FF12の音楽を作った崎元仁さんなど、気になる方々が参加しているので買ってみました。
ざっくりレビュー
・“クライアントに楽曲をお買い上げいただく”職業作曲家のための教科書
・常識や心構えなど、普遍的内容なので長く参考になる
・J-POP、アニソン、劇伴、ゲーム音楽、作詞など色々な方のお話が載っているのがよい
・具体的な数字があると面白かったな
“クライアントに楽曲をお買い上げいただく”職業作曲家のための教科書
自分の曲をリスナーに売る「アーティスト」や、演奏のみで生計をたてる「プレイヤー」など”音楽のプロ”としての生き方は沢山あります。
その中の一つの道として、クライアントに楽曲をお買い上げいただく「職業作曲家」とはどういう世界なのか、どういうルートがあるのか、などをプロの方々へのインタビュー形式、講師としての授業、という形で収録しています。
基本的な事が漏れなく書いてあるので、これから作曲家目指してみようかな、とか職業作曲家ってどうやってなるのかな、っていう方は読んでおいて損はない、教科書的な内容です。
常識や心構えなど、普遍的内容なのでしばらくは参考になる
そういや今までこういう事をまとめて書いてある書籍って見なかったな。雑誌などで断片的に目にする事はあったんですけど。
僕が音楽の勉強をはじめた10年以上前からこの業界の習慣は変わってないんじゃないかな、とも思いました。
まあ気遣いの仕方はずっと変わらないでしょう。これは音楽以外の仕事でも同じですね。
J-POP、アニソン、劇伴、ゲーム音楽、作詞など色々な方のお話が載っているのがよい
色々な仕事、色々なルートがあるよっていうのを読めるのがいいですね。ルート選択で悩んでる方にもよさそう。
あ、ボカロの話もとくさんの所でちょっと触れてます。
どの道にしろ腹をくくってやらないとプロは無理ですね。
若い音楽家志望者に時々見かけるのは、「自分が知らない裏道や近道がある」と思っている人です。〜中略〜プロの音楽家で成功するために、裏口や近道はありません
ー職業作曲家の心得 山口哲一
具体的な数字があると面白かったな
まあこういう本では難しいと思いますが、どのくらい稼いでるとか、収入の割合の変化とか、具体的に数字で出してもらえると面白かったなと思います。
著作権使用料のグラフは上がってるっていう事も書いてあるんですが、それは参入している人が増えてるだけで、一人当たりの収入は減ってるんじゃないかなあと思うんすよ。
こおろぎはこう思った
「空気を読む」という事が書いてあるんですが、これは「萎縮せず、クリエイティブに流れに沿って提案できるスキル」だと思うんですけど、すっごい難しいんですよねこれ。
一歩間違った解釈をすると「余計な事は言うな」「気を使え」っていう同調圧力っぽくも感じるしね。
クライアントがいる案件では必ずやりとりが発生するので、大なり小なりこういった場面があるんですけど、ちょっとずつクリエイティブに提案していけるように意識はしています。
逆に「空気を読めない」「読むのがめんどくさい」人は職業作曲家を目指さないほうが幸せかなと思います。他にも道はあるし。
あとコンペについて。参加するかどうかは個人の自由ですが、最初のうちは100曲に1曲しか採用されず、有名人ほど採用されやすく、提出した曲も公開できない、この「楽しくないシステム」はもうそろそろ破綻しそうだと思います。
ボカロ系だと公開しつつコンペに応募出来るので、そういう形に移行すると楽しそうでいいですよね。
「楽しい、楽しくないで音楽やってるんじゃない」と言う人もいると思うんですけど、じゃあなんのためにこの仕事を選ぼうと思ったの?って感じです。
コンペ以外の方法でもいくらでもプロになれるしね。要するに僕がコンペ嫌いなだけです。何度か落ちたし。ばか!!!
作曲家になりたいという方が教科書として持っておいてもいいですし、「どんなもんかなー」で読むのもアリですこの本。