編曲家の顔ももつ、こおろぎ(@kohrogi34 )です。
歌モノの編曲の仕事を10年以上やっています。今まで食べたパンの枚数のように、具体的に何曲かは覚えていないのですが、他人の曲を100曲以上は編曲しているはずです。
そうすると、最初の連絡の時点で「この曲は編曲で頑張っても、人気が出たり、売り上げなどの結果が出なさそうだな」とわかってくるようになりました。
それは大きくこの2つ
・作品についての説明が少なすぎる
・曲調が王道すぎる
作品についての説明が少なすぎる
何のための曲なのか。どういう曲にしたいのか。という説明が少ない。
デモだけ送ってきて「お願いします」だけ、という人もいる。歌詞すらない時もある。
いい曲を作っている人ほど、情報が多くなる傾向があります。歌詞はもちろんですが「どういう雰囲気にしたい」とか、「どういったアーティストなのか」とか「アルバムのテーマ」とか、「その1曲目にする予定」とか。
説明が少ないということは、曲に対しての思い入れが少ないんじゃないのかな、とか、あまり考えずに作っているのかな、とも思ってしまいます。
実際、最初に情報を送ってこない人は曲の内容が薄く、編曲でどうにかできるレベルじゃないことがほとんどです。
どういった曲にしたいのか、という情報が共有できていないと、作曲者の目指しているものとはチグハグな編曲をしてしまう可能性もあります。
同じ曲でも、作曲者とリスナーでイメージが違う、ということがありますが、それは作曲者と編曲者の間でもおこりますので。
編曲というのは、書道のようなものだと思っているんです。一筆めをおろした時にイメージが固まってしまう。そこからは後戻りしづらい。一度具現化してしまうと、違う方向性には転換しづらいんです。もちろん時間も余計にかかる。
なので、最初にできるだけ情報をもらって、きっちりとイメージを作っておくことが何よりも重要なんですよね。また、情報が多いほどどこに向かうかはっきりするため、編曲者も遊びを入れやすい。情報が少ないほど無難に作っていくしかなくなる。
前からの知り合いだったりするときはある程度任されることもありますが。そういう時は信用されているということなので、こちらでイメージを作って、自由にやらせてもらいます。
王道すぎる
ここぞ!というときに頼まれる場合が多いので、頼まれるのはどれも似たような曲が多くなるんですよね。
しかし、王道な曲ほどヒットしづらい!
売れるものを分析して、一番利益が出るだろうと考えたものを作ろうとするほど普通になり、つまらなくなるんです。
王道すぎるものを作っちゃう人は、ここらへんの本を読むと幸せになります。
同じような曲の依頼が来すぎて、シンガーソングライターは全員サビ前にsus4を使うもんだと思っています。
僕自身も、同じような編曲ばかりやっているので、自分の引き出しがほとんど使えずに悲しいです。
おまけ リリース情報を送ってこない
最初でなく、最後の連絡ですね。
いい曲を作らない人ほどリリース情報を送ってこない。
不特定多数の人と違って、関わっている僕に曲が出たことを知らせてくれれば、ほとんど確実にSNSやブログに書くのに。単純にもったない。
ちかごろは「リリース情報をお待ちしています」とメールに必ず書くようにしています。
おわりに
最近は、今回書いたような案件はなくなってきましたけどね。
編曲家に編曲を依頼したいと思っている作曲家、シンガーソングライターの方は参考になったでしょうか。
ではでは。