなど、マイナス面があっても、それを凌ぐ安定感があります。
今回のテーマである「雑」に使っても失敗することがほとんどない。
なのでプラグインエフェクトの扱いに慣れてない方にもいいと思います。
今回は1つで完結させるなら、というテーマだったんですが、2つ使うとしたらどれが最強なのかを考えると、
・MV2
・Brickwall Limiter
この組み合わせが最低限で最高に効果が高いかなと思います。
ナチュラルで音量を一定にしてくれるMV2と、音が歪まないようにリミッティングしてくれるBrickwall Limiter。というイメージ。
優勝したレベラーは次回から僕のサブチャンネルで使う、ということだったんですが、
Wavesのライセンスって複数台のパソコンで使えないんですよね…
動画の編集は音楽のパソコンとは別のパソコンでやっているので、新たに買わないと使えない…
いうことで、次回からのサブチャンネルも
「Autoformer」でいこうと思います。(MV2とLouderははそのうち買います)
こちらからクーポンコードを使って購入すると10%offとなります!
・Waves
おわりに
というわけで「ゆるいトーク動画のための雑レベラー選手権」閉幕となります!
僕は持ってなかったので紹介できなかったんですけれども
というプラグインも良さそうです。
この動画を作るにあたって、Adobe Premiere付属のオーディオエフェクトを調べてみたんですが、やっぱり元からついているコンプレッサーやゲートはメーターも少ないし、パラメータも多すぎるので使いにくいです。
きちんと調節すれば普通に使えると思うんですけど、付属のコンプレッサーを使いこなすには、挙動にある程度詳しくないと難しいんじゃないかなと思いました。
手軽に動画を作るために、簡単にざっくりやってきたいですよね。
ではまた。