松浦 あゆみさん著の『ブラス&ストリングスアレンジ自由自在』のレビューです。
ざっくり
・インスト用
・DTMer用
・ジャンルはポップス
・内容はほとんどが管弦楽法
インスト用
ボーカルに対してのアプローチのしかたが全く書いてないですね。知識自体は歌モノでも役に立つと思いますが。
DTMer用
DTMをやっている人で、ちゃんとストリングス・ブラスの基礎を身につけたいな、という人におすすめ。
シーケンスデータのTipsも書いてあるので参考になります。それぞれの章の最後に箇条書きでポイントを書いてあるのも分かりやすい。
内容はほとんどが管弦楽法
楽器自体の構造や奏法など、ポップスで使うなら十分なストリングスやブラスの知識が書いてあります。ここにほとんどのページが割いてあります。
これを読んでおけば打ち込みだけじゃなくて、実際に演奏可能な曲を書けるようになるはず。
ストリングスにおけるハーモニーという項では、楽器法・ボイシングと同時に和声法についても言及してます。ここは取捨選択が難しかっただろうなあと上から目線で思いました。
ブラスに関しても、ボイシングや、ブラス独特の「アプローチ」といわれる和音のつけ方が分かりやすく書いてあるのがすごくいい。
ジャンルはポップス
がっつりクラシックでもジャズでも、ファンクでもない感じですね。ポップスです。
でも基本がしっかり書いてあるので、それから専門的なジャンルの音楽を分析していけばいいのかなと。
自由自在ではない
自由自在、という感じではないですが、逆に「鉄則」という風にはっきりとルールを決めてあるので、理解しやすいと思います。
まとめ
基本的に内容は濃いんですが、方向性がちょっと曖昧かなという印象ですね。
歌物について言及してないのは痛いですし、DTMer向けだったらそこまで詳細に楽器の解説を入れなくてもいいんじゃないかとか。
対位法についても全くスルーなので、ちゃんとアンサンブルを考える上でそれはどうなんだろうとか。まあそれを書き出すと1冊じゃ収まらないんですけど。
あと、筆者さんのオススメの曲があるとよかったかなと思います。
なんだか上から目線になってしまいましたが、管弦楽法や和声法の膨大な量をこれだけ簡潔にまとめたのはすごいなと思いました。