春です。色々と新しい事を始めたい季節ですね。
今回は楽曲、動画制作、ゲーム、アプリ開発など、音楽を使用したコンテンツの製作者向けに、WAV、mp3、Ogg Vorbis、AAC、4つの主な音声ファイル形式(音声ファイルフォーマット)とその特徴などを書きたいと思います。
ざっくり書くと、高音質ならWAV、互換性ならmp3、ゲームはOgg Vorbis、Apple、携帯機器はAAC、といった感じ。
WAV

WAVとは
最も高品質な音声ファイル形式です。
音楽CDや楽曲の配信、動画、ゲーム、アプリ開発、また、録音の際にも多くはこのフォーマットで収録されます。
拡張子は.wav
WAVの特徴
レートについて
CDに収録の際はサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bit。その他の用途でもこのレートが一般的です。
44.1kHz、16bitでのファイルサイズは1分間で約10MB。容量が大きいためストリーミングには向きません。
レートを変更する場合、サンプリング周波数より量子化ビット数のほうが音質に与える影響は大きいです。
編集しやすい
非圧縮音声フォーマットなので波形編集ソフトで直接編集できるなど、柔軟性があります。
WAVで納品し、その後、圧縮ファイルのmp3など、任意のファイルフォーマットに変換したほうが音質的には有利です。
48kHz 24bit以上はいわゆる「ハイレゾ」
最近よく聞く「ハイレゾ(ハイレゾリューション音源)」もWAVファイルです。
44.1kHz、16bit以上のレートを持ったWAVファイル、例えば48kHzまたは96kHz、24ビット以上ならハイレゾ、という定義です。
ほとんどの音楽制作ソフトはハイレゾに対応しており、音楽業界では44.1kHz、16bit以上のレートで制作、納品するのは通常なので、楽曲製作者がスペック的に対応するのは容易です。
容量はレートを上げるほど大きくなり、96kHz、24bitでは1分間で約33MBです。
ハイレゾはWebでの配信サービスから直接ダウンロードし、パソコンや携帯オーディオ機器で再生するのが一般的です。Windows Media PlayerやiTunesでも再生可能。
WAVの使用について
WAVを使用するのは、楽曲そのものを販売する時や、映像を作る時など、できるだけ高い品質を確保したい時です。また、楽曲製作者同士のやりとりも基本はこのフォーマットです。
容量が大きいので、音楽がメインのコンテンツではない場合や、ダウンロード、ストリーミングなど、軽さが欲しい時は使わないほうがいいかもしれません。
成果物に容量の制限がある場合は、WAVで納品してもらい、自分でビットレートを調節してmp3などに変換するとうまくいくと思います。
mp3

mp3とは
配信、ストリーミングの楽曲、動画、ゲーム、アプリ開発に使う、最も汎用性があり普及している音声ファイル形式です。
他の圧縮ファイルよりも同じレートでの音質はわずかに劣ります。
拡張子は.mp3
mp3の特徴
レートについて
128kbpsが音質を維持できる最低限のレートです。最大は320kbps。推奨は190kbps。
レートを落とすと中低域が薄く、高域がジャリジャリとした音になります。
昔に比べエンコーダーも進化し、同じレートでも音質が改善しています。エンコーダーはiTunesのは評価が高いようです。音楽制作ソフトからも直接書き出せます。
WAVにやや劣る品質で容量はWAVのおよそ10分の1、1分間の音声で約1MB。
編集には不向き
不可逆圧縮ファイルのため、編集する際はWAV等に1度エンコードしなければならず、品質が劣化するので編集には不向きです。
エンコードによって前後に0.01秒前後、無音部分が付け足される場合があるので、ループさせる場合は注意が必要です。
mp3の使用について
容量が少なく、汎用性があるので、楽曲、動画、ゲーム、アプリなど、ダウンロード、ストリーミングされるものはmp3が主流になりつつあります。
また、画像やその他のメタ情報を埋め込んでおく事もできます。私は自分のアイコン画像とHPを常に埋め込む設定にしてます。
Ogg Vorbis

Ogg Vorbisとは
ゲーム、アプリ開発に使う音声ファイル形式。
mp3では特許料を請求される場合がある、ということでゲームではオープンソースでライセンスフリーなこのフォーマットを使うようです。
また、Windows Media PlayerやiTunesでは再生出来ません。
拡張子は.ogg
Ogg Vorbisの特徴
レートについて
同じビットレートならmp3よりも高音質とされ、同じ音質ならmp3よりも圧縮率を高くすることができます。
レートは固定レートと可変レートを選べ、標準は最小ビットレート128kB/s、平均ビットレート160kB/s、最大ビットレート192kB/sです。
編集には不向き
不可逆圧縮ファイルのため、編集する際はWAV等に1度エンコードしなければならず、編集には不向きです。
Ogg Vorbis の使用について
ゲーム、アプリでしか使われず、このファイルで納品した事のない音楽制作者も多いはずです。あまり一般的ではないですが、書き出しに対応している音楽制作ソフトは多いです。
Unityなどのゲームエンジンでは内部でOggに変換されたりしますね。
AAC

AACとは
iTunesで販売している音源やポータブル機器、映像で使われています。
拡張子は.m4a
AACの特徴
レートについて
標準は128kbps。最大512kbps。同じビットレートならmp3よりも高音質。
mp3よりビットレートを高くでき、低いビットレートでも音質が破綻しづらいです。
編集には不向き
不可逆圧縮ファイルのため、編集する際はWAV等に1度エンコードしなければならないので、編集には不向きです。また、読み込みや、書き出し自体対応していない音楽制作ソフトも多いです。
携帯で音声を録音した場合、動画から音声を抜き出した場合にはこのフォーマットになるかもしれませんが、楽曲制作ソフト(DAW)で読み込めない場合が多く、楽曲製作者へ送る際はiTunesなどでmp3などに変換して送付したほうが丁寧です。
AACの使用について
音楽制作者には扱いづらいフォーマットです。制作に使用したい場合はWAVで納品してもらい、AACに変換したほうがスムーズだと思います。
その他
他にもAIFF、WMA、LAME、FLAC、sd2などのファイルフォーマットがあります。
まとめ
近年どの制作もすっかりWAV、mp3が主流になってきました。音楽制作者としては楽ですね。
・WAV(44.1kHz、16bit)
・mp3(192kbps)
この2つのファイルと基本のレートで大体の制作はできますので、最低限これだけは抑えておきましょう。
あと、楽曲のレートですが、iTunesで曲名を右クリック→プロパティで見ることができます。