Q.「キャリブレーションソフト」って何がすごいんですか?
簡単にフラットなモニター環境にしてくれるのがすごいです
・スピーカーから聴こえる音の周波数を簡単にフラットにしてくれる
・小さい音でもバランスよく再生できる
・色々な状況で聴かれても問題がないミックスにできる
・自分の環境をいちいち頭で補正する必要がない
などの効果があります。自分でミックスまでやるミュージシャンにおすすめです。
音楽制作では、モニター環境が一番大事
音楽制作では、モニター環境が一番大事だと思っています。
偏ったモニター環境で音楽制作をするということは、汚れていたり、色味が悪いディスプレイで映像を作っているのと同じで、音が見えづらく、正常な判断がしづらくなる。
どんなにいい音源やプラグインを買っても違いがわからない、録音しても音がいいのか悪いのか判断できない、ということになります。
また、モニター環境がいいと、純粋にサウンドを聴くのが気持ちがいいです。制作も進みます。
ただ、理想的なモニター環境にするには機材やそのセッティング、部屋自体の環境をかなり追い込まないといけないですし、ほんとうに全力でやるとお金がいくらあっても足りません。
そこでキャリブレーションソフトを使うと、安くて簡単に理想に近いモニター音にしてくれる、というわけです。
様々な状況で聴かれても問題がないミックスにできる
理想的なモニター環境って出音の周波数がフラットに聴こえることなんですよね。
フラットだと細かい音も聴こえやすい。バランスが悪いと、マスキングされて聴こえない音も出てきます。
人間はフラットな周波数がバランスよく感じるので、偏ったモニター環境上でも、フラットなバランスにしようとしてしまう。
フラットでない環境で、出っ張っている帯域をカットしたいと思っても、出っ張っているのはリスニング環境のせいだったりして、正常な判断ができてなかったりする。
それでバランスが偏ったミックスになるし、それを頭で補正するのは相応のスキルが必要になります。
また、ミックスの周波数バランスが偏っていると、様々な環境で聴かれたときに問題が出てきます。
例えば、1箇所だけ突出したようなバランスのミックスになっていると、そこが聴こえなくなるだけで音量感や曲の雰囲気が大きく変わってしまう。
また、あまりよくないモニター環境でミックスされたものはレンジ感の狭いミックスになる。
そういう環境で作られた曲を解像度の高いスピーカーで聴くと「これはよくないモニター環境で作られたな」ということがわかってしまうくらいです。
キャリブレーションソフトを使ったらどうなるか
キャリブレーションソフトの効果は、音ではよくわからないと思うので、画像で説明します。
例えば、こちらは何もしてない時に僕のモニターから聴こえる音の周波数カーブ。
きちんとしたオーディオインターフェイス、ケーブル、スピーカー、固いスタンドにインシュレーターを使い、部屋の反射も抑え、スピーカー自体の設定や置き場所も追い込んで、物理的な限界まで頑張っているんですが、かなりフニャフニャなカーブです。
特に低音はウーファーを足しているのでめちゃくちゃです。
これだと、1kHzがへこんでいるのでボーカルが聴こえづらくなり、ボーカルの音量を上げすぎてしまったり、100Hzがへこんでいてキックが聴こえないので、キックを上げすぎてしまったり、7kHzあたりが出ているので、ハイハットを抑えすぎたりしてしまうわけです。
それが、キャリブレーションソフトを入れるとこんな感じに。
画面上で見る限りかなりフラットに近くなりました。高域はほぼ直線ですよ。
色々な方向から追い込んでも解決されづらい部分が簡単に解決してしまいまいた。
自宅でよくある、音量が小さくてスピーカーが鳴りきらなくてバランスが悪い、という問題も解決できます。
導入
キャリブレーションソフトのすごいところ、わかっていただけたでしょうか。
そこそこよいスピーカーやインターフェイスを使っている人は導入を検討してみるのもよいかなと思います!
そこそこよいスピーカーやインターフェイスを使ってない人は、まずはそこそこよいものを買いましょう。
日本で売っているキャリブレーションソフトはこの2つ。
どちらを入れてもそんなに使い勝手は変わらないです。マイクで測定して、プラグインとして最終段に挟んで使います。
ARCのほうが安く、Referenceのほうはヘッドフォンなどのラインナップもあります。
また、ARCはWindows10で日本語アカウント名のときインストールしてしまうと、そのあと永久に使えなくなります。
2つともレビューを書きました。
【プラグイン】低音のモニター環境改善におすすめな音場補正ソフト Ik Multimedia ARC System レビュー