再生・販売数が増えない…と悩むクリエイターが超ロングテールに対抗する方法を考えてみた

音楽でメシ

ちょっと前まで、みんなの好みはどんどん分散されていって、絶対的に人気のものは少なくなり、野良のクリエイターにもっと日が当たると思ってたんですが、現在の状況は違ってるみたいです。

今年になって感じているのが「インターネットにあるコンテンツの超ロングテール化」です。

ロングテールとは

インターネットを利用したネット販売などにおいては、膨大なアイテム(商品)を低コストで取り扱うことができるために、ヒット商品の大量販売に依存することなく、ニッチ商品の多品種少量販売によって大きな売り上げ、利益を得ることができるという経済理論。

– 情報マネジメント用語辞典

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(図:@IT情報マネジメントより)

Amazonの在庫は膨大だし保管コストも少ないから、1つ1つはあまり売れなくても、膨大なテール部分の利益を合わせるとバカにならないよー。という話です。

上記の説明は、Amazonなどの「集積者」からの視点からなんですが、生産者視点から見ると、

インターネットを利用したネット販売は、保管コスト、参入コストが低い(無料)ので膨大なアイテムと競う事になる。

こうなっちゃいます。ロングテールにはネット販売だけでなく、クリエイターの人気、Youtubeなどの「場」、ジャンルそのものの人気など、ネット上のあらゆるものがあります。

僕が考える超ロングテール化というのは、テールが長くなりすぎて、テール部分のクリエイターへの注目が極端に薄まっている状態。

例えば、Youtube、ニコニコ動画の再生数が増えない、ブログが見てもらえない、オーディオストックなどのストック型販売サービスの収益が増えない。など。

インターネットはアーカイブが無限に貯まっていきます。しかし、増え続けるコンテンツに対して、視聴者はほとんど増えないので、1つのコンテンツに対する接触機会は減っていくでしょう。

この曲線が極端になっていってるんじゃないかなと。

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そこで、そこそこのクリエイターが超ロングテールに対抗する方法を考えたい。

放っておいてもなんとかなる超一流じゃないなら、戦略でなんとかしようってワケ。

そこそこのクリエイターが超ロングテールに対抗する方法

目標は「マジックミドル」

検索したら2008年くらいの記事しか出てこなかったんだけど、これもう死語なんですかね。

そこそこのクリエイターがまず目指すべきはロングテールの胴体部分。

1000人の忠実なファンが目標値(マイクロセレブ理論) と言われてますけど、2、300人いればとりあえずはそれだけで食っていけると思う。

広く浅く、よりも少なく濃く、というイメージ。

ニッチなジャンルの「ショートヘッド」になる

インターネットでは人気が人気を呼ぶので、ニッチなジャンルでも代表するクリエイターになると、そのジャンル内での注目が集中します。

例えば、ノコギリ演奏だったらこの人、みたいな。

「鶏口牛後」という四字熟語もありますね。

ただ、そもそも注目してくれる人数が少ないジャンルだと稼ぐのは難しいかも。

新しく出来たサービスの先行者利益、というのもこれです。プレイヤーが少ないうちにヘッドのほうになると注目が集中する。最近ではnoteやLINEスタンプが印象的でした。

新しいジャンルを作っちゃう

現在あるものに新たな属性を付加して、新しいジャンルを作っちゃう。音楽+動画みたいに、違うタイプのコンテンツを組み合わせるのもアリ。

例えば、ベース演奏+変態、といえばH.J.Freaksさんみたいな。…最初にこの事案が思い浮かんでしまった…

ポピュラーなジャンルにニッチを付加するか、ニッチなジャンルにポピュラーな属性を付加するといいかも。

自分の好きな事、強みを一度見直してみるのがおすすめです。自分では普通だと思ってる事が強みだったりするんですよね。

こまめにコンテンツを出す

数は正義。保管コストがほとんどなくなってきてるので、個人のコンテンツもロングテール化させていけばいい。実際に市場に出して、反応を確認して修正していく事もできます。

ただ、人間の生産量には限界があります。コンテンツを増やす方法として、コンテンツの再利用や、1つのコンテンツから他のコンテンツを切り出す方法をうまく使いたい。

堀江貴文さんはメルマガの質問コーナーをニコニコ生放送の番組として配信して、さらに編集してYoutubeに投稿しています。1つのコンテンツが違う場、人に届くようになってるし、最終的にはメルマガで回収できるようにゴールを設計しています。

楽曲を作ってる人も歌詞のみのブログを書いたり、生放送の書き起こしをしたり、ブログの内容を1枚の絵にしたり。違う場にコンテンツを切り出してみましょう。

見つけてもらう

ネット上に散らばっている、自分のファンになりそうな人たちにピンポイントでアプローチする。

常にやっておきたい事は、タグ、タイトルなどの検索対策、その人たちが有益だと思う情報を提供し続けること。

バズを起こす時も、むやみにやたらに多くの人に見せるだけだと長期的な効果はないです。ファンに引き込む設計が必要。

売れてるもののコピー

もはやジャンルの人気自体がロングテールになっていて、人気のジャンルのものを作れば、そこそこは売れます。まず買い手の数が多い。

邦楽ロック、ソーシャルゲーム、ボカロ曲など…人気があるものの雰囲気は似てますよね。

僕もオーディオストックでは、現在人気があると思われる「コンセプトムービー向けの明るい音楽」も登録してますが、そればっかり売れてます。

この方法は、自分がやりたくない事がコピーすべき人気ジャンルだと辛いですね。

このエントリーもどうぞ

コンテンツを最適化すると多様性は死ぬのか? | fladdict

どうやらCGMがもたらすのはコンテンツの多様化ではなく、一極集中化らしい。

熟慮していいアイデアを考えるよりも、いまあるお題にフィットする平均値以上のアイデアを高速回転でまわしていくほうが強くなっちゃうのだろうなぁと。

他のロングテール市場の戦い方を観察する

音楽業界は稼ぎ方の情報を共有する習慣があまりないんですが、他の業界、特にブロガーは稼ぎ方をガンガン共有してます。

新たなロングテール市場、LINEクリエイターズスタンプでの戦い方の記事ですが、Youtubeやオーディオストッックなど、他の市場でも応用できると思います。

著者はこれで売った!LINEクリエイターズスタンプ「売れるLINEスタンプを作るための5箇条」 │ 今、クリエイターに求められるマーケティングセンス。知っておくべきことはこれだ! │ コラム – MAKEPO(マケポ)

1. スタンプ作成前に最低1000のスタンプを見よ

2. アイデアを出すのに時間をかけるな

3. 他人と違うスタンプを作れ

4. 短時間で量産できる体制を作れ

5. クリエイター名をないがしろにするな

終わりに

今回はロングテールというキーワードで考えてみましたが、そんなにうまくいかなかったですね…w

そこそこ質が高いものが作れるのに稼げてないアーティストって沢山いるんですよね。そういう方たちを応援したい。

最終的には自分で答えを見つけるしかないんですが、少しでもヒントになれば幸いです。

この、超ロングテール化というのは、無料音源配布サイトDOVA-SYNDROMEからの広告収入が減って来てたのでじわじわ感じてたんですが、下の3つの記事で確信しました。

ボカロ衰退論に関する定量的な評価 – sky-graphのメモ帳

まとめ

・カテゴリ全体の動画数・再生数は増加傾向が維持され、その点で衰退していない。
・ただし再生数は動画間の偏りが増加し、また過去の有名動画への再生が増えているだろう点を考えると、新規投稿動画では伸びにくくなっているのではないだろうか。
・コメント数の伸びは次第に減少しているのでは無いだろうか。

2014年6月活動報告 3.5万円/1.2万PV: 音楽素材屋 MoppySound

My Song Create、ランサーズ、クラウドワークスに提案した案件はすべて空振りに終わりました。
歌モノ約5曲は新たな買い手に提案中、BGM約10曲はAudioStockに登録予定です。

この経験で感じたことは、上記サイトにおいて曲単価が著しく下がってきていることでした。
一番顕著に感じたのはMy Song Createに載っている依頼のほとんどが
歌モノ1曲1万円(著作権譲渡、作曲+編曲)で溢れていたこと。
他のサイトでもシステム手数料差し引いたら1万円切りそうな内容が見受けられました。

二極化するクリエイターと、個人ブランド | ハヤシユウのブログ

(オーディオストックへの)登録数は現在60点くらいまで増やしたのですが、1点も売れていない月が続いています。これには三つの原因があると思っていて、

自分が登録するペース以上に他の曲が増えていく→どんどん登録しないと自分の曲が埋もれていく
クリエイターが増えていくことによって、全体的にクオリティの水準も上がっていく→最高クオリティ以外の曲は淘汰されていく
人気な曲や音源はピックアップされる→売れる音源と売れない音源に差ができていく
のが売れなくなっている原因だと思います。

音楽はツールの普及でコモディティ化してきてるので、そこにどうやって価値をつけていけるか、という所まで考えた人が食っていけるのかなと思っています。

ではでは。

参考

8年前の本なんですが、ロングテールはインターネットの本質なので内容が色褪せないですね。

音楽について多くのページを裂いてあるので、ミュージシャンもわかりやすいはず。

僕が買った2014年5月20日印刷のものはインフォバーン、小林弘人さんの解説が追加されていましたが、かなり参考になりました。マイクロセレブ理論、マジックミドル、という言葉もここで出てきています。

この「ロングテール」の後に書かれた「フリー」もインターネットの本質をとらえている本なのでおすすめです。ただし分厚いので覚悟してください。

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