Wavesfactoryのハープシコード(チェンバロ)音源「W-Harpsichord」がめちゃめちゃよいので紹介します。
評価★★★★★
・近くてドライな音
・3ラウンドロビンで自然なサウンド
・安い€9.95(約1400円)
こちらがサンプリングした実機。結構古そうですが20世紀に入ってから作られた物のようです。十分古いか。
近くてドライな音
マイク位置が近くてドライで素直な音です。マイクポジションは選べません。
きらびやかな、高域のおいしい部分が出てます。
見た目ははわりと適当な感じ…
いじれるのはドライリリース(Release Dry)とレゾナンスリリース(Release Resonance)のノブだけ。
ドライリリースのほうは、余韻に空気感がでますが、「サー」「ゴー」というフロアノイズが目立ってきます。
レゾナンスリリースは音が切れる時の「カチャ」という音と、ホールで鳴っているようなリバーブ音が強調されます。
3ラウンドロビンで自然なサウンド
1つの音程につき3つのサンプルが切り替わって鳴ります(3ラウンドロビン)。なので連続して同じ音程を鳴らしても自然な音になっています。
あと、元々ハープシコードはベロシティがないので、ベロシティレイヤーはありません。
安い€9.95(約1400円)
うん、安いですね。あんまり考えないで買ってもよさそうです。
購入はこちらから
デモ
公式デモはこちら。
曲を作ってみました。ハープシコードって高貴で優雅なイメージにぴったりですね。
もうちょっと大きな編成で。
上の曲はずっとハープシコードが鳴ってるんですが、ベロシティで強弱がつけられないので、他の音色の抜き差しでダイナミクスを作っています。
おまけに、ハープシコードについてざっくりとまとめてみました。
ハープシコード(チェンバロ)とは
“Deless-10” by Rouaud – 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
ざっくり
・ピアノと同じ鍵盤楽器
・音域はG0~D5 程度
・強弱がほとんどつけられない
・レジスター、もしくはストップと呼ばれるものにより音量、音色を段階的に切り替えられる
・英語ではハープシコード (harpsichord)、ドイツ語やイタリア語ではチェンバロ(Cembalo, clavicembalo)フランス語ではクラヴサン (clavecin)
・中世の終わりから18世紀後半の古典派の時代まで広く使用されたが、19世紀にはピアノにその地位を取って代わられた。20世紀に入って、古楽復興運動により、再びチェンバロが演奏されるようになる
音源、楽譜では英語をよく目にするので、僕はハープシコードのほうが馴染みがあります。
wikipediaのハープシコードのページは発音原理、各国のメーカーや音楽の形態など、めちゃめちゃ詳しく書いてあります。
独特に感じる音色は、複弦によるものなんですね。複弦のせいか、複雑な響きを持つコードはあまり美しく鳴りません。
■有名曲
バッハ(Bach)『イタリア協奏曲』BWV 971
■新しめの曲
フランシス・プーランクが作曲したチェンバロ協奏曲
クラヴサンと管弦楽のための『田園のコンセール』(Concert champêtre)
おしまい
ハープシコードって、優雅さや気品を感じる音色ですよね。大編成のアレンジに混ぜるのは難しいですが。
というわけで、W-Harpsichordの紹介と、ハープシコードについてでした。